企業がWeb3へ参入する際は「NFTを10個購入」して肌感を掴むべし!mekezzo氏からのアドバイス

企業がWeb3へ参入する際は「NFTを10個購入」して肌感を掴むべし!mekezzo氏からのアドバイス

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ブロックチェーンやNFTなど、Web3にまつわるテクノロジーの社会実装が進むにつれて、業界や業種を超えた新たなフロンティアの動向に注目が集まっている。

その一方、トレンドの流動性や情報の不確実性が際立っており、Web3に勝機を感じて参入しようとするも、どうしたらいいか見当もつかない事業者も少なくないだろう。

従来のWeb2とは異なり、まだまだ王道となるビジネスモデル等が確立されていないWeb3領域であるが、中にはマネタイズに成功し、次なる事業の発展に向けて布石を打っているプレイヤーも存在する。

そのうちの一人が、マルチプレイメタバース空間「Conata」や「Crypto Art Fes」、「VVAVE3(ウェイブ3)」といったイベントのファウンダーを務めるmekezzo氏だ。

自らが代表を務める株式会社BeyondConceptの経営の傍ら、NFTクリエイターとしても片鱗を示しており、メタバース・クリエイターのMISOSHITA氏とタッグを組んだNFTプロジェクト「Metaani(メタアニ)」では1年で1.3億円の累計取引高を誇っている。

今回は、Web3領域のビジネスを手がける上で押さえるべきことやWeb3の将来性について、mekezzo氏に語っていただいた。

メタバースにおけるクリエイターの活動をサポートしたい

mekezzo氏はもともと、モバイルゲーム会社「グラニ」のCo-Founder VPoEとして7年間、ゲーム事業を運営していた人物だ。2018年に同社のゲーム事業売却を機に退職し、その後は東南アジアを放浪しながらVRの開発をしていくなかで、次にやることの方向性を定めていったという。

「2018年ごろはCryptoKitties(クリプトキティ)などのようなERC721規格(NFTを発行するための標準規格の一つ)のサービスがちょうど出てきていました。前職でVR事業の立ち上げや3Dの企画・開発に関わっていたことから、バーチャル領域で起業することは決まっていましたが、仮にこの規格がメタバースやVRの技術基盤になれば非常に面白いのでは、と感じていました。バーチャル空間上での経済圏が盛り上がり、新たなバーチャルカルチャーの潮流が来ると考え、“バーチャル x クラウドファンディング x NFT”のような形のConataを開発することになったんです」

Conataとは、VTuberやデジタルアーティストがNFTグッズをメタバースプラットフォームで販売できるサービスだ。メタバースがここまでの注目トレンドとなる前に、mekezzo氏は一足早くバーチャル空間に可能性を感じて事業の種を蒔いていたのだ。その後、ブロックチェーンやNFTがさらに脚光を浴びるようになり、徐々にムーブメントの波が立ち始める。

2021年4月には初のバーチャルイベント「Crypto Art Fes」をConata内で開催し、VRアートや3Dアバター、音楽などのクリプトアートが揃う祭典となった。

「この頃からNFTアートやクリプトアートが盛り上がってきたのですが、現代アートのようにギャラリー展示していろんな人に作品を見せるイベントがありませんでした。そこで、まずはバーチャル上に展示空間を作り、クリエイターの発表の場を提供し、さらにはクリプトアートに関わるクリエイターのカルチャーを創りたいと思い、『Crypto Art Fesを企画しました」

2021年はNFT元年と呼ばれ、社会的にも注目度が高まった時期。そんな時流も相まって、「Crypto Art Fes」には総勢約100名のアーティストが参加したという。メタバース空間上にアーティストのデジタルアート作品が展示され、世界最大規模の祭典として好スタートを切ったのである。

Web3では「共創IP」ならぬ「共騒IP」が求められる

画像出典:https://www.metaani.com/

この勢いそのままに、mekezzo氏は「新しいWeb3時代のキャラクターを創出したい」という思いのもと、メタバース・クリエイターとして最前線で活躍するMISOSHITA氏と共に、日本発のメタバースNFTプロジェクト「Metaani」を2021年6月に始動させる。

「Metaaniを立ち上げた背景としてmekezzo氏は、「2Dで活躍するクリエイターが、メタバース空間でもデビューできるような課題解決型のアートプロジェクトを出したかった」と語る。

「購入したMetaaniのNFTがメタバース空間上でアバターとしても機能し、さらにはさまざまなアーティストやプロジェクトとのコラボレーションもできる“汎用性”を持たせている点が大きな特徴です。加えて、誰にでも愛されるようなフォルムを意識し、クリエイターの創造力を掻き立てるようなキャラクターデザインに仕立てました。

「Metaaniには、オリジンと呼ばれるクリプトアートとコラボしたシグネチャーの5体と、商用利用可能なライセンスを付与している『Metaani GEN』、それからバーチャルYouTuber『キズナアイ』や音楽アーティスト『きゃりーぱみゅぱみゅ』といった著名IPとのコラボモデルやその他様々なコレクションがあります」

「MetaaniにおけるNFTプロジェクトの仕組みは「ファッションのハイブランドや広く認知されているコレクションの座組み、セカンダリー市場での流通の動きなどをかなり参考にした」とmekezzo氏は続ける。

「例えば既存のハイブランドでは、会員なら優先的に限定モデルのコレクションを購入できたりするなど、すでにあるビジネスからヒントを得て、Metaaniの仕組みを考えていきました。また、グローバルトレンドもすごく意識していて、世界的にも注目されるBAYC(Bored Ape Yacht Club)のNFTを入手し、DiscordのNFT所持者専用のコミュニティに参加して情報をキャッチアップしていました」

画像出典:https://conata.world/metaani/gen

また、Metaani GENは​​商用利用が可能なので、たとえばTシャツや2Dのアートを作って物販したり、Metaaniのアバターでタレント活動をしたりしてもいいわけだ。まさに、クリエイターファーストなプラットフォームトイであると言っても過言ではないだろう。

「海外の方が日本よりも『ファンユースの精神』が強く、もっと日本でもIPに対する知的財産にとらわれない2次創作のコンテンツが増えていけばと思っている」とmekezzo氏は述べる。

「Web3のような新しいインターネット上では『共創IP』ならぬ『共騒IP』が求められると考えられています。従来の2次創作における制限を解放できれば、クリエイターが自由に創作活動ができ、そこからさまざまなコンテンツが生み出されるはずで、そこに大きな可能性があると感じています」

ムーブメントを盛り上げるにはリアルイベントが必要不可欠

そのほか、今年に入ってからもmekezzo氏は精力的に活動を行っている。第2回目の開催となったCrypto Art Fes 2022では、メタバースとフィジカルを融合させ、「NFTの現在地」を確かめるイベントとして昇華させた。

また、 音楽 × NFTコミュニティ「VVAVE3」のリアルイベントを渋谷のクラブ・Wombでコミュニティを開催し、啓蒙活動にも注力している。

このようにバーチャルのみならずリアルイベントも手がける理由として、mekezzo氏は「 海外におけるNFTの盛り上がりと日本のそれとでは温度差が激しく、危機感を抱いていたから」だと強調する。

「海外の場合、ビジネスカンファレンスのほかにネットワーキングやミートアップなど、リアルで交流できる場が多くありました。2022年6月に開催された『NFT NYC』がその最たる例ですが、こと日本においてはNFTカルチャーこそあるものの、ほとんどがオンラインのみで、リアルで集う場がありませんでした。そのため、日本でもNFTのムーブメントを盛り上げるには、リアルで界隈の人たちが集まるイベントが必要だと思ったんです」

特にZ世代やα世代といった若年層は、生まれた頃からバーチャルがあり、もはや日常の一部になっている。そんなバーチャルネイティブな世代が活躍するWeb3時代においては、Twitterなどのデジタル空間や、The Sandbox、Decentralandといったメタバース空間は出会いを起点になりつつ、リアルなカンファレンスやイベントがある種のオフ会として活用され、そこからより深度のある交流が生まれるスタイルになることが想定されるだろう。

「イベントを開催すると決めれば、期日が決まり、クリエイターも発表の場に向けて制作に力を入れるようになります。このような循環を作り、Web3時代でもクリエイターが活躍していけるサポートをしていければと考えています」

アプリケーションレイヤーよりも基盤となるレイヤーをまずは見よ

こうしたなか、多くの企業はWeb3への関心は高いものの、本格的なビジネスというよりかは話題づくりやブランディングといったプロモーション目的で参入するケースも少なくない。

Web3の本質を捉え、ビジネスとして回していくために押さえるべき情報や知見はどのようなものなのだろうか。

「私が手がける事業のひとつにWeb3特化のコンサル事業があるのですが、クライアント企業によくアドバイスしているのが『専任の担当者をつけること』と『NFTを10個購入すること』です。特に後者は非常に重要で、例えば『ラーメンを食べたことないのに、ラーメン屋を開業できない』ように、実際にNFTを購入してみないと、そこでの世界観や実情の肌感はわかりません。また、単にどんなNFTでも良いかというとそうでもありません。『目に入ったら適当なラーメンでいいやとして買って食べる』のだとしたら、それではNFTの本流は掴めないでしょう。事業投資する気概をもって国内外の著名なNFTを買うくらいのコミットをすることが、まずは出発点になります」

加えて、NFTの価値と自社がもつアセットの価値の「紐つけ」を考えることも重要だと、mekezzo氏は続ける。

「IPホルダーならNFTを用いたデジタルグッズを作ったり、飲食店なら席自体をNFT化したりと、ユーティリティを持たせることが肝になります。ただ、まずはNFTアーティストとのコラボから始めてみるなど、試験的にPoCを実施すれば、失敗も最小限に抑えられるでしょう」

現実とバーチャルの垣根がなくなる世の中を目指す

Non Fungible Tokyo 2022のセッションに登壇するmekezzo氏

最後に、今後の展望についてmekezzo氏は「現実とバーチャルの垣根をなくしていきたい」とした上で、Metaaniに関しては「ファウンダーがいなくても、DAOで運用されるような状態を目指す」と事業体の青写真を語った。

Metaaniのプロジェクトで次に目指すのは『制作委員会』のような組織を、スマートコントラクトやプログラムで実装することです。技術的にはハードルが高いわけですが、クリエイターはさまざまな“契約”に弱い立場である手前、テクノロジーを用いてその課題を解決していければと考えています。個別契約をなくし、契約と分配をプログラムで自動化すれば実現可能なため、どう設計、開発していけばいいかを創意工夫しながら取り組んでいければと考えています。Metaaniが世界中のクリエイターやコレクターから愛されるコレクティブNFTとしてバリューアップできるよう、これからも尽力していきたいです」

ライター後記

mekezzo氏を取材して思ったのは、どんなプロジェクトやイベントであっても「クリエイターへのリスペクト」が感じられる点だった。クリエイターエコノミーが叫ばれて久しいが、Web3では特にクリエイターに焦点が当たる機会が多い。

こうした状況下で、mekezzo氏はクリエイターの活動をサポートし、カルチャーを醸成しようとする意欲がひしひしと伝わってきた。「Metaani」の成長もさることながら、Web3界隈を盛り上げるトップランナーとしてこれからの活躍に期待したい。

取材/文:古田島大介
編集:長岡 武司

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