DAO(分散型自律組織)とは?Web3時代に必須となるプロジェクト型組織運営のあり方を解説

DAO(分散型自律組織)とは?Web3時代に必須となるプロジェクト型組織運営のあり方を解説

目次

暗号資産についてリサーチをしていると「DAO」というワードを目にすることが増えたのではないでしょうか。

2013年ごろから概念として存在するDAOは、メタバースやNFTなどの登場によりさらに注目されるワードとなっています。現在存在するDAOも世界中にたくさんあり、各グループの参加条件なども異なります。

今回は、今注目されているDAOについて解説するとともに、運営のあり方などをご紹介します。

DAOとは?

DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、「ダオ」と読みます。「分散型自律組織」という意味で、暗号資産においてブロックチェーン上で世界中の人々によって管理・運営されている組織を指します。

DAOの特徴としては、まず組織を統率するような中央管理者がいません。あくまで民主主義で運営を進めていく組織です。また、透明性の高い組織で、誰でもルールや運営方法などのソースが閲覧でき参加できるという特徴があります。

ただし、DAOが運用できるのはスマートコントラクトという機能を持つブロックチェーンのみです。スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上でコードによる契約や取引条件を取り決めで実行するシステムを指します。こうしたスマートな取引によって構築された分散型アプリとトークンを運営するのが、DAOです。

DAOのイメージは、作品ごとに立ち上がる制作チームのようなものです。プロジェクトごとに立ち上がったDAOの中で、民主主義の理念で運用・管理を進めていくのです。

DAOの成り立ちと定義

DAOという概念は、2013年に暗号資産EOSの開発において「天才プログラマー」と名を馳せたダニエル・ラリマー氏によって提案された定義です。当初はDAOが指す組織を会社として捉え「DAC(Decentralized Autonomous Corporation)」と名づけられていました。

その後、DAOの概念はイーサリアムの考案者でプログラマーであり、起業家のヴィタリック・ブリテン氏によって洗練されていきます。イーサリアム上で展開されているDAOの定義をアップデートしていったのです。イーサリアムの公式ページでは、DAOの定義を「中央集権的なリーダーシップが不在のメンバー所有のコミュニティ」「インターネットの見知らぬ人と協力する安全な方法」「特定の目的に資金を委ねるのに安全な場所」と提示しています。

引用:分散型自律組織(DAO) | ethereum.org

インターネットが使える環境であれば誰もが参加でき、その組織ごとに使用されるガバナンストークンという通貨を持っていれば発言権や意思決定にも参加できる組織形態がDAOというわけです。

DAOの仕組み

ここまでDAOについての概要を説明してきましたが、そもそもDAOの仕組みを根本的に理解しようとするならば、DAOが成り立っているブロックチェーンについて理解する必要があります。ここからはブロックチェーンとはどういったものなのかを解説します。

ブロックチェーンの仕組み

ブロックチェーンとは、情報を記録するデータベースの一種です。ブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、それを連結することによって情報を保管する技術で、分散型ネットワークに暗号技術を組み合わせることで、複数のコンピュータで取引情報をデータとして同期して保管する基盤技術です。「分散型の台帳」とも言われ、ネットワークに参加するユーザーすべてに同じ「台帳」が閲覧できる特徴もあります。データの改ざんや破壊を防ぐための暗号技術や、情報の信憑性を確保するシステムなど、さまざまな技術によってブロックチェーンは支えられています。

このように、ブロックチェーンには大きく3つの特徴があります。ブロックごとに取引記録を格納する「自律分散性」があること、情報の信頼性を確保する技術による「耐改ざん性」があること、そして、チェーンによって取引情報の履歴をたどることができる「トレーサビリティ」があることです。ネットワーク上で誰もが平等に取引ができ、情報も閲覧できる仕組みというわけです。

スマートコントラクトとは

DAOの概念のベースには、イーサリアムでのスマートコントラクト機能があるといわれています。イーサリアムの公式ホームページで掲載されている解説(スマートコントラクト | ethereum.org)によると、「従来の契約をデジタルに変換できる、ブロックチェーンに保存されたコンピュータープログラム」をスマートコントラクトと定義づけています。従来のような書面や口頭などによる契約合意方法では、欠陥が生まれやすく両者の契約内容理解に齟齬が生じやすいのです。こうした面倒な契約方法から脱するために、スマートコントラクトという定義が立ち上がったわけです。

スマートな合意形成を行う方法ですが、非常にシンプルな定型で成り立っています。「if / when…then…」式と呼ばれる「もし〜なら、〜する」という文章の構文にあてはめることで機能するコードとなっています。つまり、契約内容自体がコード化されているので、このコードに合意した時点でプログラムが機能し始める仕組みです。さらに、このスマートコントラクトによって結ばれた合意内容は変更できません。

DAOが機能する仕組み

DAOはこのスマートコントラクト機能を活用して、プロトコルとしての自律的な運営を可能にしています。

​​​​​​​​​​組織のルールや運営方針に関する決まり事などは、基本的にアルゴリズムとして表現されて自動実行プログラムとして実装されます。ここはDAOの参加者の属性や数に関係なく、DAOごとに実装されたルールが淡々と実行されることになります。

その上のレイヤーに、DAOにコントリビューションする参加者の存在が乗ることになります。プログラムで自動実行できるのは、プログラム可能なルールについてだけなので、これからのことに対する意思決定やそのためのシステム的な反映作業等は人が行う必要があります。

つまり、プロトコルとしてのDAOの上に人々のコミュニティが乗ることで、DAOは民主的なプロセスをエンパワーする機能をもつことになります。

また、DAOの取り組みの1つに「プリンシパル=エージェント理論の解決」があります。プリンシパル=エージェント理論とは、個人またはエージェントが他の個人またはプリンシパルに代わって権限を持って意思決定を行ってしまうことで、経済学において問題視されています。意思決定の所在が固有の人物に依存することで、その人物が支配的な権限を持つことになってしまうからです。

金融取引においてこうした権限の独占のような状況を生み出さないために、DAOでは契約の合意形成をプログラム上で行い、誰からも一方的な力で支配されないシステム作りを目指しているのです。

DAOの特徴3点

DAOには大きく分けて3つの特徴があります。ブロックチェーン上で運営される性質上、ブロックチェーンやスマートコントラクトの特徴を踏襲した要素が多いものの、総合的に見てみると「誰もが平等に取引できる環境」ということがいえます。ここからは、DAOの特徴3つを詳しく見ていきましょう。

中央管理者が存在しない

DAOは、組織を管理・運営するリーダーや権力を持つ人物がいない点が特徴です。ガバナンストークンのホルダーによる投票により、意思決定やルール変更が行われる形になっています。意思決定の反映には時間を要しますが、コミュニティーとして運営されるので透明性が高く、投票結果はブロックチェーンに記載されることからも非常に民主的な組織です。

世界中の人々が誰でも参加することができ、実名を明かすことなく匿名で参加できるのも特徴の1つです。また、スマートコントラクトを活用することで、そのコミュニティーは管理者不在でもワークするようになります。

各メンバーに公平に決定権がある

DAOの基本理念に、民主主義による運営・管理を目指すことがあります。この理念では、参加メンバーすべてに決定権があり公平な環境であるというのです。

ここでポイントになるのが、「平等」ではなく「公平」というルールです。各DAOでは、その組織で使われているガバナンストークンが発行され、そのトークンを所有することで意思決定権を持つことができます。ガバナンストークンとは、その名の通り組織の運営に関する投票に必要なトークンのことです。このトークンを使ってどれだけ多くのプロジェクトに貢献したかによって、メンバーの投票権の影響力が異なってきます。これが「平等」ではなく「公平」である理由です。

この貢献度合はすべてスマートコントラクトによる機械的な運用によって判断されていくので、透明性が高く誰もが公平に意思決定に携われるといわれています。

パーミッションレス

ネットワークにつながっている環境下の人であれば、誰にでもDAOに参加する権利が与えられています。許可などなく、スマートコントラクトによる合意形成を行えば誰でも参加ができるのです。こういった点も、DAOという組織の大きな特徴の1つといえます。あくまでも民主主義で運営し、誰もが公平に取引を行える場であるべきだという理念です。

DAOとWeb3

ここまでDAOの理念や基本的なシステムについて解説してきましたが、DAOがこれほどまでに注目されるようになった背景には「Web3」という概念への関心が高まったことがあります。ここからは、Web3時代におけるDAOの在り方について説明していきます。

Web3とは何か

「Web3」とは、次世代インターネットのことで「分散型インターネット」と呼ばれています。「Web3」の概念として「非中央集権・分散」「個人へのエンパワーメント」「バーチャルファースト」という3つのポイントがあります。基本的にコンセプトはDAOと同じで、このコンセプトを組織やプロジェクトの運営の理念として落とし込んだ形がDAOの概念だといえるでしょう。

Web3の詳細については、以下の記事も併せてご覧ください。

▶︎Web3(Web3.0)とは?自律分散型社会のあり方から、ブロックチェーン・メタバース・NFTの関係まで詳細解説

DAOが必要とされる理由

「Web3」時代になぜDAOが必要とされるかというと、先述の「非中央集権・分散」の要素が大きく関係しています。

従来の組織との比較として、株式会社を考えてみましょう。株式会社では、株主総会で選任された3名以上の「取締役」によって構成される意思決定機関を定款の定めにより設置します。彼らに決定権を持たせることで運営を行う形態になっています。

この「中央集権型」の運営によって、「Web2.0」時代にある問題が露呈してしまいます。「Web2.0」時代はSNSやシェアなど双方向性が前面に現れたインターネットの時代だといわれています。そのような中で、一部のデジタルプラットフォームや組織体に対して極度に依存する形態が発生してしまったのです。

こうして起こった「Web2.0」時代の中央集権化問題を解決すべく「Web3」時代の概念が発生しました。この概念に基づいた組織運営のシステムを有するDAOは、これからの組織運営において重要なターニングポイントとなるシステムと認知されているのです。

DAOのメリットと従来型組織との違い

DAOの組織運営におけるメリットは、「非中央集権化」のシステムが構築されていることです。意思決定において権力者によるトップダウンによる従来の運営形態ではなく、誰もが公平に意思決定に参加できることが従来型の組織と決定的に違う点です。

またDAOのメリットとして、組織を立ち上げる際にかかるコストがかからないことと立ち上げに時間がかからないことが挙げられます。資金面でも時間的な面でもスピーディーに組織化できるので、プロジェクト進行がスムーズに行えるのです。

実際に存在するDAOは、中央管理者が不在なため各DAOごとに個性が存在しそれぞれに違いが生まれています。

DAOのリスクとは?

民主主義による意思決定システムが構築されたDAOですが、インターネット上で行われていることからリスクも存在します。DAOのリスクについてまとめてみました。

セキュリティ的な脆弱性への不安

すべての取引や運営をインターネット上で行っているDAOには、やはりハッキングのリスクが伴います。

2016年に起こった衝撃的な事件「The DAO事件」をご存知でしょうか。「The DAO」というイーサリアムのプラットフォーム上の分散投資組織で、運営資金としてプールされていた約150億円もの暗号資産による資金を集め話題になりました。しかし、運営に賛同しない投資家が預けている資金をDAOから切り離すことができる「スプリット」という機能でバグが起こっていました。こうしたシステムの脆弱性につけこんだハッカーによって、約52億円といわれる資金が盗まれてしまう事件が起きたのです。

このように、運営や資金管理をすべてインターネット上で行っているがゆえに、セキュリティ的な脆弱性の不安要素は拭えていない実情があります。

意思決定に時間がかかる

既存の組織運営では権力者による意思決定はほんの一瞬で行われます。しかし、DAOのシステムの場合は、参加メンバーによる投票によって決定されるので時間がかかります。先述のハッキングのような問題解決のシーンにおいても、本来的にはすぐにでも緊急対応すべきところを、いちいち投票をするなどして意思決定に時間がかかってしまうため、結果として対応そのものが遅れてしまうというリスクもあります。

意思決定をコントロールできない

組織運営の意思決定は民主主義によって決まります。民主主義は公平である一方で、必ずしも正しい答えを導き出せるわけではありません。場合によっては、過半数を獲得することができない事案も発生する可能性があり、プロジェクトがとん挫してしまうリスクがあります。 

法整備がまだまだ

世界中で立ち上げられているDAOですが、日本を含めて各国でDAOに関する法整備が進められていないのが実情です。これは暗号資産全体においていえることですが、ハッキングに対する罰則や責任の所在などきちんとした法整備のもとで運用・取引されていない国もあります。現時点では暗号資産による取引は自己責任という形になっているのです。

次世代の組織運営を体感してみよう

DAOは新しいインターネット時代をけん引する組織運営の形を実現する可能性を大いに秘めた仕組みです。とは言え、まだまだ概念として新しく、メリットが多数ある一方でリスクも伴います。

まずはDAOのベースとなる「スマートコントラクト」や「Web3」の概念を理解したうえで、各DAOの運営方式やプロジェクトの目的などをリサーチすると、理解度もぐっと深まるはずです。誰もが意思決定者の一人として参加できる次世代の組織運営を、是非体感してみてください。

文:xDX編集部 画像提供:Getty images

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