コネクティビティとマーケティングとの関係は?活用のポイントを解説
目次
コネクティビティとは接続しやすさという意味の英語で、もともとはパソコンと周辺機器との接続しやすさなど、IT分野で広く使われていた言葉です。ICT技術が普及し情報が活発にやりとりできるようになったのに伴い、コネクティビティはさまざまな分野に活用されています。
この記事では、コネクティビティの意味をはじめ、マーケティングでは何がコネクティビティにあたるのか、コネクティビティをマーケティングに活かすためには何をすればよいのかについてご紹介します。
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コネクティビティとは接続のしやすさのこと
まずコネクティビティの言葉の意味や活用例についてご紹介します。
コネクティビティの意味
コネクティビティ(connectivity:連結性)とは、2つ以上の何かがつながる際にどのくらい簡単につなげるのかを表す言葉です。
例えば、パソコンと周辺機器との接続しやすさとして、差すだけで利用できるようになるUSBはコネクティビティが高いといえます。
コネクティビティは、ネットワークへの接続のしやすさや自動車と周辺機器がつながるなど、もの同士やサービス、体勢など多くの分野で活用されています。
コネクティビティの例:自動車
自動車のコネクティビティの例としてカーナビが挙げられます。車と衛星とが接続して位置情報を割り出すGPS技術を活かして目的地までの経路情報がタイムリーに表示できるようになりました。また車の機構部分からの情報をBUSで取得して車のメンテナンス状況などを表示したりBluetoothでスマホなどさまざまな機器が接続したりするのもコネクティビティです。
さらに、車と車以外との情報の連携もコネクティビティです。物流の場合、車の運行速度や走行時間・走行距離などを記録するデジタルタコグラフ(デジタル運行記録計)があります。トラックには運行記録計の設置義務があり運行管理には欠かせない機器のひとつです。
個人の車両でコネクティビティが充実していると、事故や故障などの緊急時の通報、盗難などの異常の検知などができるようになります。
コネクティビティの例:IoT
IoT(Internet of things:もののインターネット)におけるコネクティビティの例として、スマート家電があります。冷蔵庫や電子レンジ、電灯、エアコンなどの家電と、スマートフォンやPCなど複数のデバイスが連結すると、機器の状態をモニタリングしたり操作したりと利便性が高まります。
コネクティビティの例:経済
コネクティビティは人やインフラ、制度面でも用いられます。ASEAN(東南アジア諸国連合)では、東アジア諸国においてさまざまなコネクティビティを高めることで包括的に経済を発展させようという取り組みが行われています。
・人と人とのコネクティビティ:観光・教育・文化など
・ハードインフラのコネクティビティ:交通網・情報網・エネルギーなど
・ソフトインフラのコネクティビティ:貿易・投資・サービスの自由化など
マーケティングにおけるコネクティビティ
人が常にネットワークにつながれるようになっていることからカスタマージャーニーの流れが変化しつつあります。ここではマーケティングでコネクティビティがどのように変化し、活かされているかについて解説します。
O2O
O2O(Online to Offline)は、リード(見込み客)の購買意欲の醸成のために、オンラインとオフラインとのコネクティビティを高めることです。
例えば、O2Oではオンライン上のECサイトを訪問したユーザーに対して、オフラインである実店舗で利用できるクーポンや割引券などを提供します。
あるものを買う場合は、商品をインターネットで調べてから買う層も増えてきています。オンラインとオフラインの行き来が加速することでより販売機会が増大するようになります。
オムニチャネル
オムニには「全体の」「すべての」という意味があります。つまりオムニチャネル(omni channel:すべての経路)とは、販売チャネルのすべてのコネクティビティが確立された状態です。
一方ECのみ、実店舗のみなどコネクティビティがない状態がシングルチャネルであり、従来はシングルチャネルでの販売体系しかありませんでした。
その後リードが実店舗やECサイトなどを見比べて希望のチャネルで商品を購入するクロスチャネルが生まれ、段階を経る度に販売チャネルはコネクティビティを高めてきました。
オムニチャネルでは、実店舗・ECサイト・企業サイト・SNS・DM・カタログ・コールセンター・広告配信などすべての販売チャネル同士でコネクティビティが確立しています。さらにすべての販売・流通チャネルで同じ顧客体験ができる点が特徴です。
OMO
OMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)は、ネット上(オンライン)とネット以外(オフライン)の店舗などの垣根を超えたマーケティング手法です。
OMOではリードの顧客体験のほか、店舗運営にかかわる部分でもコネクティビティが確立しています。例えばスマートフォンで注文した商品を実店舗で受け取る、自宅まで届けてくれるなど、顧客の便利な方法でどこからでも買い物ができる特徴があります。
コネクティビティをマーケティングに活かすポイント
アメリカの経営学者であるコトラーの著書「マーケティング4.0」によると、マーケティングの究極の目標は「顧客を感動させ、忠実な推奨者にすること」とあります。
企業や商品・サービスをリードや顧客に知ってもらい、「推奨者」になってもらえた場合、SNSなどで任意に情報を拡散してもらえる効果が期待できます。
そのため、情報のコネクティビティが確立していることはマーケティング上大いに役立ちます。ここではコネクティビティを効果的にマーケティングに活かすポイントをご紹介します。
認知を広めて指名検索を増やす
顧客が商品を実際に購入するまでの過程であるカスタマージャーニーは以下のような過程をたどります。
・認知→興味・関心→比較検討→購入
マーケティングでは、まずリードに商品やサービスを認知してもらう必要があります。そこで、まずは顧客の性別や指向、考え方、ライフスライルなどを仮定したペルソナの設定が欠かせません。顧客の理解に努めることで、リードにどのようにアプローチすべきかが見えてきます。
例えば、テレビCMのようにマスメディアだけで認知の拡大を狙った場合、リードがテレビを見ていなければ届けたい情報が伝わりません。
リードと商材とのコネクティビティを高めるためには、ホームページに情報を掲載しておく準備が重要です。そのうえでペルソナに届きやすい方法で商品やサービスの情報を広告やSNSで情報を発信していきます。
予算とKPIを厳選する
商品やサービスに関する情報へのコネクティビティが高くなると、マスメディア以外の媒体でもアプローチできるようになります。しかし、ビジネスを行うにあたり予算には限りがあるため、すべてのメディアに大きな投資を続けるのは非現実的です。
そこでリードのペルソナを分析すると、ツールの導入や宣伝費用は最小限にとどめることができます。
投資すべきSNSを選ぶ場合もTwitterとInstagramのどちらが効果的なのか、広告を掲載すべきサイトはどれかなども異なってきます。最適なKPI(Key Performance Indicators:業績評価指標)の設定も可能です。
タッチポイントを多く設ける
リードとのコネクティビティを高めるには、同じ人に異なるタッチポイントで接触し続けることが大切です。
例えばアピールしたい商品やサービスの動画を見てくれた人がいた場合は、その人がリンクやリターゲティングバナーを見つけてもらいキャンペーンサイトに誘導することが大切です。興味を引き付け続けることが最終的な購買につながります。
ディスプレイ広告や動画サイト、商品のキャンペーンサイト、ECサイト、SNSのコネクティビティを高めるためには、リードの会員登録情報はもちろんブラウザのクッキーや、メールアドレスなども活用する必要が重要です。
コネクティビティはどの分野の発展にも不可欠
コネクティビティは、2つ以上のものがどの程度接続しやすいのかを示す言葉で、パソコンやネットワークなどはもちろん、自動車やIoT、経済など多くの分野で活用されています。
マーケティングの場合、コネクティビティが高くなるとオムニチャネルやOMOのようにオンラインやオフラインの垣根を越えたマーケティング展開が可能になります。
また、コネクティビティはリードの購買意欲を高めるのにも活かせます。認知や興味関心を高めるには取得できる情報を分析して複数のタッチポイントでリードと接触し続けることが大切です。
文:xDX編集部 画像提供:pixabay, Getty images