今話題の「NFT」とは何なのか。新サービス「Opn.Mint」が目指す世界

今話題の「NFT」とは何なのか。新サービス「Opn.Mint」が目指す世界

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2021年に入り、「NFT」という言葉が、突然かつ物凄い勢いで話題になってきている。デジタルアート作品が約75億円、ツイート1投稿が約3億円など、ニュース全体としては投機的な側面がフォーカスされがちだが、コピーが簡単なデジタルデータを「唯一無二のアセット(資産)」として管理できる概念であることから、社会におけるモノ・コトの流通に革新的な変化をもたらすことが期待されている。まさにコンテンツ流通のDXを担いうる技術というわけだ。

そんなNFT市場において、2021年7月27日、新たなプロダクトが発表された。アジアを拠点とするFinTech企業・SYNQA社の子会社・Opn株式会社(読み方:オープン、以下:Opn社) が、あらゆるWebサイトにAPI・SDKを簡単に組み込んでNFTを発行・販売できるサービス「Opn.Mint」β版を発表したのだ。

具体的にどのようなサービスで、どんな未来を見据えているのか。まずはNFTそのものの復習をした後に、同社日本オフィスで執行責任を担う安 昌浩氏に、Opn.Mintのサービス内容についてお話を伺った。

復習:NFTとは何なのか?

そもそもNFTとは「Non-Fungible Token」の頭文字をつなげた言葉で、日本語では「非代替性トークン」と訳される。一体なんのことなんだと思う方も多いだろうが、まずは「代替性」と「非代替性」について考えてみると分かりやすいだろう。

代替性と非代替性

例えばお財布に入っている現金・千円札を想像してもらいたい。その千円札を「千円分の価値のある紙幣」という視点で捉えると、別の千円札と交換することが可能だ。一方で、「特定の記番号(シリアル番号)が印字されている紙幣」という視点で捉えると、該当の紙幣は唯一無二のものとなり、全く同じものと交換するという概念はなくなる。おおよそのイメージとしては、前者を「代替性あり」、後者を「代替性なし(非代替性)」と捉えていただければと思う。

NFTとは、ブロックチェーン等の技術を活用し、このコンテンツの「非代替性」を担保する仕組みである。従来よりコピーできることが前提であったデジタルデータ領域において、「このデータは、◯年◯月◯日に発行された識別番号XXXXXXXXのデータである」(簡易例)というメタデータを付与することで、デジタル空間においても先ほどの紙幣の例でみたような唯一無二性が与えられるというわけだ。

ちなみに、似たような概念として混同されやすいのが「暗号通貨」である。ビットコインやイーサ(イーサリアム)のような暗号通貨は、個別の識別情報を考慮しない形で資産価値あるデジタルデータとして流通しているので(同じ1ビットコインでも、そのアドレスやメタデータ等によって価値が変わる、というものではない)、暗号通貨は代替性トークン(Fungible Token)であると言える。

エンタメコンテンツから「愛」まで、多岐にわたって流通するNFT

このNFTは、アート作品やゲームなど、現時点においてはエンタメコンテンツとの親和性が高い。例えば冒頭で記載した約75億円で落札されたデジタルアート作品とは、アーティストのMike Winkelmann(マイク・ウィンケルマン)氏が数年間かけて毎日描いていったスケッチを集めたデジタルアート「Everydays – The First 5000 Days」に付けられた値段だ。

また日本においても、例えばVRアーティストであるせきぐちあいみ氏の作品が、1300万円の価格で落札されている。

一方で、こんなものもNFTとして流通するのか、というものもある。例えばポーランド出身のモデルであるMarta Rentel(マルタ・レンテル)氏は、「愛」をNFTとして、25万ドル(約2,700万円)で売却したことを発表している。

スマートコントラクト × NFTという技術の組み合わせこそが重要

以上のように様々な期待値が高まっているNFTだが、現状のNFTサービスの多くは、NFTを発行・販売する際に特定のWEBサイトでしか販売することができない。そのため、ブランディングに力を入れている企業であればあるほど、その世界観や価値を十分に反映・発揮できない状況となっている。また、NFT の発行・販売に伴う作業も煩雑であることから、誰もがみんなNFT市場に参入できる状態ではないことが、課題としてあげられる。NFTへの理解もさることながら、この流通ハードルの高さがあるが故に、企業の参入も限定的であると言えるだろう。

これに対して、専門的なNFTおよびブロックチェーンの知識を必要としなくても、最低限のエンジニアリング知識があれば誰でも市場に参入できるようにするサービスが、先述した「Opn.Mint」である。

Opn.Mintでは、既存の開発言語でNFT導入ができるライブラリーやAPI、およびSDKを提供している。特に“RESTful API”と呼ばれる形式での提供となっているので、自社WEBサイトを訪問したユーザーは、そこから離脱する事なくNFTの購入を進めることができるという。

そもそもだが、NFTの何が画期的なのかという観点について、Opn社EVP of Business Operationの安氏は以下の通りコメントする。

「NFTがもたらすものとしては大きく2つ、データとしての共通規格を全員に提供できることと、セキュアなデータを安く管理できることが挙げられます」(安氏)

これがもたらす未来として、同氏は一例として、クリエイター等の著作物に対する「追及権」の可能性に言及する。追及権とは、初回の取引・契約時における金銭の授受に限らず、著作物が流通する過程でも、その著作者に流通に付随する対価の一部が渡されるという仕組みのことだ。つまり、一回販売したら終わり、ということではなく、その作品が流通していく限りにおいて対価をもらい続けることができるというスキームだ。我が国の著作権法では認められていないものの、フランスなど法的に認められている国も存在する。

コンテンツ展開は追及権を考える上で分かりやすい例だが、例えばその応用例として、書籍『なめらかな社会とその敵』(勁草書房)で描かれてるイチロー選手とラーメン店の関係のような仕組みも、NFTの概念を応用して実現できることが想定されるだろう。

「NFTそのものに物凄い価値があるかというと、そういうケースは限定的だと思います。どちらかと言うと、スマートコントラクト × NFTという技術の組み合わせで実現できることの方が、より大きなインパクトがあると思います」(安氏)

まずは、原理主義よりもエクスパンションを重視

NFTの一般的な認知は2021年が元年だと言えるが、その存在自体は、数年前より業界内で注目されていた。一般的に考えて、プラットフォームを問わないNFTの発行・販売はニーズが高いはずだが、Opn.Mint以前はなかなかそのようなプラットフォームサービスが出てきていない印象である。その理由について、安氏は以下のように推察する。

「そもそものイーサリアム本体の性能が必ずしも優れていない、というのが一つあると思います。イーサリアムでNFT作ろうとすると、相応の労力とお金がかかることになります。そんな中、ここ1年でようやく、イーサリアム以外のサイドチェーンが揃い始めており、だからこそ当社のようなプラットフォームへのニーズも高まってきたのだと思います」(安氏)

一方で、ブロックチェーンの原理的な思想は、中央集権の仕組みを排した分散型アーキテクチャにある。今回リリースされたOpn.Mintは、あくまでOpn社が提供するサービスであり、それ自体は極めて中央集権的だとも言える。これについて安氏は、現在のマーケットフェーズに鑑みた選択だと強調する。

「ブロックチェーンの原理的な思想に鑑みると、オラクル問題などでも言われる通り、基本的にはアンチパターンだと思います。でも今は、その原理主義を貫くというよりも、まずは誰もが手軽に使えるんだというエクスパンション(拡大)の方が、圧倒的に重要なフェーズだと思っています」(安氏)

まさにNFTの民主化に向けたサービスだと言える。イーサリアムだけでなくあらゆるブロックチェーンにデプロイできる仕組みとなっており、またユーザビリティとしても非常にこだわって設計しているとのことだ。

提供会社であるOpn社では、今後主流になっていくであろうEmbedded Finance(埋込み型の金融)、つまりはあらゆるサービスに金融機能が実装される社会に向けた数々のプラットフォームを、ステルスに近い形で開発を進めているという。今回のOpn.Mintもその中の一つであり、公に発表された最初のプロダクトだと言える。

「Opn社では、その社名の通り“Open Finance for everyone”を理念としており、主に企業向けのオープン・ファイナンス・ソリューションを提供しています。今回のOpn.MintによってNFTが身近になることで、よりアセット化されるものを増やしたいと考えています」(安氏)

※記事配信時点で、Opn.Mintはβ版として先行受付申し込みを開始している

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あらゆるものがAPIによって繋がる社会の中で、価値流通のトランスフォーメーションの要となるであろうNFT。中長期的な視点に立って、引き続き注視していきたい。

インタビュイー

安 昌浩[Masahiro Yasu]
Opn株式会社
EVP of Business Operation

福岡県北九州市生まれ。京都大学工学部電気電子工学科卒。同大学において核融合の研究を専攻。2011年株式会社リクルートに入社。転職メディアの商品企画やHRTech領域の新規事業開発をはじめ、自然言語解析や機械学習領域の事業開発を担当する。2016年、同社の企画部門の最高賞を受賞。 2017年9月ブロックチェーンを用いたALISを立ち上げるため国内初の規模でICOを実施し、4.3億円を調達する。2021年1月ブロックチェーンの知見を活かしOpen Finance Access for Everyone(全ての人に平等な金融のアクセス)の実現のためOpn株式会社へ参画。

取材/文:長岡武司

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