Web3(Web3.0)とは?自律分散型社会のあり方から、ブロックチェーン・メタバース・NFTの関係まで詳細解説
目次
1990年代にインターネット技術の民主化が加速してからすでに30年近くが経過しているわけですが、ここ最近で特に、「分散」「自律」「非中央集権」といった言葉がしきりにビジネス界隈で聞かれるようになってきました。
それを象徴するキーワードとして、現在特に注目されているのが「Web3(Web3.0)」です。次世代のインターネットのあり方、ひいてはそれによる新たなる社会構造のあり方を示す共通言語として、多くのイノベーターやビジネスマンが、こぞってWeb3ベースの技術開発や思想の発信等を行っています。
具体的にどのような背景のもとでWeb3は誕生し、どんな未来が描かれているのでしょうか。本記事では、Web3の基盤技術となるブロックチェーンから、関連トピックとなるメタバース、NFT、そしてインターオペラビリティまで、Web3のあらましをxDX編集長が詳しく解説していきます。
Web3とは
Web3とは、「インターネットの新しいパラダイムを指す概念」を表す言葉です。具体的には、後述しますが、「非中央集権・分散」の仕組みをベースに、「個人へのエンパワメント」がなされるネット社会のあり方を表す概念となります。
この文脈で語られるWeb3(当時は「Web 3.0」)は、2014年に、ブロックチェーンの中核的なインフラ企業であるParityTechnologiesを創設したGavin Wood(ギャビン・ウッド)氏によって提唱されました。ギャビン・ウッド氏といえば、分散型オープンソースブロックチェーンであるイーサリアム(Ethereum)の共同創設者でもある人物。イーサリアムについては、暗号資産としてご存知の方も多いでしょう。
Web3を考えるための3つのレイヤーの話
Web3を理解するためには、大きく分けて以下3つのレイヤーの話が存在すると言えます。
- Web3を実現するための基盤技術の話(ブロックチェーン等)
- 基盤技術を使った新しいツールの話(メタバース、Web3ライクのブラウザ等)
- 新しいツール群を使ったこれからの未来社会の話(自律分散型社会等)
本記事では、主に2番(基盤技術を使った新しいツールの話)と3番(新しいツール群を使ったこれからの未来社会の話)についてお伝えするのですが、一方で基礎的なIT知識(基本情報技術者試験レベル程度)をお持ちであれば、ぜひWeb3がどのような技術に立脚しているのかを知るのも良いでしょう。
Web3を実現するための基盤技術の概要を知るには、先述したウッド氏による2014年の投稿(ĐApps: What Web 3.0 Looks Like)(※)と、それを分かりやすく解説した加納 裕三氏(株式会社bitFlyer Blockchain Co-Founder/CEO)による解説note記事(前編・後編)が非常にオススメです。ご覧いただくとお分かりのとおり、当時はまだ「ブロックチェーン」という言葉を用いた説明はなされていませんが、そこに記載されているコンセプトは、まさに今日でいうブロックチェーンに通ずる内容となっています。
※こちらのリンク先の内容は、当時はgavofyorkのブログ「Insights into a Modern World」に投稿された内容を転載したもの、とのことです
そんなウッド氏は、これまでWeb3に関して様々な発信をされてきましたが、たとえば2018年9月13日にMediumブログにポストされた記事(Why We Need Web 3.0)では、以下のように記載しています。
What precisely is wrong with the web today? In short, it’s a big baby. It has grown old without growing up. While connecting the far corners of the globe with a packet-switching network and hypertext platform is an incredible achievement, the web has become corrupted from its own success.
日本語訳)
「現在のWebは一体何が問題なのか?端的にお伝えすると、それは、成長することなく老いてしまった「大きな赤ん坊」だ。パケット通信ネットワークとハイパーテキスト・プラットフォームで世界の隅々まで接続したことは素晴らしい成果だが、その成功そのものによって、Webは堕落してしまったのだ。」
これを理解するためには、これまでのインターネットの歴史(Web1.0とWeb2.0)を振り返る必要があるでしょう。
Web1.0とは
時期 |
1990年代半ば〜2000年代前半頃 |
主要デバイス |
パソコン端末(デスクトップが主流) |
流通データ |
ハイパーテキスト |
国内主要サービス |
Yahoo!Japan、Google |
主な通信環境 |
ダイヤルアップ接続〜ISDN〜ADSL(有線LAN)、第2世代移動通信システム(2G) |
他キーワード |
マルチメディア、CD-ROM、Windows95、ユビキタス |
Web1.0とは、HTMLによる「静的なホームページの閲覧」が人々によるネット活動の主流派だった、インターネット普及の黎明期を示します。
通信環境としては、パソコンでは電話回線を使ったダイヤルアップ接続から有線によるISDN・ADSLまでが、モバイル(ガラケー)では2G回線が、それぞれ使われていた時代です。当然、今とは比べ物にならないほど遅い通信環境なので、動画のような大容量データは基本的には閲覧できませんし、画像であっても画像の上から少しずつ表示されるような状況が散見されました。また、現在のLINEのような即時性の高いコミュニケーションツールも存在せず、せいぜいクライアントパソコンにインストールしたメールソフトを使って電子メールでやりとりするか、ネット掲示板で公開形式でコミュニケーションをとるしかありませんでした。
もちろん、インターネット以前を考えてみると、世界中のさまざまな情報にアクセスできること自体が画期的だったわけですが、ホームページを1つ作成するにも相応の設備投資やWeb技術の知識が必要だったので、情報の発信者と受け手が明確に分かれていた時代だと言えます。
Web2.0とは
時期 |
2000年代半ば〜2020年代前半頃 |
主要デバイス |
モバイル端末(スマホ・タブレット等)、パソコン端末(ノートタイプが増加) |
流通データ |
ソーシャルグラフ、UGC(ユーザー生成コンテンツ) |
国内主要サービス |
Amebaブログ、mixi、Facebook、Twitter、YouTube、TikTok |
主な通信環境 |
ADSL〜光(有線/無線LAN)、第3世代移動通信システム(3G)〜第4世代移動通信システム(4G) |
他キーワード |
ビッグテック(GAFAM)、ソーシャルメディア、SNS、シェア、プラットフォーム独占 |
Web1.0時代と比較して、より情報の発信者と受け手の境が薄れた点が、Web2.0の大きな特徴となります。上表の主要デバイスにあるとおり、スマホやタブレットが台頭したのもWeb2.0時代の話で、人々は日常生活の中でFacebookやTwitterといった双方向性の高い媒体に多くの時間を費やすようになり、デジタル上の人間関係となるソーシャルグラフを楽しむようになりました。
また通信環境についても、光回線や4Gの登場によって通信速度が大幅に向上し、大容量データのやりとりもある程度ストレスなく行えるようになったことから、YouTubeをはじめとするスマホでの動画視聴文化も加速しました。
ユーザーの手によって作られたUGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)をはじめ、あらゆる形式のコンテンツが、既存のメディア媒体・SNS・ブログなど様々な媒体で発信されるようになったので、コンテンツが爆増したのもWeb2.0の大きな特徴だと言えます。
「平成18年版 情報通信白書」では、このWeb2.0を「ユビキタスネットワークの進展がもたらす新しい社会経済システムの姿」とし、以下を実現するものとして、「ユビキタスエコノミー」という期待を込めた表現で説明がなされています。
社会に分散して存在する多数の利用者は、OS(オペレーティングシステム)やアプリケーション、あるいは端末の制約を受けることなく、ネットワークを介して結び付き、多様な知識を集結しつつ、様々な形態の協働(コラボレーション)を行うことが可能となる。
(画像出典:平成18年版 情報通信白書「ユビキタスエコノミー」より)
ちなみに「Web2.0」という言葉は、O'reilly Mediaという米出版社のCEOであるTim O'reilly(ティム・オライリー)氏によって、2005年に「What Is Web 2.0」という論文で使われたのが最初だと言われています。
以下の、オライリー氏によるWeb1.0とWeb2.0の比較表記は、時代を感じさせる内容があるものの、本質的なパラダイムシフトを示したものとして非常に興味深いものとなっています。
Web2.0で露呈した問題
Web2.0の時代では、GoogleやApple、Facebook(現Meta)、Amazonといった、いわゆるビッグテックと呼ばれるデジタルプラットフォーマーが大いに躍進しました。
2021年8月26日に日本経済新聞が報じたところによると、上述した4社(GAFA)の株式時価総額が、日本企業全体の株式時価総額を超えたとのことです。たった4社で、世界第3位の経済大国にある全企業の株式時価総額を超えたというのは、なんとも衝撃的なニュースでした。
ここからもお分かりのとおり、一部のデジタルプラットフォーマーに富と資源が集中しすぎており、その弊害として様々な問題が発生しています。ここでは、3つに的を絞ってお伝えします。
一部のデジタルプラットフォーム・組織体への極度の依存(中央集権化)
一部のデジタルプラットフォームは、人々の日常生活に影響を与えるレベルのインフラになってきています。たとえばFacebookは、投稿を通じて情報をシェアする機能と、LINEライクなメッセージのやりとりができる「メッセンジャー」にエンドユーザー機能を大別できるのですが、後者を日常的に使っている人や企業は多い状況です。
つまり、Facebookがダウンしてしまうと、業務的に弊害が出るケースが頻発すると言えます。現に、Facebookでしか相手との連絡窓口がない、という知り合いも多いのではないでしょうか。
またインターネットそのものについても、実はIPアドレスとドメイン情報については、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という組織が管理をしています。同団体は非営利ではありますが、同団体に認められないと、我々が通常使っているChromeやSafariといったWebブラウザでは情報を参照することができません。
このように、一部のデジタルプラットフォーム・組織体へと極度に依存する体質にシフトして行ったのが、Web2.0の弊害のひとつだと言えます。
プライバシー・ガバナンスの問題とプライバシーパラドックス
また、これと関連する項目として、我々エンドユーザーに関するプライバシー・ガバナンスの問題も、Web2.0時代に大きくクローズアップされることになりました。
たとえば何か一つのネットサービスを利用しようとすると、事前に自身に関する情報(個人データ)を提供する必要があるケースが多く存在します。Facebookのように氏名や性別、電話番号を登録する必要があるものもあれば、それ以上の項目として、メールアドレスや住所、所属企業などを登録する必要があるものもあるでしょう。
これらの情報をどのように使うかは、個人データを収集した企業によって千差万別です。ある企業は、収集したメールアドレス宛に自社のプロモーション情報を送付するでしょうし、ある企業は、登録したサービス上の動作情報とくっつける形で、ユーザー一人ひとりにパーソナライズした商品のリコメンド情報を送るかもしれません。Facebookなどはまさに後者の事例として、Facebook上での行動データ等を組み合わせる形でプラットフォーム上にパーソナライズしたFacebook広告を配信するなどしています。
また、ユーザー本人からの事前同意のもとで、個人データの第三者提供が行われているかもしれません。ここでいう同意の行為とは、具体的には利用規約やプライバシーポリシーを事前に画面等で提示して、同意する場合のみ先のサービス利用に進めるというシーンが想定されます。しかし、決してユーザーフレンドリーではない文章と文字量で記載されている利用規約やプライバシーポリシーの内容を、どれほどの方がしっかりと読んでいるでしょうか?2020年4月に公正取引委員会が実施した調査結果によると、利用規約を「きちんと全部読んで同意する」ユーザーは、全体の5.5%(2000人中110人)に過ぎないことが明らかになっています。
利用規約を「読んでいる」といずれか答えた人に対する「利用規約はどの程度読んでいますか」という質問への回答分布(画像出典:公正取引委員会「【詳細版】デジタル広告の取引実態に関する消費者向けアンケート調査結果」p89より)
加えて、2022年3月に経済産業省が発表した調査結果によると、消費者の73.6%はプライバシー保護に関心があり、70.4%は個人に関する情報の提供に関して慎重であることが明らかになっています。
しかし、いくら私たちがプライバシーについて関心をもって慎重になっていたとしても、実際の行動では、引き続き個人データを提供しないと使えないようなデジタルプラットフォームを日々活用しているという、いわゆる「プライバシーパラドックス」が顕著に発生しています。実際のところ、「たとえFacebookの利用をやめたくても、すでに仕事のやりとりや友人とのコミュニケーションで活用しているので、今更アカウント破棄ができない」という人が多く、単一のデジタルプラットフォームへと過度に依存することによるプライバシーガバナンスの問題は、相当根深いと言えます。
ちなみに、米メディア理論家であるDouglas Rushkoff(ダグラス・ラシュコフ)氏は、このようなWeb2.0ベースの経済環境を「デジタル産業主義」と表現し、痛烈に批判しています。
この辺りの内容については、こちらの雑誌の冒頭特集でラシュコフ氏による寄稿を読めるので、ぜひ併せてご覧ください。
▷ 書籍『NEXT GENERATION BANK 次世代銀行は世界をこう変える』(若林 恵:日本経済新聞出版)
また、プライバシーパラドックスについては、以下の書籍が参考となるので、こちらも併せてご覧ください。
▷ 書籍『プライバシー・パラドックス データ監視社会と「わたし」の再発明』(武邑 光裕:黒鳥社)
コンテンツなどのデジタルデータの所有権はプラットフォーマーにあり
ここまでお伝えしたとおり、Web2.0時代ではデジタルプラットフォームを有する企業が絶大な力を持つこととなりました。ユーザーはプライバシーパラドックスの中で積極的にデジタルプラットフォームを活用せざるを得ず、その中で「所有権のないコンテンツ生成」を続けることとなりました。
所有権のないコンテンツとは、たとえばSNSでの投稿やブログ記事などといったUGCが挙げられます。UGCは、プラットフォーム上では自分が作成者として紐つけられて管理されますが、たとえばプラットフォーム運営者から何かしらの警告を受けて自分のアカウントがBAN(利用停止措置やアクセス禁止措置)されたとしたら、そのアカウントに紐つくUGCも全て見れなくなったり削除されてしまったりします。
もちろん、たとえばブログで記載した文章や写真を別の場所に保管していたとしたら、その内容自体は“自分が管理できる所有物”として引き続き存在するわけですが、少なくともブログという形態のコンテンツについては、自分が作成者であっても自分の意志とは関係なく非表示・削除などといった扱われ方がされてしまいます。
2021年1月には、米Twitter社がドナルド・トランプ米大統領(当時)の個人アカウントを永久凍結し、現役大統領の個人アカウントをBANして永久凍結したと発表しました。このように、米国大統領であってもUGCの所有権を持たないわけです。
このように、生成したコンテンツに対して所有権をもてず、デジタルプラットフォーマーの一存で扱われ方が変わってしまうことが、Web2.0時代の大きな課題だと言えます。
Web3を考える上で大切な【3つ】のキーワード
時期 |
2020年以降 |
主要デバイス |
モバイル端末&xR端末(VR/AR/MR) |
流通データ |
ブロックチェーン |
国内主要サービス |
これから誕生予定 |
主な通信環境 |
第5世代移動通信システム(5G)以降 |
他キーワード |
自律分散、クリプト(暗号資産)、DAO、DeFi、GameFi、NFT、COVID-19、ニューノーマル、クリエイターエコノミー、自己主権型アイデンティティ、インターオペラビリティ、ゼロトラスト |
ここでもお伝えしたWeb2.0の弊害に対するカウンタームーブメントとして注目されているのがWeb3です。Web3を考えるにあたっては、以下3つのキーワードがポイントになります。
- 非中央集権・分散
- 個人へのエンパワーメント
- バーチャルファースト
非中央集権・分散
Web3を考える上で最も重要な特徴は、非中央集権型の形態でネット空間が運用されるということでしょう。
Web3の世界では、特定の管理者が存在しません。後述するブロックチェーンのような暗号技術を利用した検証可能性を土台にして、運営のあり方そのものを分散化させるという考え方になります。
これにより、先述したような一部のデジタルプラットフォーム・組織体への極度の依存をなくし、またコンテンツや個人情報などといった各種データを個人へと帰属させることが期待されています。
この非中央集権・分散の特性については、ブロックチェーンの説明チャプターにて詳しく説明します。
個人へのエンパワメント(プロシューマーとクエリエイターエコノミー)
We3時代では、各種データが個人へと帰属することで、個人一人ひとりの存在がより強くなることも期待されています。
「プロシューマー」という言葉をご存知でしょうか。これは、生産者(Producer)と消費者(Consumer)が一体化した存在を指す言葉で、米評論家のAlvin Toffler(アルビン・トフラー)氏が著書『第三の波』で用いたものです。Web2.0時代ではUGC文化が加速したことから、Web1.0以前の時代と比べて、より多くの個人がプロシューマーとして活動できるようになったと考えられます。ブログやSNSでコンテンツを作成して発信しつつ、情報やコンテンツの受け手にもなる多くの私たちは、プロシューマーであると言えそうです。
これまでは、先述したとおり、作成したコンテンツやデータに所有権をもっていなかったわけですが、後述するメタバースやNFTの仕組みが民主化することで、デジタル空間上におけるUGCやクリエイティブコンテンツが自分に帰属する社会になることが期待されます。
自分が所有するコンテンツやデータは、個人データも含めて自分で管理することになるので、プラットフォームは一つのデリバリー先に過ぎません。どの情報やコンテンツをどのプラットフォームに提供し、どんな価格や形態で提供するかも自分主体で決めることができるようになるので、よりクリエイティブな活動に対する経済圏、いわゆるクリエイターエコノミーが活性化することも想像できます。
バーチャルファースト
もう一つのキーワードは「バーチャルファースト」です。これは、書籍『メタバースとWeb3』で、著者である國光宏尚氏が表現している言葉なのですが、要するに、リアル世界を加味したネット社会ではなく、後述するメタバースなどのバーチャル空間を前提にしたネット社会であるべきだ、ということです。
▷ 書籍『メタバースとWeb3』(國光 宏尚:エムディエヌコーポレーション)
同書で国光氏は、暗号資産であるビットコインは最初のバーチャルファーストなネイティブ通貨であり、先述したイーサリアムはバーチャルファーストなコンピューティングネットワークであると記載しています(書籍p23)。つまり、非中央集権 × バーチャルファーストによって設計されたものの例が、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産であり、NFTや来たるメタバースというわけです。
Web3を支えるプロトコルとなる「ブロックチェーン」
ここまでWeb3における3つの特徴をご紹介しましたが、これらを理解するために知るべきは、Web3のプロトコルとなるブロックチェーンです。
ブロックチェーンとは、トラストレスとは
ブロックチェーンとは、邦訳で「分散管理台帳技術」と呼ばれるもので、複数のオンライン上のコンピューターにまたがって、一定期間内のさまざまな取引データ(専門的に「トランザクションデータ」と言います)を「ブロック」単位でまとめて記録・管理する、新しいデータ管理技術のことです。
一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)では、広義のブロックチェーンのことを以下のように定義しています。
「電子署名とハッシュポインタを使用し改竄検出が容易なデータ構造を持ち、且つ、当該データをネットワーク上に分散する多数のノードに保持させることで、高可用性及びデータ同一性等を実現する技術」
このブロックチェーンの考え方が初めて体系的に発表されたのは、サトシ・ナカモトと呼ばれる人物による論文でした。2008年発表の「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」にて、サトシ・ナカモトは暗号資産・ビットコインの技術基盤となるビットコインプロトコルと、そのリファレンス実装であるビットコインコアの仕組みを提示し、信用に依存しない電子取引システムのあり方をまとめました。
(画像出典:経済産業省「平成27年度 我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査) 報告書概要資料」p3より)
「信用に依存しない」とは、要するに「トラストレス(trustless)である」ということです。
トラストレスと聞くと「信用がない」とイメージする方がいるかもしれませんが、そうではなく、「信頼のある第三者が必要ない(=信用に依存しない)」ことを指します。信頼のある第三者とは、たとえば預貯金取引における銀行や、コンテンツ流通におけるプラットフォーム運営会社などが挙げられるでしょう。このような特定の運営主体による“信用の担保”がなくても機能する仕組みのことを、トラストレスな仕組みだと言います。
ブロックチェーンの仕組み
では、ブロックチェーンはいかにして、このトラストレスな仕組みを実現しているのでしょうか。ここで、ブロックチェーンの仕組みを簡易的にご紹介します。
そもそも、なぜ「ブロックチェーン」と呼ばれているかというと、一つのブロック状にまとめられた取引等のデータが、鎖(チェーン)のように延々とつながる仕組みで構成されたデータ管理技術だからです。一つのブロック内には、取引データとなる複数のトランザクションデータのほか、ブロックの生成日時やプロトコルバージョン、ブロックの内容を代表するハッシュ値(専門的にマークルルートと言います)、1つ前のブロックと繋がるためのハッシュ値といったメタ情報が入っています。(厳密にお伝えすると、他にもナンスと呼ばれる整数値や採掘難易度などの様々なメタ情報が含まれますが、本記事では割愛します)
(画像出典:経済産業省「平成27年度 我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査) 報告書概要資料」p4より)
各ブロックに入っている一つひとつのトランザクションは、公開鍵暗号と呼ばれる安全性の高い暗号方式によってセキュア化されているので、ブロックチェーンは非常に堅牢な技術だと言えます。
また、ブロックチェーンは一つのメインサーバーで運用されるものではなく、物理的に離れた様々な場所にあるネットワーク参加者(ノード)が繋がりあって管理されており、従来は中央管理者の責務であった「データの正しさの検証」を、参加ノード間の合意によって実現しています。
この合意形成のルール(専門的にコンセンサス・アルゴリズムと言います)には、「Proof of 〜」という表現で様々な方法が存在するのですが、たとえばビットコインの合意形成ルールには「Proof of Work(PoW)」(※)と呼ばれる手法が採用されています。
※PoW:ビットコインのノードには、特定の条件を満たすハッシュ値を算出するというお題が与えられており、その課題をクリアしたノードに対して、ブロック(1ビットコイン)が付与されるというルールになっています。このハッシュ値の算出する行為は「マイニング」と呼ばれており、近年ではマイニングにかかる電気消費量が膨大になることが問題視されています。なお、Proof of Workの他にも、イーサリアムをはじめ多くのアルトコインで採用されているProof of Stake(PoS)や、かつて流出で大問題となったネムで採用されているProof of Importance(PoI)、後述するプライベートブロックチェーンでよく使われるProof of Authority(PoA)など、様々なコンセンサス・アルゴリズムが存在します。
このように、中央管理者が存在せずとも、ネットワーク参加者に一定のルールを課し、さらに第三者からの攻撃にも堅牢な仕組みを採用していることで、ブロックチェーンはトラストレスなデータ管理を実現していることになります。
ブロックチェーンの3つの特徴
ここまでの内容を踏まえて、改めて、ブロックチェーンの特徴を3つにまとめます。
ブロックチェーンの特徴①:自律分散性
ブロックチェーンベースのシステムは、先ほどお伝えした複数のノードが繋がりあってデータを管理しているため、どれか一つのノードがダウンしたとしても、サービスそのものが止まることはありません。
また、ブロックチェーンを活用したイーサリアムでは、「スマートコントラクト」と呼ばれる仕組みが実装されています。これは、取引を進める中で「所定の条件が満たされた場合に特定のプロセス・処理が自動実行される仕組み」です。つまり、あらかじめ想定ができる取引内容については、自動処理をすることができるものとなります。
このようにブロックチェーン技術を使ったシステムは、運営主体を分散させることで持続的に動き、かつスマートコントラクト機能を活用して自律的に動くシステムであると言えるので、中央管理者がいない状態でもワークする仕組みを実現できるわけです。
ブロックチェーンの特徴②:耐改ざん性
ブロックチェーンの特徴、2つ目は「耐改ざん性」です。
一般的なデータベースを考えると、データベースの管理者権限をもつユーザーは情報の追加や修正、削除を実行することができるので、もしも悪意をもった第三者がユーザー権限のID/パスワードを見破った場合、意図しない形で情報を改ざんできてしまいます。
一方でブロックチェーンの場合、過去にあったデータを遡っての改ざんは、実質的に不可能です。まず、ブロックチェーンでは取引者を確認するために、公開鍵暗号方式を用いた「デジタル署名」の仕組みが利用されています。また、その暗号化されたデータを改変しようとすると、その改変したいタイミングの情報から後の“全て”のブロックの情報も、整合性が取れる形で改ざんする必要があるのです。
現実的にこのような改ざんを行うことは非常に困難なので、ブロックチェーンは非常に耐改ざん性に優れた技術であると言えます。
ブロックチェーンの特徴③:トレーサビリティ
ブロックチェーンには、処理に関わる情報として「誰が」「いつ」「何を」「どのくらい」「どのようなプロセス/ルートで」取引を行ったのかという記録が刻まれており、その情報には誰でもアクセスすることができます。
つまり、極めて取引透明性(トレーサビリティ)の高い技術となります。
パブリック型とコンソーシアム型とプライベート型
最も知名度の高いパブリック型ブロックチェーンであるビットコイン
ブロックチェーンと一言で言っても、そこには主に3種類のタイプが存在します。
パブリック型ブロックチェーン
パブリック型とは、誰であってもブロックにあるトランザクション情報を確認できるタイプのブロックチェーンです。ビットコインやイーサリアムなど、大半の暗号資産はパブリック型で構成されており、誰でもノードに参加したり取引情報を確認したりできることから、透明性やトレーサビリティが非常に高いことがメリットとして挙げられます。一方で、誰でも参加できるのでノード数が際限なく増え、またそれに併せて取引量も増加していくので、スケーラビリティの問題が発生しやすいと言えます。
プライベート型ブロックチェーン
パブリック型が「公」だとしたら、プライベート型は「私」です。先ほど記載した仕組みと矛盾するようですが、プライベート型は、中央管理者が存在するタイプのブロックチェーンとなります。特定の企業やプロジェクトで活用されることが想定されたブロックチェーンなので、トラストレスや透明性という点ではパブリック型よりも随分と下がりますが、ノード参加者が少ない分、スケーラビリティの問題は生じにくい点がメリットとして挙げられるでしょう。もちろん、第三者に対する堅牢性や耐改ざん性という特性は保持したままなので、セキュリティレベルの高いデータ管理を求める企業にとっては、ブライベート型ブロックチェーンがソリューションとして適切だと言えそうです。
コンソーシアム型ブロックチェーン
コンソーシアム型は、一言でお伝えすると、パブリック型とプライベート型の中間のような位置付けのブロックチェーンタイプです。プライベート型が主に1管理者で運営されるのに対して、コンソーシアム型は複数の管理者で運営されます。とはいえ、パブリックのように誰でも参加できるものではなく、あくまで決められたメンバー内での運営を想定したブロックチェーンとなります。トラストレスや透明性についてはプライベート型よりも高く、またスケーラビリティの問題についてはパブリック型よりも生じにくいという点で、組織を横断するような共同体的なプロジェクト等での活用で特に価値を発揮するタイプのブロックチェーンとなります。
ブロックチェーンを取り巻く動き・トレンド
それでは、具体的にブロックチェーンを活用した取り組みやトレンドとしてはどのような物があるのでしょうか。ここでは、金融領域を中心に2つのトピックをご紹介します。
DAO(分散型自律組織)とDeFi(分散型金融)
DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、ここまで見てきた非中央集権の仕組みをベースにした組織体系(分散型自律組織)のことを示します。ステークホルダー間で議論された決定事項はブロックチェーン上に刻まれることになるので、ブロックチェーンの特徴でもある自律分散性・耐改ざん性・高いトレーサビリティを有し、より民主的なプロセスでの運営が期待されている組織体系となります。
そして、このDAOを活用した金融の仕組みのことをDeFi(Decentralized Finance:分散型金融)と呼びます。金融といえば、銀行や日銀(中央銀行)が存在するとおり、ザ・中央集権型の代表格ともいえる産業領域です。そんなCeFi(Centralized Finance)が前提であった金融システムを、ブロックチェーンを活用して分散型運用へと作り替える動きが、DeFiだと言えます。
DeFiが実現すると、まずは運営者によるマージンがなくなるため、より安価な手数料で金融取引を行うことができます。また、たとえば銀行の窓口のような物理世界を前提とした仕組みではなく、よりバーチャルファーストな思想で各オペレーションが設計されているので、地理的な場所を問わずにサービスを教授することもできるでしょう。
一方で、何かしらの取引トラブルが発生した場合、銀行のような運営者による顧客サポートサービスが存在しないことになるので、利用者は自己責任で対応する必要があります。また、これはDAO全般にもいえることですが、分散型スキームに各国の法的枠組みが追いついていないことから、トラブル対応は困難を極めることも想定されます。
メリットが大きい分、まだまだデメリットも大きい点が、DAOおよびDeFiの現状だと言えるでしょう。
※DAOの詳細については、以下の解説記事「DAO(分散型自律組織)とは?Web3時代に必須となるプロジェクト型組織運営のあり方を解説」も併せてご覧ください。
金融庁が音頭を取る国際ネットワーク「BGIN(ビギン)」
(画像出典:BGIN公式サイトより)
ブロックチェーンに注目しているのは、民間企業だけではありません。我が国の金融庁も、早い段階からブロックチェーンの活用や運用検討を進めており、これまで「ブロックチェーン国際共同研究プロジェクト」や、その成果を踏まえた「ブロックチェーンラウンドテーブル」を主催し、研究者やエンジニアを含めた多様なステークホルダーとのディスカッションを進めてきました。2019年6月に開催された、日本が議長国となった「G20 財務大臣・中央銀行総裁会議(福岡)」では、先述したDeFiの進展を見据えた新しい形のグローバルな協力体制構築のため、規制当局と幅広いステークホルダーとの間の対話を強化することの重要性について、国際的合意を得たという経緯もあります。
そんな背景を経て、金融庁は2020年3月10日、ブロックチェーンに関する新たな国際的ネットワーク「BGIN(Blockchain Governance Initiative Network、読み方:ビギン)」の設立を発表しました。金融庁によると、BGINとは「ブロックチェーンコミュニティの持続的な発展のため、すべてのステークホルダーの共通理解の醸成や直面する課題解決に向けた協力を行うためのオープンかつ中立的な場を提供することを目的とし、当面の活動目標として、以下の3点を掲げ」ている団体となります。
- オープンかつグローバルで中立的なマルチステークホルダー間の対話形成
- 各ステークホルダーの多様な視点を踏まえた共通な言語と理解の醸成
- オープンソース型のアプローチに基づいた信頼できる文書とコードの不断の策定を通じた学術的基盤の構築
前項にて「法的枠組みが追いついていない」とお伝えしましたが、規制当局としても何も手をつけていないわけではなく、BGINのような動きを通じて、最先端の社会システムのあり方とそれに伴う規制のあり方の検討を積極的に進めている状況だということは、特に強調しておくべきでしょう。
ブロックチェーンにまつわる様々な書籍
ブロックチェーンがどのように世界を変えるのかを、具体的にイメージしてテンションを上げたい、という方にはこちらの書籍がおすすめです。
▷ 書籍『ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか』(ドン・タプスコット、アレックス・タプスコット:ダイヤモンド社)
また、ブロックチェーンの日本におけるビジネス活用を検討されたい場合は、以下の書籍が良いでしょう。
▷ 書籍『ブロックチェーンをビジネスで活用する』(PwCあらた有限責任監査法人:中央経済社)
さらに、ブロックチェーン技術の要素となっている暗号技術や認証技術について理解を深めたい方は、以下の書籍がオススメです。暗号と認証についての様々なパターンが丁寧に、かつわかりやすく解説されています。
▷ 書籍『図解即戦力 暗号と認証のしくみと理論がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(光成 滋生:技術評論社)
なお、黒鳥社という出版社から発売されていた『Blockchain Handbook for Digital Identity 2018 volume1』という書籍も、とてもわかりやすいブロックチェーンの入門書として愛読していたのですが、現在はAmazonをはじめどのECサイトでも販売されていないようです。書店にはまだ存在するケースがあるようなので、見つけたらぜひ読んでみていただきたいです。
Web3のワールドの一つとなる「メタバース」
次に、ここ最近で急速に認知が広がっている「メタバース」のあらましについてご説明します。
メタバースとは
メタバースという言葉には、現時点で様々な解釈や定義が存在するようですが、最も分かりやすくシンプルに表現されたものとして、一般社団法人Metaverse Japanによる定義を以下に転載します。
「メタバース(Metaverse)とは、インターネット上の仮想現実空間を利用し、ユーザー同士のコミュニケーションや現実さながらのライフスタイルを送ることができる世界です。古代ギリシャ語の「meta(超越)」に、英語の「universe(世界)」という言葉をかけ合わせて生まれました。」
メタバースという言葉が最初に登場したのは、Neal Stephenson(ニール・スティーヴンスン)氏によるSF小説『Snow Crash』(スノウ・クラッシュ)だと言われています。この小説のなかで、メタバースは“仮想世界”を表す言葉として使われており、不特定多数の参加者がインターネットを通じたバーチャル空間上で自由に行動できる「場」として活用されていました。
急成長への期待が高まるメタバース市場
メタバースが大きく期待されていることは、その関連団体の数によってもお分かりいただけるでしょう。2022年5月上旬時点で、国内だけでいか5つのメタバース(もしくはそれに準じたテクノロジーの)推進団体が設立されて情報発信等を行っています。
メタバースが注目される背景としては、まずはその市場規模への期待値が挙げられるでしょう。調査・コンサルティング企業であるEmergen Researchが2021年11月に発表した分析結果によると、世界のメタバース市場規模は2020年に476.9億米ドルに達しており、2028年には8289.5億米ドルへと急成長するとしています。これは、実に43.3%のCAGR(年平均成長率)で拡大していくというものです。
この動きを後押ししている要因の一つが、2020年に発生したCOVID-19パンデミックであると、同調査は続けます。
ビフォアコロナでは、大多数の人々はメタバースのことを“エンタメの未来”として捉えていたと感じますが、COVID-19が猛威を奮ってリモートワークが広く普及するなどして生活者のDXが急加速したことで、他産業も含めた社会活動全般にパラダイムシフトをもたらす可能性のあるテーマだと再認識するようになりました。
なぜ今、メタバースなのか?
メタバースという言葉が日本国内のビジネスシーンで積極的に活用されるようになったのは、実は今回が初めてではありません。
米Linden Lab(リンデン・ラボ)社が2003年6月23日にリリースした「Second Life(セカンドライフ)」は、2007年〜2008年にかけてマスメディアを中心に日本国内で大いに盛り上がり、その際にメタバースという言葉も多く使われていました。
セカンドライフは早すぎた

セカンドライフでアカウント登録をした直後の画面例
セカンドライフでは、ユーザーは好みの3Dアバターを選択し、バーチャル3D空間内を自由に行き来して(歩く・走る・乗り物に乗る・空中を飛ぶ etc…)、他ユーザーのアバターとコミュニケーションをとったり、セカンドライフ内の独自通貨「L$(Linden Dollar:リンデンドル)」を使って仮想空間内でコンテンツの売買を行うことができます。
運営会社であるリンデン・ラボ社は、早い段階からユーザーが作ったデジタルコンテンツ(UGC)はユーザーに所有権があるとが宣言しており、またリンデンドルは現実世界の現金(米ドル)と交換することも可能だったことから、ユーザーは自分で作ったデジタルコンテンツで商売をすることもできるわけです。実際にプレイしてみると分かるのですが、セカンドライフ内に存在する建物などのオブジェクトは、ほとんどがユーザー自身によって作られたものとなります。
一般的なゲーム作品と異なり、明確なミッションがないデジタル空間に同時接続したユーザーが、互いにコミュニケーションをとり、普通の生活の延長のような形で経済活動を行うというコンセプトは、当時として非常に先鋭的な思想のプラットフォームだったと言えます。
しかし、大人数同時接続に耐えうるようなサーバー環境や、そのための各国のネットワーク環境の整備等がなかなか追いつきませんでした。そのため、プレイ中の3Dアバターの動きが非常にモッサリとしてしまうなどしてユーザーの心は急速に離れてしまい、結果として一過性のブームで終わってしまいました。
そして今回、日本としては2度目のメタバースブーム到来ということになります。前回の「一過性ブーム」との違いがどこにあるかというと、以下3つの要因が考えられるでしょう。
- 通信環境・PCスペックの向上
- xRデバイスの民主化
- 人々のバーチャル空間耐性の向上
要因①:通信環境・PCスペックの向上
当時と比較して劇的に進化した要因の一つが、通信環境です。
セカンドライフがブームになった2007年といえば、Web2.0時代がようやく始まったタイミングです。据置PCのネット環境としては、光ファイバーを使ったFTTH(Fiber To The Home)接続、いわゆる光回線接続が都市部で開始されていたものの、まだ一部の家庭でしか導入されておらず、多くはADSL回線や、それ以前のISDN接続という状況でした。
これに対して現在では、下グラフの青線のとおりFTTHの導入が急激に増えていったことから、通信環境に起因するデバイス操作のストレスは大幅に減少したと言えそうです。
固定系ブロードバンドサービス等の契約数推移(画像出典:総務省「令和3年 情報通信白書」より)
また、2020年から本格的にスタートしている5G通信の普及もポイントです。当時の3G・4Gに比べて通信速度が圧倒的に速いので、大容量データの双方向通信が必要なデジタルプラットフォームでも、リアルタイム性の高いインタラクティブなコミュニケーションがストレスなく実現するようになってきたと言えます。
要因②:xRデバイスの民主化
次に、デバイスの進化も重要な要因です。コンピューターのマシンスペックの進化はもちろん、それぞれのxRに対応するデバイスも、確実に普及期へと進んでいます。
そもそもxRとは、VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)などの技術の総称です。「次なるスマホ」と目されており、現在多くの企業が技術開発の投資をしています。
VRとは、専用のゴーグル(ヘッドマウントディスプレイ:以下、HMD)を頭に装着することで、コンピューター上に生成された仮想空間・映像空間の中に、実際にいるかのような体験ができる技術のことです。HMD市場は、「VR元年」と言われる2016年に急速に拡大開始し、2018年にはスタンドアローン型HMDとして「oculus Go(オキュラスゴー )」がリリースされたことでデバイスの低価格化が進み、主にゲーム領域で急速に利用が広がっていきました。
もちろんビジネスでの活用も随分と進んできており、たとえばシミュレーションをサポートする技術としては、自動車の製造現場における衝撃シミュレーションや、特定の技能を習得するためのシミュレーショントレーニング用途で活用されています。また福祉の現場においては、VR動画を見ながら足こぎペダルで仮想散歩をするようなソリューションも開発されています。
ARとは、現実世界の視野に対して、ディスプレイ等を通してデジタル情報を重ねて見せる技術のことです。イメージしやすい例としては、かつてスマホアプリとして人気を博した「セカイカメラ」や、2016年夏にリリースされて一斉を風靡した「Pokémon GO」などが挙げられるでしょう。
こちらは視界を完全に遮るHMDはほとんど使われず、メガネのようにかけて使用する「スマートグラス」の他に、スマートフォンやタブレットといったカメラ付きのデバイスでの活用が期待されています。
ARグラスを活用すると、基本的にはハンズフリーでさまざまな操作を行えることになるので、マニュアル参照が必要な作業を行う現場で、楽に作業を進めることができることが挙げられます。また、現実の風景にデジタル情報を補足情報として付加できるので、よりリッチな情報を参照しながら判断等を下すことができるようにもなるでしょう。
そしてMRとは、現実世界を3D空間としてデジタル情報化し、その中に架空のオブジェクト等のデジタル情報を配置して、自由に操作できる技術のことを指します。よく「ARとMRの違いが分からない」という言葉を聞きますが、現実世界の空間把握ができるか否かが、ARとMRの違いだと言えます。
現実世界の空間把握についてもう少し詳しく説明しますと、たとえばPokémon GOに表示されたスマホ画面上のモンスターは、現実空間に存在するかのように見えますが、モンスターを触ろうと思っても、その手はモンスターをすり抜けてしまいます。つまり、デジタルで表示されたモンスター映像と現実の世界には接点がなく、鑑賞もしないということになります。これがARです。
対してMRによるPokémon GOがあるとするならば、アプリが現実世界の座標などをしっかりと把握することになるので、現実世界の自分がモンスターに向けて手を伸ばせば、その手の動きに合わせてモンスターが反応し、まるで触っているかのような動きを見せることになるでしょう。つまり、デジタル世界のモンスターとリアル世界の手が、しっかりと情報としてリンクしているというわけです。
メタバースのようなバーチャルファーストな世界を想定すると、デジタル空間に没入できるVRや、現実世界の情報をリッチにするAR・MRのデバイスが手に入りやすいのは、非常に大事なことです。調査会社であるIDCが2021年12月に発表した「AR・VRヘッドセット市場概況」によると、ARとVRを合わせたヘッドセット出荷台数は年々増えていく想定となっています。
(画像出典:AR/VR Headset Forecast, 2021Q3「IDC “AR & VR Headsets Market Share」より)
要因③:人々のオープンワールドへの耐性向上
もう一つ、無視してはならないのが、人々が「オープンワールド」なバーチャル空間に対して、より慣れた(耐性ができた)ということです。
オープンワールド(Open world)とは、ゲーム内の仮想世界でユーザーが自由に移動・探索して、ミッションなどを達成していくというコンピューターゲーム用語です。『グランド・セフト・オート(GTA)』シリーズや『龍が如く』シリーズなどが、代表的なオープンワールド系ゲームだと言えるでしょう。
また、先述した通信環境やコンピューターのマシンスペックの向上によって、MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)をプレイする人口も増加し、ゲームとは言えバーチャル空間での社会に没入しやすくなりました。
つまり、日常生活の延長としてメタバースを捉える人が、少なくとも2007年当時よりも増えていることも、大きな違いだと言えそうです。
Web3とメタバースの関係
このように新しい生活圏の選択肢として多くの企業が注目するメタバースですが、「Web3=メタバース」という誤った見方をする方も多い印象です。
ここまで本記事を読まれた方であればお分かりのとおり、Web3とは既存のネット空間、ひいては現実世界の「中央集権型モデルと相対するパラダイム」のことであり、メタバースとは、私たちが日常生活を営む空間の「選択肢の一つ」です。
つまり、Web3という大きな流れのなかで現実的に運用可能なバーチャルファーストのワールドの一つが、メタバースという位置づけになります。
現時点(2022年5月)の主流な意見としては、メタバースは単一の巨大なプラットフォームではなく、大小さまざまなプラットフォームが存在し、人々も同様に複数のメタバースを活用すると想定されています。
複数のメタバース(ワールド)を出入りするにあたって、人々は各プラットフォームで「別の人格」を表現することができるでしょう。現実世界では、私という存在は当然ながら1人だけになりますが、メタバース上ではアバターを通じて、複数の外見や性格で活動することができます。現実世界の個人情報と紐つかないアカウント・アバター(デジタルアイデンティティ)で活動することもできるでしょうから、現実世界でなかなか発信・活動できないことも、より行動しやすくなると考えられます。
このように、メタバースは人々が生活するワールドの選択肢の一つではあるのですが、同時にWeb3の社会実装を加速させる、非常に重要な役割をになっているとも言えます。
Web3で流通するコンテンツフォーマットとなる「NFT」
ブロックチェーンをプロトコルとするWeb3時代において、もう一つ、重要な概念が「NFT」となります。
※「トークン」そのものをキャッチアップされたい場合は、以下の解説記事「トークン(token)とは?Web3や暗号資産(クリプト)を理解する上での定義や考え方、種類を解説」も併せてご参照ください。
NFT(非代替性トークン)とは
NFT(Non-Fungible Token)とは、日本語で「非代替性トークン」と訳される概念です。
非代替性とは何かを考える上で、たとえばお財布に入っている現金・千円札を想像してください。その千円札を「千円分の価値のある紙幣」という視点で捉えると、別の千円札と交換することが可能となります。一方で、「特定の記番号(シリアル番号)が印字されている紙幣」という視点で捉えると、該当の紙幣は唯一無二のものとなり、全く同じものと交換するという概念はなくなります。この例に則って考えると、前者を「代替性あり」、後者を「代替性なし(非代替性)」と考えことができます。
NFTとは、ブロックチェーン技術を活用して、コンテンツの「非代替性」を担保する仕組みなのです。
NFTの仕組みを活用した最初のブロックチェーンゲームが「CryptKitties」という、ゲームキャラクターの猫を収集・育成するものだと言われています
これまでのデジタルデータ・コンテンツは、コピーできることが前提としてありました。デスクトップにあるコンテンツのファイルを[Ctrl + C]でコピーして[Ctrl + V]を押すと、すぐに該当ファイルをコピーして量産することができます。
これに対してNFTでは、「このデータは、◯年◯月◯日に発行された識別番号XXXXXXXXのデータである」(簡易例)というメタデータを付与することで、デジタル空間においても先ほどの紙幣の例でみたような唯一無二性が与えられるということになります。
ちなみに、似たような概念として混同されやすいのが「暗号通貨」です。ビットコインやイーサリアムのような暗号通貨は、個別の識別情報を考慮しない形で資産価値のあるデジタルデータとして流通しているので(同じ1ビットコインでも、そのアドレスやメタデータ等によって価値が変わる、というものではない)、暗号通貨は代替性トークン(Fungible Token)であると言えます。
NFTの特徴
NFTには以下3つの特徴があります。
- 唯一性
- 取引可能性
- プログラマビリティ
唯一性
先ほどお伝えしたとおり、NFTは「非代替性」トークンとなるので、唯一性がある点が大きな特徴となります。
もちろん、NFTそのものはブロックチェーンを活用した暗号資産の一つではあるのですが、それが即ち「通貨である」ということではありません。先述したとおり、ビットコインやイーサリアムのような代替性のある暗号資産ではないので、通貨として流通させる類のものではありません。
アートや不動産から、ゲーム内のいちデジタルコンテンツまで、所有権の証明が必要なあらゆるコンテンツの流通で利用されるものとなります。
取引可能性
ブロックチェーンで作られた暗号資産と聞くと、専門のプログラミング知識が必要だと思われるかもしれませんが、NFTの作成に難しい知識やスキルは必要ありません。
NFTが発行されるのはブロックチェーン上ではありますが、たとえば世界最大のNFTマーケットであるOpenSeaでは、面倒な手続きが必要なく、簡単に無料でNFTを出品することができます。

プログラマビリティ
NTFを特徴づけるものとして、プログラマビリティ(プログラム可能なこと)は非常に重要なポイントです。
多くのNFTはイーサリアムで作成されているのですが、先ほどイーサリアムには「スマートコントラクト」という機能があるとお伝えしました。これは、Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏が2013年に発表したホワイトペーパー「Ethereum: A Next Generation Smart Contract & Decentralized Application Platform」を通じてイーサリアムの機能として提示されたもので、「所定の条件が満たされた場合に特定のプロセス・処理が自動実行される仕組み」として広く活用されています。
リアルな世界でのモノの売買シーンを考えてみると、コンテンツの制作者は一般的に、販売したタイミングのみで金銭を授受することになります。その後、購入者がそのコンテンツを再販したとしても、最初の制作者には1円も入ることはありません。
一方でNFTの場合、スマートコントラクト機能を活かして、コンテンツ取引がなされる場合に様々な機能をつけることができます。なので、たとえばコンテンツが二次流通する場合においても、プログラム内容によっては制作者に売上などが還元されるようにすることが可能なのです。もちろんそこに人間は介入せず、あくまでプログラミングによる自動処理として、そのようなことが可能というわけです。
このプログラマビリティという特徴から、NFTは非常にクリエイターフレンドリーな仕組みであると考えられており、先述した「クリエイターエコノミー」を加速させるものだと言えます。
規制サイド(法律)の整備が喫緊の課題
NFTは、ここ数年で急速に発展した分野で、日本においてはまだ話題になってから1年足らずという状況です。当然ながら、法整備などの規制対応は追いついておらず、2022年5月時点で国内にNFTを直接規制する法律は存在しません。
先ほどから「所有権の取得」についてお伝えしてきましたが、日本の法律の場合、所有の対象は有形物に限定されます(民法第85条)。一方でNFTはデジタルデータという無形物であるため、日本においては所有の対象とはならないのです。つまり、NFTを購入したとしても、法律上は所有権を主張できないというわけです。もちろん、著作権法上の「著作権」の移転も、著作権者との間でそのような個別の契約を交わさない限りはなされません。
また、実際に著作権上の所有権を持っていない人でも、Web上に落ちている画像などのコンテンツから“勝手に”NFTを作成するケースも見受けられます。このように、著作権侵害のトラブルも多く発生しているのが現状です。
NFTの恩恵を国内で十分に享受するためには、適切な規制のあり方がステークホルダー間で十分に議論され、ルールとして策定される必要があります。
Web3と、ブロックチェーンとメタバースとNFTの関係
先述したとおり、Web3を考える上では、以下の3点が重要だとお伝えしました。
- 非中央集権・分散
- 個人へのエンパワーメント
- バーチャルファースト
非中央集権型の自律分散型社会を実現するためのプロトコルとしてブロックチェーンが活用され、その上で人々がバーチャルファーストな社会で、より自由度高く活動できるワールドの選択肢としてメタバースがあるとお伝えしました。この中で、個人の経済性を担保するための仕組みとして、NFTが大いに期待できると言えます。
つまり、Web3の技術基盤をなすのがブロックチェーンで、その上に構築される新しい経済圏がメタバースで、その中を流通するコンテンツフォーマットがNFTという考え方ができます。
Web3で最も大事なことは「インターオペラビリティ」
ここまでお伝えしたWeb3の構成要素を十分に機能させるために、最も取り組むべき課題の一つとして「インターオペラビリティ(Interoperability)」があります。
インターオペラビリティとは、「相互運用性」と訳されるシステム用語で、異なるシステムを接続・組合せなどをして使う際に、全体として問題なく機能することを指します。
Web3の世界では、ブロックチェーンにおけるインターオペラビリティ問題が挙げられるでしょう。ブロックチェーンにはビットコインやイーサリアムなど、多様な仕様の基盤が存在します。暗号資産という大きな括りで考えると一緒なのですが、ここまでお伝えしたとおり、たとえばイーサリアムにはスマートコントラクト機能が実装されていたり、コンセンサス・アルゴリズムが異なっていたりなどして、一つひとつの技術仕様が異なります。よって、たとえば送金ひとつ考えてみても、ビットコインのウォレットにイーサリアムを直接送金することはできず、一度イーサリアムをビットコインに変換してからビットコインウォレットに格納する必要があります。このような「互換性のない状態」は非常に不便であり、またWeb3のコンセプトを実現するにあたって致命的な課題となります。
同じ決済でも日本円の場合はどうでしょうか。中央銀行(日本銀行)と銀行間資金決済クリアリングハウス(全銀システム)が機能することで、異なる銀行間でも問題なく「同じお金」として利用することができます。銀行Aの顧客が銀行Bの顧客に対して送金をしようとすると、両銀行の債務マネーは債務者が異なることになり、そのままでは送金による交換はできないので、日本銀行に銀行Aと銀行Bが口座を持つということで日銀預金マネーを銀行に対して発行し、銀行間の資金決済ができるようになるというわけです。
この辺りの仕組みについては、以下の記事も併せてご参照ください。
▶︎「マネーシステムは決済に閉じた話ではなくなる」日銀・金融研究所長が考えるデジタル通貨の論点
このブロックチェーンにおけるインターオペラビリティ問題の解決に向けては、目下さまざまなプレイヤーが対応を進めています。
たとえば、国内発グローバル展開しているプロジェクトとしては、⽇本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network(旧:Plasm)」と「Shiden Network」の開発を進めるStake Technologies Pte Ltd(CEO:渡辺 創太氏)が挙げられます。
Astar Networkは、「Polkadot」と呼ばれる異なるブロックチェーンを接続して相互運用性を提供するブロックチェーンプロジェクトに接続することで、インターオペラビリティ問題の解決を試みています。また後者のShiden Networkは、Polkadotの実験的ネットワークである「Kusama」との接続を通じて、同様にブロックチェーンのインターオペラビリティ問題の解決を目指しています。
渡辺氏の登壇したセッションの様子は、以下でレポートしておりますので、併せてご覧ください。
▶︎暗号資産からメタバースまで、Web3.0時代はとてつもなく面白い
先述のとおり、Web3の世界では複数のメタバースと現実世界を行ったり来たりしながら活動することが想像されます。各メタバースでは当然ながら仕様が異なり、採用する基盤や決済システム、コンテンツフォーマットが異なるでしょう。この「異なるワールド間」をシームレスに移動し、ストレスなく経済活動含めた社会生活を営めるようになることが、メタバース、ひいてはWeb3発展の重要なテーマとなります。
だからこそ、Web3においてはインターオペラビリティ問題の解決が必要不可欠だといえます。
かつて日本は、半導体領域で標準化とインターオペラビリティの対応が後手にまわったことで、同領域のビジネスが低迷したという苦い経験をしています。DX後進国と言われる日本においては、コンテンツこそが最後の競争力の源泉になるでしょうから、NFTの流通という観点から考えても、このインターオペラビリティの担保は非常に重要な取り組みだといえます。
Web3を理解するための参考書籍一覧
最後に、Web3を理解するための参考書籍をご紹介します。ぜひ、本記事でWeb3に興味を持たれた方は、ぜひ以下の書籍もご覧ください。
Web3の考え方や哲学に関わる書籍
▷ 書籍『メタバースとWeb3』(國光 宏尚:エムディエヌコーポレーション)
▷ 書籍『世界2.0 メタバースの歩き方と創り方』(佐藤 航陽:幻冬舎)
▷ 雑誌『WIRED(ワイアード)VOL.44』(Condé Nast Japan)
▷ 書籍『テクノロジーが 予測する未来』(伊藤穰一:SBクリエイティブ)
▷ 書籍『DX時代に考える シン・インターネット』(村井 純・竹中 直純:集英社インターナショナル)
メタバースやNFTをメインで扱う書籍
▷ 書籍『60分でわかる! メタバース 超入門』(武井 勇樹:技術評論社)
▷ 書籍『メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界』(バーチャル美少女ねむ:技術評論社)
▷ 書籍『メタバース さよならアトムの時代』(加藤 直人:集英社)
▷ 書籍『メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」』(岡嶋 裕史:光文社)
▷ 書籍『NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来』(天羽健介・増田雅史:朝日新聞出版)
▷ 書籍『だれにでもわかる NFTの解説書』(足立明穂:ライブパブリッシング)
▷ 書籍『未来ビジネス図解 仮想空間とVR〈メタバース〉』(株式会社往来:エムディエヌコーポレーション)
▷ 書籍『セカンドライフの経済心理学 ‾仮想世界のマーケティング革命』(山崎 秀夫:毎日コミュニケーションズ)
▷ 書籍『ARの実践教科書』(Steve Aukstakalnis:マイナビ出版)
▷ 書籍『VR原論 人とテクノロジーの新しいリアル』(服部桂:翔泳社)
ブロックチェーンに関する書籍
▷ 書籍『ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか』(ドン・タプスコット、アレックス・タプスコット:ダイヤモンド社)
▷ 書籍『ブロックチェーンをビジネスで活用する』(PwCあらた有限責任監査法人:中央経済社)
▷ 書籍『図解即戦力 暗号と認証のしくみと理論がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(光成 滋生:技術評論社)
▷ 書籍『ブロックチェーン技術の未解決問題』(松尾真一郎 他:日経BP)
まとめ
今回は、今テック界隈で最も熱いテーマとなっているWeb3についてお伝えしました。Web3と考える上で、ブロックチェーンとメタバース、そしてNFTは不可分の関係となります。ぜひ、直前のチャプターでお伝えした参考書籍と合わせて読んでいただき、理解を深めていただければと思います。
なお、以下の記事でDXについても詳しく説明しているので、ぜひ、こちらも併せてご覧ください。
▶︎ DXとは?注目の背景から行政/民間/生活者への影響、活用技術、推進のポイント、最新トレンドまでを体系的に解説
文:長岡 武司