アフラック、新生銀行、SMBCグループ、AWS。ボードメンバーらが語る金融プラットフォーマーへの取り組み

アフラック、新生銀行、SMBCグループ、AWS。ボードメンバーらが語る金融プラットフォーマーへの取り組み

目次

DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代が到来し、企業の経営や社会のあり方に変革が求められている。

既存の枠組みにとらわれず、顧客視点に立った新しい価値創造が必要になっている今、生活者の暮らしに欠かせない金融サービスについても、イノベーションを生み出していく必要性が叫ばれている。

そんなデジタル金融時代に、いわばプラットフォーマーとしての地位を築き、ビジネスをリードしていくためには、どのような基盤やマインドセットが重要になってくるのか。

2022年3月29日〜31日の3日間にわたって開催された「FIN/SUM FINTECH SUMMIT 2022」の3日目には「金融プラットフォーマーになるのは誰だ 〜DX 時代のリーダーの条件〜」と題したパネルディスカッションが行われ、金融業界を代表する経営層のスピーカーが集結した。

xDXでは前後編にわたって、本セッションの様子をお伝えする。まず前編では、各企業によるプレゼンテーションの様子を、順番にご紹介していく。

・谷崎 勝教(三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO)

・川島 克哉 (新生銀行 代表取締役社長)

・二見 通(アフラック生命保険 取締役専務執行役員 兼 CTO・CDIO)

・飯田 哲夫(アマゾン ウェブ サービス ジャパン 金融事業開発本部 本部長)

・佐藤大和(日本経済新聞社 編集局 NIKKEI Financial 編集長)※モデレーター

一貫性を持った体験価値を提供していきたい(アフラック)

日本初のがん保険と共に操業されたアフラック生命保険で、取締役専務執行役員 兼 CTO(チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー)・CDIO(チーフ・デジタル&インフォメーション・オフィサー)を務める二見 通氏は、これまで30年以上にわたって生命保険会社のシステム変化や業務改革を担ってきた人物だ。

現在は主に、IT・デジタル部門、契約サービス部門を担当しており、いかにデジタル技術を活用して新サービスの創出や業務変革、エコシステムの構築ができるかを考えながら、目下DX推進を行っているという。

そんな二見氏によると、アフラックではDXを加速させる上で、「生命保険事業領域」「新たな領域」そして「DXを支える基盤」という3本柱を据えて取り組んでいる状況だ。

「アフラックのDX戦略では、生命保険事業の領域と新たな領域におけるエコシステムの構築が鍵を握ると考えており、その基盤としてインフラや組織、人財、管理などがあると考えています。新しい価値創出のために、顧客体験の向上やデータ利活用、システム開発によるオペレーションプロセスの自動化などに取り組んでいます。一方、DXを支える基盤づくりにも力を入れており、DX戦略を遂行する専門組織を立ち上げて、DX推進における社内文化の醸成やDX人材の育成も手がけています。そして、ITアーキテクチャの設計やデータ分析基盤の構築など、総合的に組織のDX化の達成に向けて邁進しているような状況です」

そんな中で、同社が最終的に目指すのはリアルとデジタルの融合である。全ての顧客接点においてデジタル技術を最大限に駆使し、「一貫性を持った体験価値を提供していきたい」と二見氏は続ける。

「我々のお客様を見渡しますと、どうしてもデジタルだけでは完結できません。やはり人と話して、色々な提案を聞きたいというお客様も多くいらっしゃいます。それに対しましては、大切な財産である代理店や募集人がたくさんいるわけですから、お客様のその時々の状況に応じて、時には募集人と接して話していただき、またある時はデジタルの世界で情報を取得していただく。このような世界を目指したいと思っています」

地域金融機関をプラットフォーマーとして支えるのが使命(新生銀行)

昨年12月に、金融コングロマリットであるSBIグループ入りした新生銀行の代表取締役社長である川島 克哉氏は、「顧客としての地域金融機関」からオープンアライアンス戦略を通じて、価値共創を目指しているという。

「SBIグループはこれまで、地方創生に向けて、金融プラットフォーマーとしてさまざまな施策を行って参りました。2015年にフィンテックが流行った頃からは、地方金融機関をお客様として取り扱うようになり、その後は金融商品仲介業としての提携が始まり、すでに45社との提携を図っています。また、フィンテックファンド、AI&ブロックチェーンファンド、今般の4+5ファンドといったプライベートエクイティファンドに50数社の地方銀行からご出資いただいたことで、さまざまなテクノロジーを提供したり、証券業を幅広く展開したりしています。最近ではバンキングアプリのホワイトラベル化や、マネータップを通じての分散型台帳技術を活用した新しいインフラの提供などにも取り組んでいます。そして今まさに、次世代の勘定系にも着手しているところで、いかに地域金融機関様のコストを下げるか、ということに取り組んでいます」

新生銀行がSBIグループの一員になったことで、カードローンをはじめとする消費者金融関連事業や信販、カード、決済事業、リース事業、ストラクチャードファイナンスなど、ノンバンク領域が強みになっていくことが期待されている。まさにフルラインナップのサービス提供が地域金融に向けて可能になってきているというわけだ。

「こちらの図で示したのは、新生銀行がSBIグループと共に目指す地方創生に向けた金融プラットフォーマーの概念図です。地域経済の主体となる地域企業や地域住民、地方公共団体などのプラットフォームになるのはまさに地域金融機関であり、その金融機関をプラットフォーマーとして支えていくのが、SBIグループ+新生銀行グループの使命だと考えています」

DX時代の新規ビジネスはオープンイノベーションがキーになる(SMBCグループ)

三井住友フィナンシャルグループで執行役専務 グループCDIO(チーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー)を務める谷崎 勝教氏は、グループ全体におけるデジタル推進の責任者として従事している。

同社が策定する中期経営計画のなかでは、3つの方向性を持って取り組んでいるという。

「3つの方向性とは、情報産業化、プラットフォーマー化、そしてソリューションプロバイダー化です。これら全ての方向性を達成していくためには、デジタルテクノロジーの活用が必要不可欠だと感じています。近年では、既存の金融機関が個人や法人向けに提供していないような新しいサービスを生み出すため、様々なデジタル子会社を多く設立しています。オープンイノベーションという言葉が叫ばれて久しいわけですが、自分たちだけで作るのではなく、ベンチャー企業や大手ベンダーと組んで、さまざまなビジネスを手がける会社を作って参りました」

一例として示されたのが、2021年7月に電通グループと共同で設立された「株式会社SMBCデジタルマーケティング」である。こちらは、三井住友銀行が預かっている顧客の属性情報や利用履歴などを活用して、顧客の潜在的な興味関心やライフスタイルを推測し、様々なチャネルで適切な広告コンテンツをデリバリーしたり、新しい広告配信先やサービスの開発等を推進することを目指して設立された会社だ。直近では、「電通グループのアセットや広告運用のノウハウと、SMBCグループのメディアやデータ拡大、外部メディアとの連携を通して、個人・法人のお客様を結びつけるサービスを検討中」とのことだ。

さらにもう一つ、同社では昨今のESG文脈に着目して、、2022年5月の正式ローンチを目指して、温室効果ガス排出量・削減支援サービス「Sustana」も発表している。

「昨今多くの企業が取り組むこととして、例えばCO2の見える化などが挙げられますが、実際にどうやって算出すれば良いのかわからない、という会社が現在多くいらっしゃいます。これからサプライチェーンがつながることで、分からないことでますます困ることになるでしょうから、私どものところでそういうサービスを作っております。このように、新しい事業へも積極的に取り組んでいこうと考えています」

金融プラットフォーマーを裏方で支援する(AWS)

「金融プラットフォーマーになるのは誰だ、というテーマで登壇すると、アマゾンの金融事業について語ると勘違いされると思いますが、今回は、金融機関様のプラットフォームを裏方で支援するAWSの立場としてになります」

このように話すのは、アマゾン ウェブ サービス ジャパンで金融事業開発を担う飯田 哲夫氏。

AWSが東京リージョンを開設したのは2011年からで、当初はノンクリティカルな領域のシステムのための低コストインフラとしてサービスを提供してきた。その後、着実にステージアップを図っていき、2017年からは金融ITを効率化するインフラプロバイダーとして、そして2021年からは金融ビジネスを変革するパートナーとして認知が進化していった。

単に効率化を図るだけではなく、新規ビジネスを作っていく手段・ビジネスパートナーとして位置付けてもらえるよう意識しているという。

そのなかで飯田氏は、AWSがソリューションとして顧客に提供する価値は次の3つだと説明する。

「プラットフォームビジネスの構築や、コロナ禍で一変した生活様式のニーズに沿ったデジタルチャネルやパーソナライゼーションによる顧客接点の創出、そして急激な社会変化や予想できない時代におけるレジリエンス(回復力)が、AWSの提供できる価値だと捉えています」

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後編では、各社が考える金融プラットフォーマーとしての勝ち筋や、DX時代におけるビジネスの潮流についての議論についてレポートする。

編集:長岡 武司
取材/文:古田島大介

▶︎​​この記事には後編があります(4月19日 AM10:00配信予定)

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