共にカオス時代を楽しむ:WEBメディア『xDX(クロス・ディーエックス)』編集長から読者の皆さんへ

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“人間の理性が技術をつくったというのは実は間違いで、技術というものは理性よりももっと古い起源をもつ。したがって、人間が理性によって技術をコントロールできるというのはとんだ思いあがりではないか。”

これは、哲学者である木田元氏による著書『対訳 技術の正体 The True Nature of Technology』(デコ)の冒頭に書かれた一文である。書籍自体は2013年に出版されたものだが、初出となる「技術の正体」は、1993年に月刊紙『正論』に掲載されたもの。要するに、所詮、人が取り扱える技術領域なんてたかが知れていて、僕たちはある意味で技術に振り回されているだけの存在なんだよ、と、近代以降の技術感に警笛を鳴らしている技術哲学書だ。

僕自身、システムコンサルタントとしてキャリアチェンジしたときに、「テクノロジーとどう向き合うべきか」という観点で、それこそジェラルド・ワインバーグからケビン・ケリーまで様々な本を読み漁った中で出逢った一冊だったわけだが、技術を使って均質化を目指す世界の“気持ち悪さ”を、ものの70ページ程度で端的に著した内容に、いたく感心した記憶がある。技術との向き合い方で悩んだときは、プレショットルーティンの如くこの本を開いていたし、今でもその行動習慣に変わりはない。

そんな僕が「DXメディアの編集長」という大役を拝命したときに、正直に申し上げると、はてさて困ったもんだとなった。世の中に出回っているデジタルトランスフォーメーション情報をみると、どうやら主語が「デジタル」になっているものが圧倒的に多い。人に寄り添うと言っておきながら、つまるところは技術の行使がメインテーマになっている。これでは、DXなんてシステム開発を生業とする会社の生存戦略でしかない、なんて言われても仕方ないと感じるわけで、出回っている情報が著しく不健康だと思った次第だ。

では、DXなんてつまらないテーマなのかと問われると、全くもってそうではないと感じる。そもそも、プロジェクトとしてDXを“捻出”しようとするからつまらないのであって、日々過ぎゆく生活のなかで進むトランスフォーメーションに目と耳を向け、ついでに残りの五感も使ってただその感覚に身を委ねると、とたんに面白いものになるし、DXが何か可愛いものにすら感じるようになる。ここ数年のAIブームで耳にタコができるほど聞かされているように、僕たちの生活のあらゆるシーンにデジタル技術が浸透することで、それはあらゆる個人ないしは法人等にとっての「自分ごと」になり、決して無視できないテーマになってきた。だからこそ、EUはGDPRを定め、日本国はデジタル庁創設を進め、江頭2:50氏はYouTubeを始めているわけだ。

細かい話ではあるが大事なこととして、デジタルを使ったトランスフォーメーションではなく、デジタル「も」使ったトランスフォーメーションにこそ、そのダイナミズムがあると感じる。

以上のような思いから、xDXというメディアは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」をテーマとするWEBメディアではあるものの、DとXを割合で示すのであれば、気持ち的には「D:X = 1:99」の割合で記事を編成したいと考えている。もちろん、デジタル「も」重要なわけだから、その知識をリフトアップするようなTips記事や、日々のDXアンテナを高めるためのニュースを配信していく。だが本質的なDXの楽しさは、不確実な環境の中でも確固としたトランスフォーメーション後の世界観を描き、デジタル等の技術を生かしながら、そこに向けて愚直に活動を進めている人々の「リアルな有り様」だと強く感じる。だからこそ、「人」にフォーカスをしたインタビューコンテンツや対談等の企画記事について、どんどんと力を入れていこうと考えている。

基本姿勢としては3ワード、「構造」、「応援」、そして「持続的」を据えている。短期的・表面的な成果を追ったデジタル化施策ではなく、長期的・構造的なトランスフォーメーションを目指すポジティブな取り組みに対して、持続的なかたちで応援する。そんなあり方で、世の中の“DXのるつぼ”と向き合っていきたい。

「共にカオス時代を楽しむ(Join the Chaos)」

元闇市の雑多性を受け継ぐ「ニュー新橋ビル」や、宇和島の元海水浴場「赤松遊園地」をはじめとするディープスポットに出逢ったときのようなセレンディピティを、DXの領域で実現する。そんなカオス感を楽しめるプラットフォームにワクワクする方は、ぜひ、xDXという猫バスに同乗していただきたい。

xDX編集長 長岡武司

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