感動や熱狂はこう作る!イベントプロデュースのプロが考えるメタバース時代の「催し」のあり方

感動や熱狂はこう作る!イベントプロデュースのプロが考えるメタバース時代の「催し」のあり方

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非日常に浸れ、感動や熱狂を生み出すのがイベントだ。

ひと口にイベントといっても、コンサートやライブなどの興行イベントから会社の年次総会や株主総会、アワードなどの企業イベントまで、その種類は多岐にわたる。イベントが開催される会場に人が集まり、そこでしか味わえない一体感や心の機微は、まさにリアルイベントの醍醐味でもあった。

それが、2020年に突如として世界中を襲ったCOVID-19のパンデミックにより、イベント業界は苦境に立たされることになる。リアルからオンライン化へのシフトが強いられ、イベントに求める新たな価値やプロデュース力が試されるようになったのだ。

そんななか、企業イベントの総合プロデュースに特化し、これまで数多くのイベントを成功に導いてきたのが株式会社グローバルプロデュースである。「日本発、世界へ通用するイベントプロデュースの提供」を目指し、日本国内だけでなく世界を舞台に事業展開をしている同社は、最近ではオンラインイベントやハイブリッドイベントなど、時流に合わせたイベントを創り、新境地を開いている。

今回は来たるメタバース時代に必要な「プロデュース力」や熱狂の作り方について、同社の代表取締役社長 クリエイティブディレクターの光畑 真樹氏にお話を伺った。

7年で年間取扱高が20億を超えるイベントプロデュース集団へ

幼少期の頃から「プロデューサー」に憧れていた光畑氏は、2005年にJTBグループへ入社し、7年間にわたってイベント事業に関わった後に、イベントプロデュースに活路を見出して2012年にグローバルプロデュースを創業した。

イベント企画からタレントのキャスティング、会場選定、運営オペレーション、音響、映像など、イベントのありとあらゆる業界中のプロフェッショナルを集結させ、企業向けの総合的なイベントプロデュースを行うのが事業の根幹となっている。

社内活性化を目的にしたアワードや、企業の周年を祝うアニバーサリー、ステークホルダーに向けた株主総会など、大小問わずさまざまなイベントを手がけてきたグローバルプロデュースは、創業から7年間で年間取扱高が20億を超える業界屈指のプロデュース集団へと成長した。国内外で手がけるイベントは年に150本以上、これまで多種多様なイベントを提案し、創り上げ、成功に導いてきたのだ。

「企業向けのイベントプロデュース事業は、広告代理店とは少し毛色が異なると思っています。というのも、広告代理店が提案するテレビCMやメディア媒体へアプローチする広告等は、発注側の企業の意見を隅々まで反映することは難しいものです。一方で、グローバルプロデュースでは創業当時から一貫して『お客様と伴走し、一緒にイベントを作る』ということを大事にしています。お客様の意向に沿った形で理想のイベントを一緒に叶えるために、奔走していくのが我々の大きな特徴になっています」

イベントは「エンターテイメント性」と「エモーショナル」が重要

だが、グローバルプロデュースにとって、大きな正念場となったのが、2020年に発生した新型コロナパンデミックだった。予想もしなかった出来事に、社会全体は大きな混乱を余儀なくされ、多くの業界が苦境に立たされたのだ。

リアルイベントを生業にしていたグローバルプロデュースもコロナ禍の煽りを受けた。

「もう本当に、コロナになった途端、瞬間的に蒸発してしまった感じです。何ヵ月も前から仕込んでいたイベントや先々に向けた商談など、すべてがキャンセルになりました。毎日、イベント中止の電話が鳴り止みませんでした。ただ、キャンセルは続いたものの、ほとんどのお客様がオンラインイベントへシフトしたことで、事業自体は落ち込まずに済みました」

だが、同社では昨今のオンライン化トレンドが始まる前から、全国に点在する拠点をネットで繋いでイベントの同時開催を行うということをやっていた。また、ネットが普及する前においては、各イベント会場に衛星中継車を手配するなどして、参加者が1つの会場へと一堂に会することができないケースの対応策をすでに講じていたのだ。

この知見をもとに、コロナ禍であってもリアルに引けを取らないイベントの価値創出に全精力を投じたという。

「社員のエンゲージメントを高める、サービスの認知度を上げるなど、イベント内容によって目的は異なりますが、いずれの場合も本質的な価値は変わりません。我々がイベントを企画制作する際に心がけているのは『エンターテイメント性』と『エモーショナル』な要素です。人々を感動させ、心を動かすためにはこれらが非常に重要で、コロナでオンラインへシフトせざるを得ない状況に陥っても、単にウェビナー配信のような形式にはしたくありませんでした」

感動や熱狂を生み出すイベントの作り方

そこで、グローバルプロデュースが考えたのが、リッチコンテンツとして提供するオンラインイベント「LIVE CONVENTION」という新たなサービスだった。

従前から培ってきた独自のネットワークを活かし、オンラインでも臨場感あふれる演出を生み出せる機材を有したスタジオと提携することで、リアルに限りなく近いクオリティのイベントを、バーチャル空間でも創り上げることができるようになったのだ。

「ワクワク感や非日常感は、どうしたってリアルには敵いません。でも、画面越しで訴えかけることのできるリッチな演出にこだわり、オンラインならではの付加価値を追求した結果、2020年2月にLIVE CONVENTIONをローンチすることができました。『イベントを中止するのではなく、バーチャルという選択肢もありますよ』とお伝えしていったところ、多くのお客様が賛同してくれ、キャンセルではなくオンラインイベントへの切り替えで話が進むようになりました。こうして、コロナという逆風に立ち向かいながら、難局を脱することができました」

光畑氏によると、リアルイベントは非日常感の演出に長けており、オンラインイベントはWeb会議ツールのチャット欄などを用いた参加者の意見集約に向いているという。一方、ハイブリッドイベントは両者のいいとこ取りであるわけだが、より注意深く、“目的目線”での設計が必要だと光畑氏は続ける。

「感動や熱狂を生み出すには、イベントをどのように運営するかという『How』の部分以上に、なぜイベントを開催するのかという『Why』の部分が大切です。とかく、ハイブリッドイベントは技術的な側面に注目されがちですが、イベントの目的をしっかりと可視化し、ビジョンを明確にすることが特に必要です」

グローバルプロデュースでは2022年3月に、サステナブルなイベントプロデュースを提案する新プロジェクト「EVENT SUSTAINABILITY」を始動している。第一弾では、アップサイクルの考え方を取り入れた空間デザイン・施工のパートナー会社と提携することで、これまで使い捨てが基本とされていたステージ施工に廃材を使用しての持続可能な資源活用をイベントプロデュースにおいて実現している。画像は廃材を活用したステージイメージとなっており、サステナブルなイベントのあり方を社会的な側面(社会貢献活動)から支援するというビジョンのもとで企画されている

そういう点において、同社がイベントをプロデュースする際には、しっかりと経営層を巻き込んでいくことを強く意識しているという。

「イベントに対する経営層の理解がないと、心を動かすようなイベントは決して生まれません。そのため、我々はお客様である企業の経営層とお話させていただき、まずはイベントの意向を伺うことを大事にしています。そこから、費用対効果以上に成果を出すために、イベントを仕立てていくのがプロフェッショナルとしての役目だと考えています」

メタバース時代に乗り遅れると、10年後には会社がなくなってしまう

こうしたなか、イベント業界を取り巻く環境は、今後のバーチャルファーストな時代が到来するに連れ、大きく変化していくことが予想されるだろう。昨今注目されているメタバース空間では、果たしてどのようなイベントが求められるのだろうか。

光畑氏は「メタバースはある種、スペースプランニングのひとつと捉えており、そこにはストーリーテリングが肝になってくる」と意見を述べる。

「まだ、メタバースを使ったイベントの引き合いはないのが現状ですが、ビジネスカンファレンスや全社総会、株式総会など、様々な可能性があると思っています。個人的にはリアルイベントの方が好きですが、そこにこだわり過ぎても時流に乗り遅れてしまい、ひいては事業成長の機会を逸することになります。私の見解としては、メタバースに関わっていないと、この先10年後には会社がなくなってしまうくらい、メタバースは世の中を変えるものだと認識しています」

来たるメタバース時代に備え、グローバルプロデュースはメタ空間を運営するプラットフォーマーと連携を深め、さらにはメタバース領域に関わるクリエイターとの繋がり強化も行っているという。

「実はグローバルメタバースという会社をすでに登記しています。サービス内容も決まっていませんし、ホームページもまだありませんが、本気でメタバースに注力していくのは間違いありません。

Facebookから社名を変えたMeta(メタ)は、近い将来必ずメタバース関連のプロダクトへと経営の主軸を思いっきりシフトするでしょう。あるいはゲーム関連企業が、世界を席巻するようなメタバースを構築するかもしれません。先々に備え、グローバルプロデュースが積極的にメタバースに取り組むことで、イベント業界全体に浸透していけばいいなと考えています」

メタバース空間でのイベントは「偶発性」が大事になる

メタバース事業に特化した会社を登記した理由は、他社との資本提携がしやすくなること。そして、経営者として、メタバースにコミットすることの表れだという。その一方で、メタバースは「あくまでイベントプロデュースの1つの手段として考えている」と光畑氏は話す。

「イベントのコンセプトやプログラムを企画したり、あるいはストーリーを考えたりするのは、リアルでもオンラインでもハイブリッドでも、そしてメタバースでも共通しています。まだ将来が不透明なので、正直何が最適解なのかは掴めていませんが、少なくとも我々がターゲットにするお客様は、メタバースなどの最先端技術にアンテナを張るクリエイターや起業家ではなく、ミドルやシニア層のビジネスパーソンです。シンプルで理解しやすいものや、操作のしやすさが鍵になると思っていて、メタバースのトレンドがどんな方向に進んでもお客様にベストなイベントの提案ができるよう、今はパートナーとのリレーションを築いていく段階と捉えています」

地道にネットワークを広げることで、顧客が求める要望に最大限応えられるような基盤を作っていくのが、現在のグローバルプロデュースのフェースだという。

「例えば、今後さまざまな会社が提供してくるメタバース空間を、お客様の要望に沿って一緒に選ぶセレクターになり、どこでやるのがベターなのかアドバイスできるようになる。これこそが、グローバルプロデュースとしてやっていくべきことだと捉えています」

また、メタバース時代におけるイベント効果の最大化や仕掛けづくり、エンタメ性については「既存のオンラインイベントよりも偶発性(セレンディピティ)が大事になってくる」と続ける。

「ビジネスイベントでは、実名のアバターでメタバース空間に入り、会場で思わぬ出会いが生まれることも考えられます。現在、私自身もメタバースを勉強している最中ですが、わかってきたのは『ゲームフィケーションが求められる』ということ。要はゲーム要素をメタバースのイベントで取り入れるギミック(仕掛け)をどう作るかが、メタバース空間でいいイベントを創る上で重要になってくると捉えています。まだVRゴーグルといったデバイス普及の問題などがありますが、そこがクリアになっていけば、メタバース上でのイベントはよりスタンダードになっていくのはないでしょうか」

テクノロジーの進化に合わせた提案力を磨いていく

映画『マトリックス』シリーズや『レディ・プレイヤー1』の世界へと着実に近づいている社会においては、間違いなく現在とは異なる人々の価値観が、具体的なライフスタイルとなって介在することが予想される。

グローバルプロデュースも、こうしたメタバース時代への準備は着々と進めており、内外ともにDXを進めることで、いつでもビジネスを拡大する機会を伺っている状況だ。最後に光畑氏へ今後の展望を伺った。

「正直なところ、5年後・10年後の世界は想像できないため、まずは日々すごいスピードで変わっていくビジネステクノロジーをキャッチアップし、柔軟に対応していくことを心がけています。もしかしたら、今後コロナよりもすごい有事が発生するかもしれません。そんな時でも、メタバース含めてお客様へ最適なイベントの手法を提案できるよう、今のうちから知識を蓄え、技術を高め、ネットワークを構築していければと考えています」

ライター後記

グローバルプロデュースを取材して感じたのは「イベントに対する熱意」だった。お客様を喜ばせ、思い出に残るイベントにしたい。光畑氏が考えるイベント哲学は、まさに何者にも代えがたいものだった。この先、メタバース時代が到来しても、光畑氏率いるグローバルプロデュースは、時流に合わせたイベントプロデュースを手がけていくのではないだろうか。

取材/文:古田島大介
編集:長岡 武司

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