いま、現物資産 × NFTが面白い!NOT A HOTELとSAUNOAの事例から考える2023年以降のトレンド〜NFT Summit Tokyoレポート

いま、現物資産 × NFTが面白い!NOT A HOTELとSAUNOAの事例から考える2023年以降のトレンド〜NFT Summit Tokyoレポート

目次

「次世代インターネット『Web3』に企業はどう取り組むべきか」

この問いはおそらく、“Web3元年”と呼ばれた2022年には、各所で議論されたことだろう。

2022年にはWeb3にまつわる大小さまざまなセミナーやカンファレンスが行われたが、Web3元年を締めくくるのにふさわしい大規模なイベント「NFT Summit Tokyo」が、2022年12月13〜14日の2日間にわたり、東京都立産業貿易センター 浜松町館 4階展示場で開催された。

今回はその中でも、「NFTビジネス成功の秘訣:NFT x 現物資産」と題したセッションを取り上げる。

NFTブームが巻き起こり、多くの企業が自社のビジネスとの紐つけを模索している状況であるが、なかなか参考となるユースケースが見つからず、苦労することも少なくない。

こうしたなか、NFTを活用したビジネスで成果を上げている「NOT A HOTEL」の事例と、これからNFTビジネスへ参入する予定の事業者を交え、NFTビジネスの成功の秘訣が探られた。

登壇者:

  • 濱渦 伸次(NOT A HOTEL株式会社 代表取締役)

  • 山本 章悟(株式会社Ambient Works 代表取締役)

  • 伏見 慎剛(株式会社メルカリ 執行役員NFT担当/株式会社メルコイン 取締役)※モデレーター

登壇者の事業紹介について

まずは各スピーカーの展開するビジネスについて紹介がなされた。

NOT A HOTEL代表の濱渦氏は、コロナ禍でロックダウンが続き観光産業が大打撃を受けるなかで、何か新しいビジネスを立ち上げようと考え「ECで商品を売る感覚で、8億円の“別荘”を売る」ことに着目したという。

「8億円の高額な別荘1棟を、年間30日分所有できる権利を売るといっても、約7,000万円という一般的なECでは考えられない金額のものを売るというのはかなりチャレンジングなことだったと思います。また、当時は物件自体が建設中だったこともあり、完成予想のCGをサイトに掲載しながら販売しなければならず、どうなるか予想がつきませんでした。でも結果としては、2021年9月の販売開始から約2ヶ月で40億円の売上を達成することができました」(濱渦氏)

そして、2022年6月からは会員権(メンバーシップ)を付与した「NOT A HOTEL NFT」を販売。もっと多くの人にNOT A HOTELの世界観を体験してもらおうと、1日単位で別荘を利用できるようにしたのが、NFTを活用した経緯になったと言う。

Ambient Works代表の山本氏は、恵比寿に住所非公開の会員制プライベートサウナ「SAUNOA」を運営している人物。心も体も“ととのう”体験を提供し、極上の空間でリラックスできるよう、都会とは思えない設えと全室個室という心理的安全性に配慮した設計が大きな特徴となっている。

さらにCBD(Cannabidiol:カンナビジオール、植物に含まれる天然成分)やメディテーション要素など、ヘルスケアを意識した独自のサービス開発も行っているという。

「私自身がサウナ愛好家でもあり、プライベートサウナの事業をやろうと思ってSAUNOAを立ち上げました。特別な空間に来ることで心身が安らいだり、パフォーマンスの最大化につながったりと、サウナを通して新たなカルチャーを生み出せていければと考えています」(山本氏)

NFTビジネスで大切なストーリー設計と付加価値の担保

こうしたなか、なぜNFTビジネスに活路を見出していったのだろうか。

濱渦氏は「1/12(30日分)でも販売価格は約7,000万円だったわけだが、それを1/365(1日分)とさらに権利を分割することができれば、150万円くらいで販売できると思ったから」だと述べる。

NFTに関してはコインチェック共同創業者の大塚雄介氏との情報交換で興味を持ち、そこから約2ヶ月でNOT A HOTEL NFTのリリースにこぎつけたという。

対して山本氏は「今回登壇させていただいているNFT Summit Tokyoのファウンダーを務める満木さんに、『会員制のビジネスならNFTを絡ませた方がいい』とアドバイスをもらったのがきっかけでNFTに関心を示すようになった」と語る。

ここで焦点となるのが「NFTをただ発行・配布すればいいわけではない」ということだ。

日本でNFTが注目され始めた初期の頃では、それこそ否が応でもNFTを出せば、一定の結果としてあらわれることもあっただろう。だが、現段階においてはコンテンツやユーティリティがより大事な要素になっている。

濱渦氏は「一見、150万円のNFTは高く見えるが、毎年宿泊できる権利は47年間(建物の耐久年数)有効で、1泊あたりの換算すると3万円になる」とし、緻密に設計したロジックについて説明する。

「日本のホテルにおけるスイートルームの基準は50平米以上と言われていますが、NOT A HOTELの物件では1番狭い部屋でも200平米はあり、非常に開放感のある空間を体験できます。さらに、NFT所有者の方には、ランダムで割り当てされた日に毎年宿泊できる権利を提供しているので、その日が非日常を生み出す“新しい記念日”として、NFTホルダーの方に記憶されるんです。偶然にも結婚記念日や誕生日に割り当てられた方もそうでない方も、偶発性が紡ぎ出すNOT A HOTELならではのストーリーを創り出せたのが、反響につながったと考えています」(濱渦氏)

一方で山本氏は、NFTを既存のビジネスと絡めていく構想として「サウナグッズなどの現物と交換できるスタンプカードのような役割」を考えているそうだ。

「懸念点としては、NFTをマーケットプレイスに出品すれば、誰でも買えてしまうことでしょう。今現在プライベートサウナという建てつけでSAUNOAを運営していますが、経営者や著名人などが多く、どのようにして、ターゲットとなる層にクローズドで訴求していけるかが課題になってくると思います」(山本氏)

また、NFTのビジネス活用においては「付加価値の担保」も重要になってくる。

濱渦氏は「今後もさまざまな物件がオープンしていく予定なので、そこで価値が目減りするのを防いでいる。2025年までに全国に30箇所のオープンを目指しているので、土地探しと並行しながら経営しているような状況」だと言う。

山本氏は「まずは1〜2年のスパンでNFTをやっていく予定で視野に入れている。NFTの価値=店舗の価値を高めていくことに尽きると思っていて、今後はFC展開も含め、プランニングしている」と説明する。

マスアダプションに向けた鍵は何になるのか

今後のNFTビジネスのマスアダプションに向けた課題について、両者はどのように捉えているのだろうか。

NOT A HOTEL NFTは現金購入が8割、イーサリアム(ETH)決済が2割だったそうだ。

「NFTだから欲しいのではなく、“47枚の紙切れ”でも買いたいかを意識した」

そう語る濱渦氏はNFTのユーティリティ設計で心がけたことをこのように説明する。

「アンケートを実施してわかったのが『7割くらいの方が初めてNFTを買った』ということです。つまり、NFTの有無に関係なく、どんな体験が得られるのか。そこで味わえるストーリーは何なのかをしっかりと設計することが重要だと言えるでしょう。また、NFTを活用するメリットとして、たとえば普通のゴルフ会員権の名義を変える際にかかる名義変更料は数十万円ほどかかってしまいますが、NFTであればウォレット同士で権利譲渡ができるわけです。こうしたユーザビリティの良さもNFTならではのものだと考えています」(濱渦氏)

山本氏は「現状、NFTは投資やホルダー限定のメリットなど目的化されることが多いが、手段としてNFTが使われるようになると、よりマスアダプションに近くなるのではと感じている」と持論を展開する。

これに付随して、濱渦氏は「ナイキがWeb3スニーカーの『Cryptokicks(クリプトキックス)』を発表したように、今後より一層NFTと現物とのユーティリティが交わってくるのではと予想している。こうなると、Web3へ入ってくるプレーヤーも増え、さらに業界が盛り上がるのでは」と見解を示した。

さらに、マスアダプションの鍵となるのがウォレットと暗号資産の調達と言えるだろう。

モデレーターの伏見氏は「Web3系のイベントでフリーミントのNFTを配布しても、メタマスクのダウンロードまではいけるが、そこに暗号資産を入れられない人が多いという肌感覚を持っている」とし、これからメルカリとして構想している動きを話してセッションを締めくくった。

「メルカリがやろうとしているのは、メルカリで販売して得たお金をビットコインやイーサリアムに換金できるような仕組みを提供することです。来年(2023年)春までにはリリースする予定で動いており、『暗号資産を買うのが怖い』というユーザーにも気軽にクリプトを貯められるようなUXを創造していきたいと考えています。

ただ、いわば分散型金融(DEX)としての役割を担うなかで、法規制の観点やメタマスクとシームレスに連携できるかが肝になるので、引き続き試行錯誤を繰り返しながら、具現化できるように尽力していく予定です」(伏見氏)

取材/文/撮影:古田島大介
編集:長岡 武司

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