トークン(token)とは?Web3や暗号資産(クリプト)を理解する上での定義や考え方、種類を解説

トークン(token)とは?Web3や暗号資産(クリプト)を理解する上での定義や考え方、種類を解説

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活発化している暗号資産での取引。2022年9月1日時点における暗号資産取引業者数は32社となっており、国内における取引銘柄も着々と増えている状況です。

そんな暗号資産界隈にいると、よく耳にする言葉が「トークン」です。最近では「Web3」という概念も注目され始めている中、トークンについて理解することへの重要度が増しています。しかし、一般的に「トークン」の意味や概念などを正確に理解している人は少なく、なんとなく分かっているつもりという人が多い印象です。

そこで本記事では、Web3や暗号資産への理解を深めるために必要な「トークン」の考え方や種類について解説します。

トークンとは?

一般的にトークンとは「しるし」「記号」「象徴」といった意味を持つ言葉で、銀行などではワンタイムパスワードで発行される暗号をトークンと呼んでいます。ただ、トークンに関する定義は明確化されておらず、この言葉を取り扱う業界によって定義も変化しています。

トークンという概念の発生は古代メソポタミアにまでさかのぼり、代用貨幣として生産物をカウントする際に使われていた道具がトークンと呼ばれていました。現代社会においては、商品券・引換券などのことをトークンと表現することが多くなっており、またプログラミングの専門用語としては、ソースコード上の文字列において、それ以上分けることのできない最小単位のこともトークンと呼びます。

このように、分野によってさまざまな概念が存在しているのがトークンの現状となります。

暗号資産におけるトークンの広義と狭義

トークンという言葉は、近年注目されている「Web3」や「暗号資産」の領域でも使われています。この領域で使われているトークンには、広義な意味と狭義な意味の2つが存在します。

広義な意味としては、ブロックチェーンを用いて発行された暗号資産全般のことを指す場合が多いです。「あのプロジェクトのトークンがエアドロップされるらしいよ」という言葉は、すなわち「あのプロジェクトの暗号資産がエアドロップされるらしいよ」と言う意味で使われるということです。

一方で狭義な意味としては、Bitcoin(以下、ビットコイン)のように“独自の”ブロックチェーンをもつプラットフォーム以外の暗号資産が挙げられます。たとえばビットコインは、あらかじめ通貨の総量や供給量が決められており、人がコントロールできるものではない「カレンシータイプ」の暗号資産であることから、通称「コイン」と表現されています。これに対する「トークン」は、発行者が存在して発行枚数などを自由に決めることができる「アセットタイプ」の暗号資産であり、世の中に出回っている暗号資産の大半は、このアセットタイプであるトークンに分類されると言えます。

もちろん、上記の考え方は暗号資産にまつわるさまざまなシチュエーションを確認した上での傾向であって、誰かのコンセンサスをもって定義されているものではないことから、あくまで参考としてご覧いただければと思います。

トークンの属性分類

ここまで「トークン」の意味や定義・概念などを説明しましたが、ここからは「トークン」の属性について解説します。

トークンは用途や役割によってさまざまなものに分類されます。その中で最も重要とされているのが「代替性の有無」による分類です。代替性トークン(Fungible Token)と非代替性トークン(Non-Fungible Token)の2つに分類され、後者の非代替性トークンは最近急激に注目度が高まっている「NFT」と呼ばれるものです。

この2つの分類の違いについて見ていきましょう。

代替性と非代替性の違い

代替性トークン(Fungible Token)とは、紙幣のようにどのトークンも全く同じ価値を持つ資産を指します。

非代替性とは何かを考える上で、たとえばお財布に入っている現金・千円札を想像してください。

その千円札を「千円分の価値のある紙幣」という視点で捉えると、別の千円札と交換することが可能となります。一方で、「特定の記番号(シリアル番号)が印字されている紙幣」という視点で捉えると、該当の紙幣は唯一無二のものとなり、全く同じものと交換するという概念はなくなります。

この例に則って考えると、前者を「代替性あり」、後者を「代替性なし(非代替性)」と考えことができるでしょう。

つまりNFT(非代替性トークン)とは、ブロックチェーン技術を活用して、コンテンツの「非代替性」を担保する仕組みなのです。

NFTのメリットとは

NFTのメリットは大きく3つあります。

唯一性の証明をデジタル空間でも実現できる

リアルの世界では、アート作品などが唯一無二の存在として価値を証明し、莫大な金額へと姿を変えることがあります。NFTの考え方も基本的にはこの考え方と同じです。NFTに関しては、美術品や録音物、仮想空間における不動産やペットなどのデジタル資産が非代替性トークンとして一意の意味を持つことになります。そのため、従来はコピー&ペーストが容易にできたデジタル空間においても、それぞれのトークンが唯一性を持つことができるのです。

希少性に伴う付加価値を与えやすい

唯一性の証明は、「世界でひとつしかない」という希少性の証明にもつながります。この希少性こそ、リアルの世界でアート作品に高値が付く理由です。「世界でひとつしかない」希少性により付加価値が生まれるのです。このように、NFTは紙幣と同じ概念の代替性トークンとは異なり、付加価値を与えやすいと言えます。

取引がしやすく誰でも購入できる

NFTの取引は、スマートコントラクトと呼ばれる「手続きを自動化」するブロックチェーン上で行われています。利用されるチェーンとしては、圧倒的にイーサリアムが多いです。イーサリアムがもつスマートコントラクト機能によって、これまで煩雑だった各種手続き作業に時間をかけることなく、定型化しやすい取引内容であれば誰でも手軽に自動化の恩恵を受けることができるわけです。

スマートコントラクトは管理者のような権限を持つ人物を設定せず、プログラミングに沿って誰でも参加できる公平性が大きな特徴となります。だからこそ、NFTは特別な資格などを持っていなくても、誰でも簡単に購入できるのです。

代替性トークンの種類

NFTについて詳しく見てきましたが、代替性トークンについても解説していきましょう。

代替性トークンには、「投資性」という観点から大きく2種類に分けることができます。投資性がある「セキュリティトークン」と投資性がほとんどない「ユーティリティトークン」です。この投資性の有無に伴って、資産的配当の有無や対象となる法律等に違いが生じるのです。

投資性を伴わない「ユーティリティトークン」には「ガバナンストークン」という種類も含まれ、使用用途などがより限定的になります。ここからは、「セキュリティトークン」と「ユーティリティトークン」「ガバナンストークン」の性質の違いについて見ていきましょう。

ユーティリティトークン

ユーティリティトークンとは、何らかの実用性を持ったトークンで、トークン自体には金銭的価値を持たないとされているものです。金銭的価値を持たない主な事例として、特定のサービスにアクセスするための権利やプロダクトを所有する権利、コミュニティ内での意思決定への投票権、サービスの利用料などが挙げられます。

つまり、ユーティリティトークンは具体的な他のアセットと交換することにより初めて資産性が生まれる種類のトークンなのです。これが「投資性がほとんどない」と定義される理由です。

ユーティリティトークンが使われている例としては「Braveプロジェクト」があります。Braveは、GoogleやFacebookなどのプラットフォーム上で閲覧者の意思に関係なく広告が流れ、多くの個人情報が収集されていることを問題視し、この課題を解決するために開発されたWebブラウザです。

プライバシー重視の新しいWebブラウザであり、広告ブロック機能が標準装備されていることから、従来のブラウザとの相対比較でページ遷移などがよりスピーディーになされるなど、使い勝手の面でもファンは多いです。このことから、2022年1月には月間アクティブユーザ数が5,000万人を突破するなど、着実にユーザー数を伸ばしています。

筆者が利用しているBraveの新規タブ画面。画面左上には「ブロック済の広告・トラッカー数」や「節約できた読み込み時間」などが可視化され、また画面右側では広告表示機能をONにしている場合の、広告参照状況に応じたリワード(受け取るBAT)の状況が表示されている

そんなBraveプロジェクトでは「BAT(Basic Attention Token)」というイーサリアムベースのトークンが使用されています。ブラウザ上に任意で広告を表示することができ(デフォルトでは全てブロックされている)、閲覧した場合にBATを獲得できるという仕組みになっています。

つまり、広告というサービスを掲載する権利を得たり利用したりするために使用されているトークンがBATということになります。

新しく立ち上がったばかりのWebブラウザではありますが、今後ブラウザ上で使用されている代替性トークンのBATがどのように機能していくかに注目が集まっています。

セキュリティトークン(STO)

セキュリティトークンとは、ブロックチェーンやトークンのノウハウを「有価証券」に活用した、デジタルな有価証券のことを指します。「有価証券」とは、株式・国債・社債・ファンド持分・不動産投資信託(REIT)などの財産的な価値のある権利の証書のことで、この証書をデジタル化したものが「セキュリティトークン」となります。

また、このセキュリティトークンを使って資金調達することを「STO(Security Token Offering)」と呼びます。

「デジタル証券」とも呼ばれるこのトークンは、一般的な有価証券の対象となる証券だけでなく、サービスの利用券や著作権なども証券化の対象になります。つまり、これまで証券化がなされなかったようなものについても、証券としての機能を持たせることができ、そこが資産の流動性の向上という点で大きなブレイクスルーだと言えます。

2020年5月の改正金融証券取引法施行によって国内証券としての取り扱いが可能になり、翌年にはSBI証券が国内初の一般投資家向けSTOを実施したことで話題となりました。

セキュリティトークンの主な事例としては、三菱UFJフィナンシャル・グループが開発しているデジタル証券プラットフォーム「Progmat」が挙げられます。

Progmatは、ブロックチェーンによって証券と資金の決済を自動化し、有価証券であるトークンの発行から流通までを自動で行えるプラットフォームです。誰もが手軽に投資でき、有価証券を発行する事業者などの新たな資金調達方法としても期待されています。

ガバナンストークンとは

投資性をほとんどもたないユーティリティトークンの中に、「ガバナンストークン」と呼ばれるトークンがあります。

これは、ネットワーク上で行われているプロジェクトにおいて、運用方法や開発などの方針を決める際の投票権を与えるためのトークンです。ガバナンスは、「統治」「管理」「支配」といった意味を持つため、その名の通り組織の運営などにかかわるトークンというわけです。

たとえば、「DAO」と呼ばれる自律分散型組織形態のプロジェクトでは、ガバナンストークンホルダーが投票に参加することでプロジェクトの方向性等に関する意思決定の一翼を担います。

※DAOについては以下の記事で詳しく解説しています。
DAO(分散型自律組織)とは?Web3時代に必須となるプロジェクト型組織運営のあり方を解説

このガバナンストークンの事例としては、イーサリアムベースのブロックチェーン上に作られた「Compound」が挙げられます。Compound上では独自のガバナンストークン「COMP」が発行され、Compoundの意思決定はCOMP保有者のみで行われます。つまり、運営に関する意思決定に携わるためには議決権を得るためにCOMPを手に入れる必要があるのです。

アイデアが提案された後に投票期間が3日間設けられ、過半数か40万以上の賛成票を集めた場合に可決される仕組みとなっています。

譲渡できないトークン「SBT(Soulbound Token)」への期待

さまざまなトークンの種類や定義が存在する中で、他のトークンとは毛色が異なるトークンとして最近注目されているのが「Soulbound Token(SBT)」です。

こちらは「非譲渡性トークン」で、これまで紹介してきたトークンと同じウォレットの性質を持つものとして分類されるものの、譲渡を前提とした暗号資産やNFTなどとは根本的に使用用途や目的が異なります。

SBTは、通貨的な機能ではなく、学校や会社などで発行される「証明書」のような機能が強い点が特徴です。教育資格や職歴、ユーザー認証に使われるクレデンシャル情報や過去のローン履歴などの信用に関する情報を組み込むことができるのです。こうした性質から、特定の企業などに依存しないWeb3時代に必要な「本人認証」の役割を果たすと期待されています。

Web3の課題として浮かび上がってきているのが、資本集約的な経済活動に終始していることです。「誰でも参加できる」という公平性に対して、実は個人の財力が意思決定権の効力を高め平等性を欠いているのではないかと言われているのです。現実の世界では、財力に限らずさまざまな部分の信用によって、多くの経済活動が成り立っています。

こうした信用データを「SBT」が請け負い、運用プログラムに組み込むことで、Web3においてさらに新しい分野にまで経済活動を拡大させていくことができると期待されているのです。

※このSBTの詳細については、以下の記事で詳しく連載解説しているので、是非ご覧ください。
Soulbound Token(SBT)とは?Vitalik Buterin氏の論文から「Web3の未来」を考える 〜G.GのSBT解説 #1

まずはトークンが存在するプラットフォームの性質を理解する必要がある

ここまでご覧いただいたとおり、トークンにはさまざまな特徴を持つものが存在し、用途や使用目的も異なります。一般論として「トークン」を定義することが難しいのは、この種類や役割の多さによるためです。

それぞれの分野で使われているトークンの意味を理解するには、まずそのトークンが存在するプラットフォームの性質を理解する必要があります。通貨の性質が強いのか、唯一性を担保する性質が強いのか、もしくは証券資産としての性質が強いのか。トークンが示す性質が、プラットフォームでの取引の特徴を表している側面もあるので、どのトークンがどんな性質や役割を担っているのかを見定めることは非常に重要です。

それぞれの「トークン」の性質を理解することで、暗号資産やWeb3時代がさらに興味深いものへと変わっていくことでしょう。

文:xDX編集部 画像提供:Getty images

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