倉庫管理と物流のDXがカギ。累計約28億円を調達するCLASが目指す、生活空間の未来

倉庫管理と物流のDXがカギ。累計約28億円を調達するCLASが目指す、生活空間の未来

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インターネットが発達し、SNSが台頭したことでシェアリングエコノミー(共有経済)市場が拡大している。

「物やサービスの『所有』ではなく『共有』する」という新たな経済概念が生まれたことで、シェアエコ関連のサービスが次々と誕生しており、また必要に応じてサービスを享受したり、物を使ったりする際のビジネスモデルとしてサブスクリプションも注目を集めている。

そんななか、家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」を運営する株式会社クラスが、グロービス・キャピタル・パートナーズと物流施設大手の日本GLP傘下であるモノフルのグループ会社などを引受先とする第三者割当増資を実施した。

今回のラウンドで総額約21億円の調達を行ったことで、2018年の創業から累計で資金調達した総額は約28億円に上る。

CLASが提案する、必要なときに必要なものだけ借りる「所有しない暮らし」

代表の久保裕丈氏は、過去に事業の売却経験をもつ起業家でありながら、米国で絶大な人気を誇る恋愛リアリティーショー「バチェラー」の日本版にて初代バチェラーを務めるなど、異色の経歴を歩んできたことでも知られている。

そんな久保氏が、引越しの際に伴う家具の買い替えや廃棄といった課題感を解消するために立ち上げたのがCLASだ。

「“暮らす”を自由に、軽やかに」というビジョンのもと、月額440円(税込)から個人・法人向けに家具や家電の利用、交換を行うことができるサブスクリプション型のビジネスモデルを展開。「所有する」のではなく「借りる」という新たな選択肢を提案することで、必要なときに必要なものだけレンタルすることを可能にしているのだ。

時代の変遷とともにライフスタイルの変化や価値観の多様化が進むなか、CLASは循環型の「所有しない暮らし」を広げ、生活者に合った最適な空間を提供するために、家具や家電を「買わない」「捨てない」「持たない」という世界観を大事にこれまで取り組んできた。同社がサービスを開始した2018年8月から2021年3月までのサービスデータを集計すると、累計リペア個数は約1,500個、返却後に再利用された商品の累計個数は約12,000個にも上っている。

また、今年5月に発表されたユーザー調査結果によると、CLASに期待する声として最も多かった選択項目が「物を捨てない社会作り」ということで、エシカル消費を通したサステナブルな社会の実現への期待が、ユーザー間では高まっていることもわかる。

(調査データ:CLASに登録する20代~60代以上のユーザー561名)

今年4月に創業3周年を迎えた同社事業は、コロナ禍で加速するテレワークの普及や在宅時間の増加によって、毎年3倍を超えるサービスにまで成長している状況だ。

サービス提供範囲の拡大や物流体制の構築がグロースの鍵

CLASでは現在、100社を超えるメーカーの商品と自社のプライベートブランド家具も100点ほど取り扱っており、幅広い商品ラインナップを揃えている。

今回の資金調達でさらなるグロースに向けて取り組むのは、サービス提供範囲を全国へと広げていくことだ。現時点では、一都三県と京阪神地域を対象としているが、広報担当の小林美穂氏によると「今後は東海地方を皮切りに全国へ展開していく予定」だという。

引受先の1社であるモノフルは、GLPグループのアセットやネットワークを駆使することで、物流業界のDX化を推進する企業だ。CLASヘの出資で、双方の事業シナジーを生み出し、物流業界のデジタル変革やエコシステム化のサポート体制を強化する狙いがある。

同社の代表取締役社長を務める藤岡 洋介氏は「人々の生活様式・業界のGame Changerになれると期待している」とコメントを寄せるとともに「CLASの事業拡大フェーズに、物流体制の構築や強化のサポートに携われることを嬉しく感じる。今回を機に共創しながらCLASの目指すビジョン実現に向けて取り組んでいきたい」と抱負を述べている。

倉庫管理のDXを推進して物流効率を最適化する

小林氏は「ユーザーからの返却品は、専門のリペア職人によって修繕やリフレッシュを施し、再貸し出し可能な状態にするために、パーツ単位で管理している。今後はモノフル社の有する物流基盤を活かして『どこに、何を置いておけば、効率的な配送体験が実現できるか』を追求し、倉庫管理のDX化を推進していきたい」と話す。

各主要地域での物流スペースを確保し、商品発送や返却品回収の物流体制を構築することはもちろん、取り扱う家具、家電の倉庫管理もDX化を図ることで、より効率的で最適化された物流の管理・運営の実現を目指すという。

一般的に家具のサブスクビジネスを運営しようとすると、ストックや返却物で倉庫内がごった返し、必要な商材を人力で探すことになるだろう。だが同社では、返却された家具をパーツレベルで優先順位付けし、倉庫内のロケーションをシステマティックに管理しているという。また、同社では他社製品を買い付けるだけでなく、自社内での生産も行っていることから、より汎用性の高いボルト等の部品を使うなどして、生産段階から運用に鑑みたオペレーション構築を行っている。

ビジネスをスケールさせるために、物流の強化や倉庫管理のDX化は、CLASにとって非常に重要な経営戦略と言えるだろう。

将来的にはさまざまな耐久消費財も扱うサービスに

家具のサブスクは他にもsubsclife(サブスクライフ)や、airRoom(エアルーム)、flect(フレクト)などのプレイヤーが存在し、競争激しい市場となっている。

CLASは今回の大型調達で、事業成長に大きな拍車をかけるとともに「QOL(生活の質)向上や持続可能な社会の実現」を目指し、サブスクのマーケットプレイスとして加速化していくとのこと。

小林氏は「現在は家具や家電をメインに扱っていますが、将来的にはさまざまな耐久消費財の商品も取り扱い、ユーザーに提案できる幅を広げていきたいと考えている。所有しない暮らしを提案し続けることで、SDGsの目標12『つくる責任つかう責任』」の達成に寄与し、循環型でサステナブルな『ものを捨てない社会づくり』の実現を目指していきたい」と語る。

CLASでは法人向けの「オフィスサブスクサービス」も提供している

また、「CLASのユーザー体験もさらにブラッシュアップできるように尽力する」と小林氏は続ける。

「例えばオフィス家具を発注する際、従来だと業者への連絡や見積もりなど煩雑な作業が発生しがちですが、CLASの場合はWeb上だけで手続きから発注、交換、返却まで完結できる。『オフィス家具のDX』にこれからも取り組んでいき、ユーザー体験の向上に努めたい」

2023年の上場を視野に採用も強化

CLASのユーザー数増加やサービスの全国展開、物流体制の構築など、事業拡大の先には2023年を目処に上場を視野に入れているそうだ。そのためには、会社の組織体制を強化するべく、多様な人材の採用に踏み切る必要があるだろう。

計画では2023年までに200名規模の組織へと成長させるために、サプライヤー開拓や物流責任者、プロダクトマネージャーなど全方位のポジション採用を強化するという。

こうしたチームビルディングをしっかりと行い、急成長にも耐えられるヒューマンリソースを確保できれば、CLASが目指す循環型でサステナブルな「ものを捨てない社会づくり」へのDXが、より現実味を帯びてくるのではないだろうか。

取材/文:古田島大介

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