宇宙際タイヒミュラー理論とインターオペラビリティ【2022年編集長コラム #2】

宇宙際タイヒミュラー理論とインターオペラビリティ【2022年編集長コラム #2】

目次

※本記事は「架空対談」ということで、xDX編集長・長岡の脳内対話を文字化したものとなります。

※本記事では、書籍『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』(KADOKAWA)からの引用部分を《》で括って表現しています。

数学への没入時間

--こんにちは!前回のコラムから3ヵ月くらい経っちゃいましたが、お元気でしたか?

長岡:元気ですよ。と言いつつ、実は2月にコロナに感染しまして、持病も併せて悪化しちゃったので、実はそれが尾を引いて少々バタついていました。

--え、大丈夫ですか?

今はもう落ち着いたので大丈夫です。コロナというよりかは、それがタイミング的に引き金みたいになって数年ぶりに喘息がひどく悪化しまして、久々に寝込んでいました。もう数ヶ月前の話なので大丈夫ですし、後遺症もなくなりましたが、健康が一番だなと改めて思いました。

--無理をすると免疫力が下がるので、気をつけたほうがいいですよ。

コロナで倒れてからそのことに改めて気づいたので、今は睡眠を第一にとって、家族との時間を最優先するようにしています。それにしても、この3ヵ月で世界はまた一段とカオスになりましたね。

--コロナが少しずつおさまってきたと思ったら、今度はウクライナの件があって、令和になってから世界がVUCA過ぎますよ。ガーシーさん(東谷義和氏)みたいな暴露系YouTuberも登場してきましたし。

前回の編集長ブログで「情報の洪水時代に保つべき姿勢」なんてテーマを記述しましたが、まさに今、ウクライナの件ひとつとっても、情報が相当に錯綜していると感じています。マスメディアはなんだか胡散臭いし、かといってSNSの情報も鵜呑みにできない。もはや信用できる情報は自分の感情だけだとすら感じる中、ちょっとゆっくりと読み物でもしたいと考えて、先日、台温泉というひなびた温泉地に行ってきました。

--台温泉?聞いたことないですね。

岩手県・花巻駅からバスで30分弱のところにある小さな温泉郷なのですが、木造二階建のお宿が多く、湯治場的な雰囲気が残っているなんともレトロな空間です。全てのお宿が源泉掛け流し(循環や薬剤使用なし)なので、本当に気持ちが良い温泉でした。

DX時代のビジネスシーンは常時オンライン接続が前提になるようなところがあるので、こうやって強制的にオフライン体験を組み込まないとすり減っていくなと感じています。

※台温泉一帯の電波状況は良く、Wi-Fi完備の宿も多いので、オンライン作業に支障はありませんでした

左)台温泉の街並み、右)筆者が宿泊した旅館 かねがやの男湯

--オフラインの組み込み設計、大事ですね。

ここで、かねてから気になっていた本を読んだのですが、それがすごく面白かったので、今日はその話をしたいと思います。『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』(KADOKAWA)というタイトルの、数学理論の解説本です。

--数学ですか。

そうやって「数学」と聞くだけで身構える人もいますし、ゴリゴリ文系の僕もその一人だったのですが、ちょっと前に『数学者たちの楽園: 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』(新潮社)という本を読みまして、数学って面白いなと純粋に思って、そこから興味を持つようになりました。『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』で解説されているのは、望月新一氏(以下、望月教授)という京大の教授が発表した「宇宙際タイヒミュラー理論(Inter-universal Teichmuller Theory)」という最先端の数学理論になります。

ABC予想を解決した宇宙際タイヒミュラー理論

--宇宙際タイヒミュラー?宇宙に関する理論なのですか?

ここで使われている「宇宙」という単語は、僕たちが一般的にイメージする天空の星空のような宇宙の話ではないんですよ。ちょっと説明が必要なので、この宇宙際タイヒミュラー理論がどういうものかについて、まずは概要の概要の概要をご紹介します。

--概要の概要の概要って、相当丸めるんですね。

宇宙際タイヒミュラー理論は、正確な数字は分かりませんが、世界でも限られた数学者の方しか完全には理解していないと噂されているようです。当然ながら、僕は数学に関してずぶの素人なので、今回はあくまで『宇宙と宇宙をつなぐ数学』を読んで感じた、宇宙際タイヒミュラー理論が面白くすごいと感じた部分のシェア、くらいに考えていただければと思います。ということで、ここでは書籍『宇宙と宇宙をつなぐ数学』に沿って話を進めていければと思います。

--分かりました。

そもそも、こちらの書籍を執筆された加藤文元氏(以下、加藤教授)は、東京工業大学で教授を務める数学者で、かつては望月教授が所属する京都大学の准教授を務めていたこともある人物です。2005年から複数年にわたって、宇宙際タイヒミュラー理論の主な考え方や関連した数学について議論するためのセミナーを共催していたと、本書の冒頭にある「刊行によせて」で望月教授が記載しています。つまり、加藤教授はこの宇宙際タイヒミュラー理論について、最も詳しく理解されている数学者の一人ということになります。

そんな加藤教授が同理論について、《広く一般の読者にわかりやすく伝えること》を目的に執筆したのが、この書籍『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』(以下、本書)というわけです。望月教授も先述した「刊行によせて」で、《本書が数学的な理論と社会を繋ぐ、有意義な「緩衝材」・橋渡し役としての機能を果たす可能性に、大変期待を寄せている》と記載しています。

--なるほど。

そもそも、この宇宙際タイヒミュラー理論が世界的に注目されたトリガーのひとつが、本理論によって「ABC予想を解決した」という主張がなされたところにあります。

--ABC予想って、まだ証明がなされていないと言われていた問題ですよね?

はい。詳しくはググっていただきたいのですが、「フェルマーの最終定理」や「ポアンカレ予想」に続く超難問とされていて、ABC予想が証明できることで整数論に関する多くの未解決問題を一度に解決できる、とすら言われているものです。

このABC予想を証明したということで、2012年の発表と同時に数学界で非常に注目され、それは現在に至るまで続いています。

--もう10年前の話なんですね。

ここが異例なのですが、先ほどお伝えしたとおり宇宙際タイヒミュラー理論を明確に理解している数学者は世界でも限られた人数しかいないので、査読に相当な時間を要したようなのです。

というのも、宇宙際タイヒミュラー理論が、《一般的な数学のパラダイムの枠内では語れない、まったく新しいフレームワークと言語・概念体系を基盤にして構築されている》からだと、本書は説明しています。通常は講演やセミナーを通じて世界中の数学者に理論を理解してもらうというアプローチをとるのですが、いかんせん共通言語の少ないまったくの新しい理論体系なので、ビジネスシーンで言われるような1on1のコミュニケーションを積み重ねて、ディスカッションをしながら理解を深めてもらう、という方法を取らざるを得ないようなのです。

--それは相当大変ですね…

もちろん、講演やセミナーを一切やっていないわけではないのですが、極めて新規性の高い理論で、かつ論文のページ数も700を超えるということで、よりインタラクティブなコミュニケーションを積み重ねていくことで理解する数学者を増やしているというのが現状のようです。

そんな中、2021年3月に同理論の原論文4編が数学専門誌「PRIMS(ピーリムス)」の特別号に正式に出版されることになりました。また同年秋には、数値的に精密化された改良版の東工大が発行する数学雑誌「Kodai Mathematical Journal」への掲載も決定しました。つまり、専門家のチェックに8年を要した後に、ようやく正式に理論として認められたことになります。

たし算とかけ算を分離する

水上旅館(台温泉)の混浴風呂

--想像していた以上に新規性の高い理論なんですね。具合的にはどんな理論なのでしょうか?

本書の表現を借りると、宇宙際タイヒミュラー理論の基本的な考えの一つに《たし算とかけ算を分離して、互いに独立のものとして、別々に扱う》というものがあります。

--たし算とかけ算を分離?どういうことですか?

たとえば「0.5678」と「5.6329」という小数を考えた場合、たし算(0.5678 + 5.6329)であれば頑張れば暗算できますよね?

--そうですね。なんとか目と頭だけで計算できます。

一方で、これを掛けようとすると(0.5678 × 5.6329)、暗算では難しいですよね?

--さすがに、紙で計算しないと弾きだせないですね。

別の例として、「6/78992」と「78992/6」という分数を考えると、かけ算(6/7899 × 78992/6)は一瞬できますが、たし算をしようとした途端に、通分しなければいけないので相当大変になりますよね。

--そうですね。桁数が結構多いのでクラクラします。

このように、僕たちが普段計算するときに日常的に使っているたし算とかけ算は、実は全然別物だという前提があります。この全然別物の《たし算的構造とかけ算的構造の複雑な絡み合い》によって、ABC予想をはじめ、双子素数問題やゴールドバッハの予想など、数々の難問や未証明問題があるということになります。本書では第4章(p134〜170)で、この辺りの背景がわかりやすく説明されています。

--たし算とかけ算の世界を分ける必要性はなんとなく分かりましたが、具体的にどうやって分けるのかのイメージがまったくできません。

それを考える上で、冒頭に説明した「宇宙」の概念を理解する必要があります。宇宙際タイヒミュラー理論では、私たちが日々計算したり、数学者が証明をしたりするような《数学一式の舞台》のことを「宇宙」と呼んでいます。数学におけるこの宇宙の考え方そのものは、実はAlexander Grothendieck(アレクサンドル・グロタンディーク)という数学者が20世紀半ばに提唱しているのですが、それを望月教授は《とても独創的であり、同時にとても自然なもの》として捉えて使っていると、本書では説明しています。

通常の数学の世界は、今お伝えしたとおり、たし算もかけ算も割り算も引き算も、全て一つの宇宙上で行っていることになります。でも、宇宙際タイヒミュラー理論では《「たし算とかけ算が一蓮托生に絡まり合っている」構造を考えるため》に《複数の数学の舞台》を用意し、《それらの宇宙の間を航行したり、それらの関係を考えたりする》ということです。数学的には、この《「たし算とかけ算が一蓮托生に絡まり合っている」構造》を「正則構造」と呼んでおり、正則構造という既存の数学のパラダイムを破壊し、その上で変形させて考えるというのが、宇宙際タイヒミュラー理論が非常にユニークで革新的だと言われる所以です。

--今の世の中が成り立っている大前提となる数学の構造とは違う形で考えている、ということですよね?すごいなー

もちろん、宇宙際タイヒミュラー理論はこのほかにも様々な各申請があるようなのですが、本書ではこの部分が非常に重要な考えであるとして、以下のようなパズルピースの例を紹介しています。こちらは、YouTubeにあがっていた加藤教授による宇宙際タイヒミュラー理論の解説動画をスクリーンショットしたものです。

画像取得:加藤文元による宇宙際タイヒミュラー理論(英語字幕付き)[PROPER]

  

このように、たし算とかけ算という2つの自由度を宇宙レベルで引き離すと、次元が異なる宇宙になるので、互いの宇宙での考えをくっつけようとしても、このパズルピースのように大きさの違うものになります。

ではどうするかというと、加藤教授の表現による《入れ子の宇宙》を考えるというアプローチが紹介されます。

--入れ子の宇宙?

先ほどの動画では、以下のようなスライドで説明されています。

画像取得:加藤文元による宇宙際タイヒミュラー理論(英語字幕付き)[PROPER]

   

--ああ、Zoomの画面共有でデスクトップ表示をすると、たまにこんな感じの状態になることがあります。参加者が映る画面が延々と奥に続いていくような。

そうですね。この入れ子の宇宙を使ってさっきのパズルピースをはめる様子を写したものがこちらです。

画像取得:加藤文元による宇宙際タイヒミュラー理論(英語字幕付き)[PROPER]

   

--あっ!はまった!

イメージとしては、このように異なる宇宙のピースをはめて、たし算的構造とかけ算的構造をつなげるということです。宇宙際タイヒミュラー理論では、このように《一方の次元を固定して、他方の次元を伸び縮みさせる変形をすることで、さまざまな図形を作り出し、それらの相違を定量化する》というものになります。

--なんだか、ABC予想に限らず、数学全般に大きな影響を与えそうですね。

おっしゃる通りで、望月教授としても、そもそもABC予想を解決するために宇宙際タイヒミュラー理論を構築したのではなく、それはあくまでマイルストーンの一つに過ぎない位置付けとのことです。この理論が最終的にどのような影響を数学界、ひいては社会に及ぼすのかは、まだ誰もわからないと思います。

本書では、この宇宙際タイヒミュラー理論の概要について、第5章(p171)以降で具体的な計算式や数学理論を交えながら分かりやすく説明しています。異なる舞台(宇宙)間でやりとりするための通信の考え方や、理論の土台となる諸理論(遠アーベル幾何学等)について理解が深まるので、食わず嫌いをせずに通読されることを強くオススメします。本が苦手だという方は、先ほどご紹介した動画をぜひご覧ください。

これからますます重要になるインターオペラビリティ

吉野屋旅館(台温泉)の男湯

--宇宙際タイヒミュラー理論のすごさは、なんとなく分かりました。ところで、これがDXとどのように関係してくるのでしょうか?

数学界にとって同理論が本質的なトランスフォーメーションの産物であるという観点がありますが、今回はそこではなく、「異なる舞台間での通信」を前提としている点に着目したいと思います。

--と言いますと?

システムの世界では、異なるプログラムやシステムを接続・組合せなどをして使う際に、全体として問題なく機能するように「インターオペラビリティ(interoperability:相互運用性)」を担保する必要があります。これからの二十年のマイクロトレンドとして、先日解説記事を出したWeb3が大きなうねりになると感じる中、このインターオペラビリティへのブレイクスルーがとても大事になると考えています。

--ちょっとまだついていけていません。どういうことですか?

まずはインターオペラビリティの歴史について、簡単にお伝えしますね。コンピューターがまだ黎明期だった頃は、異なるシステムのデータ連携については「ファイル+バッチ処理」で行われていました。今でも基幹システム等でこのような運用をしている企業は多いと思うのですが、たとえばシステムAからシステムBにデータ連携する場合は、システムBのデータ構造に沿った形式でシステムAからCSVファイル等のデータファイルを吐き出し、サーバーにあるバッチを深夜などに定期起動させてシステムBにインポートするというやり方です。

昔、パッケージシステムのコンサルタントをやっていた時、固定長のデータ連携しか受け付けないシステムに対して、わざわざデータとデータの間に空白を大量に入れるバッチを記述してなんとか連携させた、という記憶がよみがえります。

--それは大変ですね…。空白が一つでも足りないとうまく連携できない、というやつですね。

次いでオンラインシステムが主流になると、今度はファイルベースのデータ連携ではなく、システム同士で通信をしてデータ連携をするという流れに移行します。

--そっちの方が圧倒的に楽そうですね。

同じようなデータやプログラムの構造をしているシステムであれば良いのですが、全く違うとなったら大変です。連携するデータを加工するだけではダメで、そもそも、データを管理するシステムそのものに改変を加える必要も出てきます。たとえばシンプルな例として、管理項目の違いが挙げられるでしょう。何かレイヤーの異なる管理項目がシステム間であった場合、連携元もしくは連携先のデータベースのテーブルに該当項目の格納カラムを追加する必要があり、またその必要な情報を取得するために、インターフェース上で入力機能を備える必要もあるでしょう。

--内容によっては大きな改変になりますね。

2方向のシステム間でもそんな感じなので、多くのシステム連携は、複数システムが複雑に絡まりあっているので、それら全ての連携処理に影響が及び、改変箇所がうなぎ上りで増えていきます。もちろん、SOAP(Simple Object Access Protocol)やREST(REpresentational State Transfer)などの標準が策定され普及してきているものの、異なるシステム同士は本質的にインターオペラビリティへのハードルがあるものと言えます。

--なるほど。

そして、これはWeb3の世界でも同様です。たとえばWeb3のプロトコルとなるブロックチェーンを考えてみると、ビットコインやイーサリアムなど、多様な仕様の基盤が存在します。当然ながら両チェーンは仕様が異なるものなので、そのままでは相互運用性がありません。上の解説記事でもご紹介しましたが、たとえば送金ひとつ考えてみても、ビットコインのウォレットにイーサリアムを直接送金することはできず、一度イーサリアムをビットコインに変換してからビットコインウォレットに格納する必要があります。

対して日本円の場合は、中央銀行(日本銀行)と銀行間資金決済クリアリングハウス(全銀システム)が機能することで、異なる銀行間でも問題なく「同じお金」として利用することができます。

--今のままだとWeb3は不便ですね。

なので、このブロックチェーンにおけるインターオペラビリティ問題の解決に向けた取り組みが、世界各所で行われています。

Web2と同様に、Web3の世界でもさまざまなプラットフォームが存在することになり、しかもそこではコミュニティの要素が強くなるはずです。メタバースを含めた大小さまざまなプラットフォームは、「X2E」(X to earn)と表現されるインセンティブの仕組みでユーザーを集めることになるでしょうから、人々はさまざまなインセンティブを享受するためにプラットフォーム間を移動することが、基本的な行動主観となるでしょう。

移動の主体は実質的にはデータになるわけですから、必然的にインターオペラビリティ問題の解決も重要になるわけです。

宇宙際タイヒミュラー理論とインターオペラビリティと温泉

ホテル三右エ門(台温泉)の男湯

--そう考えると、宇宙際タイヒミュラー理論の「異なる舞台間での通信」って、このインターオペラビリティの考え方に、どことなく通じるところがあるような気がしますね。

これはほぼ直観での意見なのですが、数学の基本構造となる理論でこの舞台間通信(ある種のインターオペラビリティ)の原則が提唱されているということは、それは数学という学問に閉じるだけではなく、今後数世紀の社会的なパラダイムにも影響すると感じます。

そもそもですが、僕たちが現実に生活しているリアル空間と、インターネットも含めたバーチャル空間とでは、僕たちの頭の中で常に情報の変換なるものが行われています。厳密にはシミュレーション仮説のような考え方もあるわけで、そういう意味では壮大なインターオペラビリティの担保を、脳なり腸なりの身体が昔からやっているわけです。それをデジタルtoデジタルの世界で実現しようというのが、半世紀近く行われているインターオペラビリティの取り組みだと捉えることができるでしょう。

--話が急に壮大になりましたね。

生物の基本は膜にあります。これは、僕が読んで衝撃を受けた書籍『なめらかな社会とその敵』(勁草書房)でも前提となっていることなのですが、要するにこの本では、巨大な系の中に細胞の膜が境界を引くところから生命はスタートしたとしており、この膜構造はどう考えても無視できない所与としてあるものの、それをなめらかにするための方法の提案をしています。

また、この膜の話に通ずるトピックとして、望月教授はブログ(新一の「心の一票」)で、旅を例に「友好的な姿勢を保ちつつ、一定の距離を置く」という「壁」の存在を論じています。

詳細はぜひ読んでいただきたいのですが、どんな存在であってもそこには必ず境界線なるものを設けて成り立たせる力学が本質的に備わっているのであって、それがある限り、広義なインターオペラビリティは必要になると感じるわけです。

--私たちはインターオペラビリティで成り立っていると。

ちょっと観念的かもしれませんが、僕はそう思っています。そういう意味では、ここまでアップしてきた温泉なんかは、境界線を絶妙になめらかにする自然界からのギフトだと捉えていて、そこに没入することが「自然(ジネン)」な行為なのかなと感じています。

--記事の内容とびっくりするくらい関係のない温泉の写真は、ここに行き着くということですか。

相当無理やりな感は否めませんが、個人的には、温泉に浸かりながら宇宙際タイヒミュラー理論の本を読んだことで、こんなことをぼんやりと考えていました。

いずれにしても、今回読んだ加藤教授による書籍『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』(KADOKAWA)動画は非常に興奮する内容で、数歩先の未来を妄想するにあたって最高にの材料だと感じたので、ぜひ読んでみていただきたいと思います。

文:長岡 武司

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