KawaiiGirlNFTから学ぶ、常に期待されるWeb3プロジェクトの推進に必要な視点とアクション

KawaiiGirlNFTから学ぶ、常に期待されるWeb3プロジェクトの推進に必要な視点とアクション

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海外でのNFTブームの勃興を機に、日本でも急速にNFTというワードが広まり、「NFT元年」とまで呼ばれた2021年。

そこから1年余りが経過し、いまやNFTはWeb3を語る上で外せないテーマとして認識されている。

NFTfiやNFTゲーム(≒ブロックチェーンゲーム)などの様々な分野でNFTの技術が活用されるなか、「NFTアート」も国内において非常に活況を見せている状況だ。

以前までは個人のクリエイター中心だったものが、最近では複数のメンバーで運営するNFTプロジェクトの台頭が目覚ましい。チームで役割を分担し、DiscordでのコミュニティマネジメントやNFTのマーケティング、販売戦略の立案を行い、本格的な事業としてプロジェクトを遂行する流れが顕著になっていると言えよう。

そんななか、国内発のNFTプロジェクトで屈指の躍進を遂げたのが「KawaiiGirlNFT」だ。

2021年9月に同プロジェクトが立ち上がって以来、緻密なロードマップ設計のもと順調に成長し、現在までの総取引額は63ETH(約1,000万円以上)を超えている。

KawaiiGirlNFTの躍進を支えているのが、クリエイターのAme-chan(@KawaiiGirlNFT)、トランスレーターのGumi-chan(@KawaiiGirl_EN)、プロデューサー/コミュニティ運営のTOMMY(@KawaiiGirl_sup)の絶妙なチームワークとコミュニティの絆の深さだ。

なぜ短期間で日本有数のNFTプロジェクトへと飛躍したのか。今回はTOMMYの名で知られ、株式会社FREXの代表取締役を務める吉富大起氏に話を伺った。

海外で台頭するNFTブームの潮流を日本でも再現したかった

撮影協力:NFT Shisha Bar SingularityTokyo

吉富氏がWeb3に興味を持ったのは、アカデミアの観点からブロックチェーンを学んでいたのがきっかけだったという。情報系の大学に通いつつ、ブロックチェーンや暗号資産の情報収集を行い、知識を蓄積していたそうだ。

新卒ではコンサルティング会社へと就職し、いわゆるサラリーマンとして日々業務に励んでいたわけだが、NFTとの出会いがひとつのターニングポイントになったと言う。

「2020年からのコロナ禍によって、ワークスタイルがテレワークへとシフトし、これまで以上に時間ができるようになりました。もともと新しいことや最先端なものが好きで、Web3についても国内外の情報をキャッチアップしていたのですが、2021年3月のBeeple(ビープル)のNFTアートがものすごい金額で落札され、海外でNFTが一気に盛り上がったのを見て、自分もNFTについてもっと深く知ろうと思うようになったんです」

一方、当時の国内のNFTについて目を向けてみると「My Crypto Heroes ( マイクリプトヒーローズ )」のようなゲーム領域においては強かったものの、アートなどの領域はまだ未成熟で、プレイヤーも少ない状況だった。

CryptoPunksやBAYCなどのNFTブームを牽引する有力なプロジェクトが多い海外と比較すると、どうしてもギャップを感じずにはいられなかったと吉富氏は言う。

「NFTは海外発信のプロジェクトがほとんどで、もっと日本でも海外に見るNFTのムーブメントを浸透させたい」

そのような思いを抱き、NFTプロジェクトを始めようと決心したわけだが、その際、はじめから一人ではなく、チームでプロジェクトの運用を行うことを前提に考えていたと、吉富氏は続ける。

「自分だけだと、できることは限られてしまうと思ったので、メンバーを募集するためにインスタグラムのストーリーで『NFTプロジェクトを始めるから関わりたい人は連絡して』と投稿したんですよ。そこで、反応してくれたのがクリエイターのAme-chanでした。彼女はもともとコンサル会社の同期で、たまに飲みに行くくらいの仲でしたが、NFTプロジェクトとして取り組みたいこと、目指したい世界観が非常に精微で素晴らしいと感じたので、自分が構想として描いていたものと突合させ、KawaiiFriendsNFTとしてのプロジェクトをスタートさせました」

海外のNFTコレクションを参考に「独自性」と「先進性」を意識

撮影協力:NFT Shisha Bar SingularityTokyo

世界には多様な“かわいい”があり、一人ひとりが自分の“かわいい”を持っている。

NFTの作品を通して、多様性に富んだ“かわいい”を表現していく。

そんなKawaiiGirlNFTが掲げるコンセプトに合わせて、どんな層へ作品を届けたいかのターゲティングや、どのようにNFTアートを売っていくかの販売戦略を練り、プロジェクトを進行させていったプロジェクトメンバー達。

驚くべきことに、Ame-chanと吉富氏がストーリーを通して出会ったの2021年9月下旬から、わずか1週間ほどで「KawaiiGirlNFT」は立ち上がったのだ。

なぜ、このようなスピード感をもって取り組めたのだろうか。

吉富氏は「クリプト業界の速度は非常に早く、常に状況が一変している。思い立ったらその瞬間にやらないと、誰かに真似されたりトレンドに乗り遅れたりしてしまうため、とにかく早く始めようと意識していた」と強調する。

そして、Ame-chanの10年来の友人であるGumi-chanも、程なくしてKawaiiGirlNFTの運営に加わることになる。

NFTブームの活況により、有象無象のNFTプロジェクトが次々と生まれるなか、KawaiiGirlNFTはいち早くチームを組成してロール(役割)を分け、立ち上げ当初からプロジェクトマネジメントができる体制を構築していったのだ。

これこそが、KawaiiGirlNFTが当初から注目され、人気を集めることになった最大の要因と言えるだろう。

現在は以前と比べ、“NFTを出せば売れる”という状況ではなくなっており、NFTプロジェクトの将来性やユーティリティなどが重要視され、さらにはチーム力や持続的なトークノミクス設計が問われるようになっている。

これについて現時点でのKawaiiGirlNFTの取り組みを聞くと、吉富氏は「海外コレクションの良いところを参考にしていった」と語る。

「KawaiiGirlNFTを始めた2021年10月ごろは、チームで取り組むところはまだ少なく、ロードマップを発表して目指しているビジョンを提示しているところもほとんどありませんでした。また、コミュニティも当時から大切にしていて、NFTホルダーファースト(NFTを保持している人を中心に考えること)のもとで忘年会やオフ会などを企画したり、ホルダー同士が活発にコミュニケーションできるようなDiscord上での雰囲気づくりを意識したりしていました。
一方でKawaiiGirlNFTに興味を持っているけど、予算の関係などで購入できない人でも楽しめるように、コミュニティ内のトークン『KawaiiGirl Token』を発行しています。KawaiiGirlNFTにまつわるブログや情報発信をしてくださる方に、いわばコミュニティへの貢献度に応じたトークンを付与していて、一定の数が貯まるとKawaiiGirlNFTのオリジナルグッズとの交換や、絵を描いてもらえる仕組みを導入しています」

NFTプロジェクトで重要なブランド構築とチームビルディング

こうしたコミュニティの相互作用を意識しているほか、2022年1月には国内のNFTプロジェクトに先駆けてジェネラティブアート(プログラムによって自動生成されたNFTアート)の「KawaiiFriendsNFT」を展開。

常にどこよりもいち早く新たな取り組みを仕掛けることで、話題性の喚起や認知度向上に努める。世界的に名を馳せる BAYC(Bored Ape Yacht Club)やCryptoPunks(クリプトパンク)といった、海外のNFTコレクションに感化されてKawaiiGirlNFTにも早々に取り入れたと、吉富氏は強調する。

「海外の著名なNFTコレクションはマーケティングやブランディングにとても長けており、KawaiiGirlNFTも『100体限定のちょっと高級なコレクション』を目指しながらやってきています。特にホルダーのアイデンティティを示すNFTアイコンの影響力は大きく、『KawaiiGirlNFTのアイコン=NFTへの熱量が高い』というようなブランドイメージの醸成ができるよう意識しました。
『あの人もKawaiiGirlNFTを持っているんだ』というマインドを作ることで、KawaiiGirlNFTへの憧れやブランド力の向上につなげていくことを念頭に置きつつ、コレクション運営者としての発言にも責任を持ち、ちょっとした言動で炎上しないよう気を配ることも大事にしています」

KawaiiGirlNFTを支えるAme-chan、Gumi-chan、そしてTOMMYこと吉富氏の絶妙なチームワークは、まさにスタートアップの創業時における「デザイナー、ハッカー、ハスラー」の役割と似ている。

NFTプロジェクトを成功させるための人選において重要なポイントは何なのだろうか。

「NFTプロジェクトだからといって、既存のスタートアップや新規事業を立ち上げる際の人選や役割分担との違いはないと思います。ただ、NFTひいてはWeb3全体に言えることとして『いかにお互いを信頼し、腹を割って話せるか』がものすごく大切です。というのも、この領域にはどうしても投機的な側面があるがゆえ、金銭関係の問題で運営母体がもめ事やトラブルを起こしてしまうのも過去に見てきたからです。
KawaiiGirlNFTは友達から始まっていることもあり、ある程度の信頼関係は成り立っていましたが、企業がNFTプロジェクトのチームを組成するときは、お互い描いているベクトルが一緒か、NFT業界の未来を期待しているか、あるいはコミュニティやチームに対して献身的な姿勢を持てるか、などを軸に判断するといいのではないでしょうか」

匿名性が担保されるWeb3ならではのリスクに備える

撮影協力:NFT Shisha Bar SingularityTokyo

その一方で注意したいのは、「詐欺や悪徳商法などに知らずに関わってしまうこと」だと吉富氏は指摘する。

「Web3ブームに乗る形でNFTに取り組みたいと考える企業が増えていますが、そこに狙いを定めてうまい話を持ちかけたりする悪徳事業者もいることを肝に命じておくのがいいと思います。会社のファウンダーや過去の実績などを見ても良し悪しは判断しづらく、見極めが非常に難しいかもしれませんが、まずはNFT界隈の情勢に精通する人に聞いてみることです。
あとは『顔の見える関係づくり』ができているかも重要な視点のひとつです。Web3特有の『匿名性』を担保するために、本名を出さずにハンドルネームを用いたり顔出しNGを貫いたりする人も多いわけですが、悪巧みする人にとっても隠れ蓑にしやすいというリスクを常に意識しておくべきでしょう」

こうしたリスクに鑑みつつ、企業がNFTプロジェクトを立ち上げる際に持つべきマインドセットとして、吉富氏は「NFTはあくまで手段であること」を明示する。NFTプロジェクトを成功させるには、緻密なロードマップやDiscordコミュニティの活性化なども考える必要があると捉えがちだが、最終的に思い描く青写真から逆算して本当にロードマップの立案やコミュニティの運営が必要なら取り掛かればいいと。要するに、「NFTプロジェクトはこうしなくてはならない」というセオリーはないというわけだ

「『KawaiiGirlNFT×ふるさと納税』の事例では、ふるさと納税でいろんなチャレンジをしていきたいと考える泉佐野市とコラボし、Ame-chanが泉佐野市をテーマに描いた『いずみさのNFT』をふるさと納税の返礼品として提供しました。NFTは、変に入ると企業の評判を下げてしまう恐れがあるので、事業者にどんな想いやビジョンがあり、NFTをなぜやりたいのか。これらを確認しながらNFTプロジェクトをご一緒するように心がけていますね」

泉佐野市の観光名所である恋人の聖地「LOVE RINKu」を PR す ることを目的としたアート作品として、風景、登場人物などがそれぞれ異なる組み合わせの合計50種類をNFTアートを返礼品として用意した

今後の展望について、吉富氏は「クリプト業界は常に変化していて、流行のアップデートが早いため、フレキシブルな対応ができるよう尽力したい」と語る。

「KawaiiGirlNFTのロードマップは設けているものの、クリプト業界の動向を抑えながら柔軟に変えていけるよう留意しています。ホルダーへの還元や高級コレクションとしてのユーティリティという方針の軸は起きつつ、これからもチームメンバーやホルダーの方々と一緒に、KawaiiGirlNFTの未来を考えていきたい。そして、日本発のNFTプロジェクトとして企業とのコラボなど、新しいことにも挑戦していければと思います」

ライター後記

KawaiiGirlNFTは数あるNFTプロジェクトの中でも、ブランディングやコミニュティの活性化に注力しているのを知っていた。

今回、実際に吉富氏の話を聞いて重要だと感じたのは「信頼できるチームの組成」や「業界トレンドを先読みする審美眼」、そして「変化に応じたプロジェクトマネジメント」だった。

Web3の業界動向が刻一刻と変わっていくなか、いかにフレキシブルに立ち回れるか。核心をついた取り組みができるかが、事業成長の鍵になるのではないだろうか。

 

取材/文/撮影:古田島大介
撮影協力:NFT Shisha Bar SingularityTokyo
編集:長岡 武司

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