Web3を日本に根付かせる条件とは? 〜SHARE SUMMIT 2022 セッションレポート〜
目次
今年で7回目を迎える一般社団法人シェアリングエコノミー協会主催の「SHARE SUMMIT」。
去る2022年11月1日には「SHARE SUMMIT 2022」が行われ、各業界の有識者らが集う会となった。
今回は「NEXTプラットフォーム 〜WEB3時代のシェアリングエコノミーの果たす役割〜」と題したセッションのレポートをお送りする。
プラットフォームが大変革の時代を迎え、Web3やDAOなどの新たな潮流が生まれている。
新時代のシェアリングエコノミーが果たすべき役割は何なのか。
2030年にはどのような未来が待ち受けているのか。
モデレーターにNext Commons Lab 代表の林篤志氏を迎え、「世界2.0 メタバースの歩き方と創り方」著者の佐藤航陽氏、日本のWeb3を牽引する伊藤穰一氏がディスカッションを繰り広げた。
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伊藤 穰一(株式会社デジタルガレージ 取締役 共同創業者 チーフアーキテクト)
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佐藤 航陽(株式会社スペースデータ&株式会社レット 代表取締役社長)
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林 篤志(Next Commons Lab 代表)※モデレーター
規制改革を本気で取り組めば、日本がWeb3を牽引していける
まず冒頭では各登壇者の自己紹介が行われた。
1995年にデジタルガレージを共同創業した伊藤 穰一氏は開口一番、「今はほとんどweb3ばかりやっていて、産学官含めさまざまなプロジェクトに関わっている」と口火を切り、「web3は社会的にどんな意味があるのか、本当に役に立つのかが重要」だと話す。
近年は日本を活動拠点にしている同氏だが、ここ1年ほどのWeb3の熱狂について「日本はバブルがなかったからこそ、真面目にweb3のことを捉えている」と見解を示す。
「2014年にビットコイン(BTC)が流出した『マウントゴックス事件』が起こったことをきっかけに、海外と比べて法整備の必要性が高まりました。その流れから、暗号資産に対する一定の法的規制に則った形で国内暗号資産取引所がいくつも登場し、一時期は暗号資産の産業において世界をリードしていました。
しかし、2018年のNEM(ネム)が流出した『コインチェック事件』によって、金融庁の規制がより厳しくなり、ぺんぺん草も生えないくらい小さな産業になっていきました。他方、アメリカにみるクリプトバブルやお金持ちのロビイストからの働きかけがないぶん、日本は産業の成長を見据えた上で、真面目にweb3に取り組んでいくのではと考えています」(伊藤氏)
大企業やコンテンツビジネス、ゲーム、メタバースなど、業種・業界を超えてさまざまなプレーヤーがWeb3に熱い視線を送っている。
だからこそ、日本から社会的に意義のあるWeb3のユースケースやDAOを作って、世界に示していくことができれば、日本がWeb3業界を牽引していくことも大いに考えられるだろう。
だが、「規制改革を本気でやらないと、実現性に乏しい」と伊藤氏は指摘する。
次いで、株式会社スペースデータの代表を務める佐藤 航陽氏が、同社の行う事業について説明した。
同社は衛星データから仮想世界を自動生成するAI技術を開発しており、「マトリックスのような世界がさまざまな技術の組み合わせでできるのではと2020年くらいから思い始め、ようやくSF的な世界を実現する時代が到来したと実感している」と佐藤氏は話す。
「個人的な仮説ですが、最終的にはコンピューター上に宇宙を作る時代が来るんじゃないかと思っています。現在はコンピューターの計算力が足りないので現実的ではないですが、将来的に今の比にならないくらいの計算能力を有したコンピューターを人間が開発すれば、地球含め火星などの銀河系の宇宙をコンピューター上に再現できるし、むしろテクノロジーはそこに向かっているのではと考えています。そこに向けて、現在は東京やニューヨークといった都市部から、デジタルツイン(現実世界をデジタル化し、仮想空間で再現すること)の構築に粛々と取り組んでいるような状況です」(佐藤氏)
このような事業を始めた経緯について、佐藤氏は「哲学的な話になってしまうかもしれないが、人類がコンピューター上に世界を創り出し、神様と競争できる時代が来たと思ったから」と説明する。
「神様が作った物理世界よりも魅力的な世界を創れるチャンスが、死ぬまでに存在しているならば、やらない理由はないと考えたため、今の事業を始めました。生きている間に、今の物理世界よりも魅力的な世界を創って、何人連れていけるかチャレンジしたいというのが本望ですね」(佐藤氏)
モデレーターの林 篤志氏は2011年頃から日本の限界集落や地方に入り込み、人口が目減りしていくところに新しい資本主義の可能性を探るようになったという。
地方発のビジネスを行う起業家の育成や、最近だとNFTを活用した事業にも関わっているという。
「日本の場合、2040年までに自治体の半分が消滅すると言われており、自治体に任せていてはインフラの維持もできない。それなら自分たちでインフラのようなものを作ろうと立ち上げたのが『Local Coop』です。また、伊藤さんとの共通点で言えば、新潟県の旧山古志村という人口800人程の限界集落で『山古志DAO』というプロジェクトを始めており、同村発祥の錦鯉をシンボルにした『NFTアート』を発行しています。これはデジタル住民票の役割を果たし、“デジタル村民”になってもらうことで、山古志村と関わり合いを持てる関係人口の創出を目指しています」(林氏)
今のWeb3ブームは60年代の「ヒッピーカルチャー」に似ている
Web3元年と呼ばれる2022年は、大きな変化が起こる年と言われている。社会的な注目度や熱量の高さも伺えるなか、各登壇者はどのような所感を持っているのだろうか。
伊藤氏は1960年代後半のヒッピーカルチャーを例に挙げ、次のように意見を述べた。
「当時の若者たちの間では、旧来の価値観への抵抗や反体制的な機運が高まり、社会からドロップアウトしてコミューンを作ったり、カウンターカルチャーを生み出したりと、新しい価値観や技術がそこから誕生するようになりました。この頃の状況はまさに今と近いと思っていて、中央集権的な社会のままでは貧富の差や環境問題はなくならず、今の社会構造に対して不信を抱いている20代が、web3やメタバースで新しい世界を創ろうとしています。
ブロックチェーンなどの非中央集権的な技術を用いて、20代は新たなカルチャーを見出し、今までにないガバナンスと倫理観をどうやって作っていくか模索しているのは、60年代に一世を風靡したヒッピーカルチャーを彷彿とさせるものがあります」(伊藤氏)
一方で、政府がWeb3を国家戦略に掲げるなど、中央集権的にWeb3が組み込まれていく懸念もある。
中央集権とニューカルチャーの関係性については「山古志DAOの事例はひとつ、いい例だと思う」と伊藤氏は続ける。
「私は市町村のレイヤーからボトムアップでweb3の新たなカルチャーが生まれてくると予想しています。そもそも国と民間をセパレートしているのは、一定のコンフリクトがあったりルールを分けないとクリーンな政治を保てなかったりするから。これが透明性が高く、管理がきちんとできて、ガバナンスとインセンティブの正当性を保つことができれば、国と民間がだんだん一体化する動きになってくると考えています」(伊藤氏)
市町村がDAOを活用するための実験を重ね、ユースケースを作り、新しい資本主義が生まれてくれば、国家も変わってくることだろう。
テクノロジーの進化は止められず、どう共生していくかが重要に
佐藤氏は2010年の終わり頃から「成熟したインターネット産業は徐々に衰退する」と推測しており、代わりに「今後10年、20年先にくるのは宇宙開発、仮想現実、環境問題の3つ」だと思っていたという。
「ここ1〜2年くらいで、ポスト・インターネットの時代の空気感に変わったと感じています。GAFAの成長率の鈍化はもとより、既存のクラウドやソーシャルといった延長戦上に、もう答えはないと世界中の人間が理解したわけです。こうしたなか、Web3やメタバースなど、全く異なるレイヤーに飛び立とうとしているのが今の現況だと考えています。私の肌感として、2008年のリーマンショックの時のように、ガラガラポンがこれから始まっていくと見立てています」(佐藤氏)
このような状況から、佐藤氏は今までの常識として理解している会社経営や資本主義などのことを一旦忘れ、アンラーニング(学び直し)が必要な時期だと説く。
社会的にも技術的にも行き詰まりを感じ、ネクストパラダイムに向かう過渡期と言えるのではないだろうか。
モデレーターの林氏は「メタバースはディストピア的に語られることも多く、現実と仮想空間の区別がつかなくなるとも言える。その辺りはどのように捉えているか」と佐藤氏へ質問を投げかけた。
対して佐藤氏は「メタバースの良し悪しや倫理的なものかどうかについては、その時代に生きている人が決めればいいのでは」と持論を展開する。
「例えば、現代人が1日にスマホを見る平均の時間はおよそ5時間くらいですが、江戸時代の人からすれば、ガラスの板を見るのに5時間も費やすことに対して異常だと感じるはずです。テクノロジーの進化は止められないものであり、それとどう共生していくかが大事になってきます。つまり、メタバースの評価については未来の人に委ねたい。そう私は考えています」(佐藤氏)
DAOは理想的なシェアリングエコノミーを実現する
続いては「Web3におけるDAOとシェアリングエコノミーとの相対」について、登壇者同士が議論する場となった。
UberやAirbnbといった企業に代表されるようなシェアリングエコノミーが台頭し、さまざまなサービスが生まれてきた。しかし、それはある種、中央集権的に「シェア」よりも「搾取」されているような一面も有している。
果たして、Web3はシェアリングエコノミーの次なる潮流を作ることができるのだろうか。
伊藤氏は「私がシェアリングエコノミーという言葉を最初に見たのは2004年だった」と振り返る。
「『ビジネス2.0』という雑誌で、シェアリングエコノミーの記事があったのを覚えています。当時、自分はCreative Commonsにいて、ライセンスを付けることで利用許可を取らず(パーミッションレス)に写真をシェアできる仕組みを提供していました。その記事では、何千億規模の産業がWikipediaのようなフリーなものをシェアすることによって、経済が生まれてくることに触れていました。これ自体は今のシェアリングエコノミーとはだいぶ異なるものでしたが、ある時から、民間企業が管理するような所用されているものをみんなでシェアする方向へずれていったのです」(伊藤氏)
こうしたなか、DAOはかつてのシェアリングエコノミーにつながってくると伊藤氏は推察する。
「例えばAirbnbに自分の部屋を掲載すると、Airbnbの持っているデータベースに蓄積されます。要はデータベースを持っている管理者がアクセスコントロールできるわけですが、ブロックチェーンは誰もアクセスコントロールができない空間だと言える。
今は遅いし、手数料が高いので大きなデータは置けず、たくさんのプログラムも書けないのでいろんなクラウドを併用していますが、将来的にブロックチェーンの処理速度が向上し、大容量のメモリも置けるようになると、パブリックが持つクラウドになっていくと思います。そこにDAOという仕組みがあると、今の中央集権的なweb2のプラットフォームが、昔Creative Commonsで言っていたときのようなパブリックなところでビジネス展開が可能になるでしょう」(伊藤氏)
その一方で、DAOを語る上では「理想と現実のギャップ」も拭えない。
理想の方向に少しずつ向かっているとはいえども、例えば、DAOの仕組みを作った創業者がトークンを多く保有している場合、創業者が実質コントロールする構図ができ上がってしまう。
しかし、山古志DAOを運営する林氏は「DAOがインターネットを介して、見知らぬ人同士が安全に仕事ができるツールとしてはかなり上手くいく手応えはある」と意見を語る。
「『NFTの売り上げ=村のバジェット』として管理しており、デジタル村民はそれを使って、村を盛り上げるためのプロジェクトを自由に起案することができます。さらに分散型投票システム『Snapshot』を活用し、どのプロジェクトにバジェットを使うかを投票形式で決めていける。他方、Discord上でやりとりしていると、デジタル村民がどこに住んでいるのか、性別や年齢がわからない人だとふと気づくんです。それでも、プロジェクトが進んでいくというのを一言でまとめると、『インクルーシブな働き方をDAOで実現する』とも言えるでしょう」(林氏)
今後、社会に密接していくことが予想されるメタバース空間の中では、人間のパーソナリティや人格は現実と分割される世界観なのだろうか。
佐藤氏は「多元的に膨大な世界が重なるマルチアバター、マルチバース時代になっていくだろう」と将来を見据える。
「お互いが混じり合うことも、干渉する場合もありつつ、うまく棲み分けができてくると思うんです。2次元のインターネットで起きたTwitterとInstagramの使い方や振る舞いが違うように、マルチバース時代ではさらに奥行きを持った形で起きうるでしょう。そういう意味では、仮想空間とDAOのような自律分散型の仕組み、AIによる自動制御の全てが融合してくるのではないでしょうか」(佐藤氏)
最適化を求めたAIから、人間をアシストするAIへとシフトする
現状ではWeb3やNFT、メタバースなどは別のものとして議論されているが、佐藤氏はこの次の10年で「インターネットの『3次元化』と『分散化』、『自動化』の3つが同時に起こってくる」とし、「2030年頃はプレ・シンギュラリティの転換点になるだろう」と語る。
他方、2030年の世界について伊藤氏は次のように見立てている。
「今はアーティストやクリエイターからweb3の世界に入ってきていますが、いろんなツールの開発が進めば、さまざまな職種が関わるようになります。現在、ブロックチェーンの仕組みやDAOのコミュニティづくりは手動でやっているわけですが、AI技術がさらに発展していけば自動化も加速するでしょう。
またシリコンバレーで2045年のシンギュラリティを本気で信じている人たちは、最適化を中心としたニューラルネットワークを作っています。人間は常々、目標やゴールが変わっていくゆえ、世の中を最適化していくのは無理難題に近いことですが、これができるようになるかもしれません。さらに、これからはコラボレーションや人間が考えていることを学習し、発案やアクションを手伝うAIなどが登場してくるでしょう」(伊藤氏)
最適化を求めたAIから、人間をアシストするAIへと進化していくと、大事になってくるのは「人間社会における倫理観」だと伊藤氏は付け加える。
「いわばAIがジェットパックの役割を果たすわけであり、本当に人間的な正しい方向性を持った世界へと進めるための倫理的なバックグラウンドが重要になってきます」(伊藤氏)
伊藤氏の話を聞いて、佐藤氏はこのように意見を述べる。
「今までの人類は科学的な思考をもとに社会を設計したわけですが、テクノロジーが人間の限界を超えるまでに発展すれば、宗教や倫理の世界になってくるかもしれません。何が正解なのかを追い求めるのではなく、人間が“どうしたいか”を考えることが肝になるでしょう。なので、個人的にはもう一度宗教的な話にフォーカスされるのではと思っています」(佐藤氏)
伊藤氏、佐藤氏の話しを踏まえて林氏は「気づいたら分散化されているのではなく、AIに実権を握られている世界が到来するのではと想像してしまうのでは」と懸念を示した。
しかし、伊藤氏はこう答える。
「AIの中でも今のディープラーニングは膨大なデータが必要で、だからこそ巨大テック企業が席巻しているとも言えます。一方、脳の研究に端を発する不確実性コンピューティングは、あまりデータもいらないし、スマホでもモデリングできます。このような非中央集権的なAIも出てきていて、そちらの方がハイコンテキストなAIなので、将来的にはお金や権力を持った大企業や国家がAIによって人々のデータを奪うのではなく、民主的寄りなAIの登場によって、多様性が生まれてくると思っています」(伊藤氏)
この辺りの話は、以下の記事も参考にすると良いだろう。
Web3がもたらす、中央集権型「ではない」AI社会像を考える 〜G.GのSBT解説 #7(最終)
DAOのユースケースを多く生み出すことが法改正の後押しに
後半は未来の話から、現在の状況についてディスカッションする時間となった。
DAOという概念が注目されつつある一方、「結局どんなものなのか」という声が挙がっているのは事実であり、法律の中でも明確な定義付けがなされていない。
Web3関連のプロジェクトやビジネスを進めていく上で、各登壇者はどのような課題感を持っているのだろうか。
「私が取り組んでいるCGのプロジェクトは、DAOを意識した形で進めていて、関わっているメンバーの顔も年齢も知らないんですよ。全員リアルで会ったこともなく、主導者である私のこともよく知られていない。従来型の会社経営のあり方をあえて全否定しようと思っていて、お互いがビジョンを語ることもなく、既存の良しとされる経営スタイルの真逆が正解なのではという仮説のもとで、ひたすら仮想世界の構築に向けてコードを書き続けているような状況です。
ここ2年くらいで何の問題も起きてなく、むしろメリットの方が大きい。今までの共同体の当たり前というのが、実は全然正しくなかったという時代が来ているのではと感じています」(佐藤氏)
また、佐藤氏は「自らの目的に応じて、所属するコミュニティの位置付けを再検討した方がいい」と付け加える。
「昔は会社や家族といったひとつの共同体が、寂しさを補ったりキャリアップの機会を提供したりしていましたが、今後はセパレートされていってもいいのではと思っています。今までの学校や企業、家族があまりに多くの役割を背負いすぎてしまっていたため、今後は趣味を楽しむ、報酬を得るコミュニティなどのように分割していった方がベターかもしれません。近代化の中でいろんなものを背負いすぎたがゆえに、肥大化してしまい、さまざまな問題の原因になっていると思うので、会社とは何か、家族とは何かという原点から考えていくべきなのではないでしょうか」(佐藤氏)
国内でホットトピックになっているDAOの法制化について伊藤氏は、「DAOの楽しさがなくなること」への懸念と併せて以下のようにコメントする。
「今の現状では、ほぼ何もできない状態です。投機目的の犯罪をブロックするためにいろんなルールがありますが、国と作ろうとしているDAOでは、決済するためのガス代をNFTで配れないので、100円くらいで配ろうとしましたが、公務員法に引っかかって渡せない。それをクリアするために100円で売ろうとすると、今度は暗号資産交換業の免許が必要になるという、八方ふさがりの状態なんですよ。
ただ、DAOのために法改正するほどのユースケースがまだ出てきていないので、いろんな事例を出していくことが求められるでしょう。今のAML/CFT対策に則る形で進めていくとなると、仮に1円でも渡すだけでもマイナンバーカードが必要になるので、ほとんどDAOの楽しさがなくなってしまう。そこに不安を感じています」(伊藤氏)
ちなみに、伊藤氏のコミュニティではお金の換算ができない独自の暗号トークン「$HENKAKU」を用いているという。
法改正の議論が長期化することも考えると、「お金の換算できないDAOやトークン経済を作り、ユースケースを見出していくのが良いのでは。もしかしたら、そこから面白いアイデアが生まれるかもしれない」と伊藤氏は語る。
Web3を好機と捉えるか否かで未来が決まってくる
最後に一言、各登壇者からの締めの言葉で本セッションのクロージングを迎えた。
「2030年の未来では、極限まで遠くにいきたいと思っています。時間的にも距離的にも、今の現実ではありえないような空間まで移動したい。そこまで振り切ることが自分の役割になると感じています。これは私の読みですが、日本という国が経済的にも社会的に崩壊していく様子が誰の目から見てもわかるようになる。そんな予想を立てています。
経済大国と言えない状況になったタイミングで、Web3のような新しいテクノロジーをチャンスと捉えるのか否かで、私たちの次の世代における未来も変わってきます。つまり、私たちの今の選択で、今後の10年先あるいは20年先が決まってくる責任重大な時期に差し掛かっているのではないでしょうか」(佐藤氏)
「web3やブロックチェーン、メタバースなどのテクノロジーを生かし、複雑で多様性に富んださまざまな視点のレバレッジを効かせることで、世の中も我々もフェアになっていきます。世の中で天才と呼ばれる人の多くは自閉症持ちだともいわれていますが、要は既存の社会でアンハッピーと感じる人たちにおいても、Web3のような次世代のテクノロジーが社会実装されていくことで、誰もがハッピーになれる。そんな2030年になったら良いのではと期待しています」(伊藤氏)
写真提供:一般社団法人シェアリングエコノミー協会
取材/文:古田島大介
編集:山田 雄一朗