ハイブリッドクラウドとは?導入のメリットなどをわかりやすく解説
目次
会社を運営する上で、クラウド環境はなくてはならない存在です。「プライベートクラウド」「パブリッククラウド」など、さまざまな種類のクラウドがありますが、種類が多すぎてどれを選べばいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが「ハイブリッドクラウド」です。
この記事では、ハイブリッドクラウドをはじめ、プライベートクラウドなど他のクラウドについても、さまざまなメリットや疑問点について解説します。また、ハイブリッドクラウドと混同しやすい「マルチクラウド」についても、違いや特徴などをご紹介します。
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ハイブリッドクラウドをわかりやすく解説
ここではハイブリッドクラウドについて、以下の4点を解説します。
・ハイブリッドクラウドとは
・プライベートクラウドとは
・パブリッククラウドとは
・マルチクラウドとハイブリッドクラウドの違い
ハイブリッドクラウドとは
ハイブリッドクラウド(Hybrid Cloud)とは、プライベートクラウドとパブリッククラウドなど異なる自社クラウドのメリットを組み合わせたクラウドの形態です。メリットだけに留まらず、組み合わせ次第ではデメリットも緩和できます。
ハイブリッドクラウドの「ハイブリット」は、もともと生物に対して使われていた言葉で、最終的に異なるものの組み合わせという語彙として一般化されました。
ハイブリッドクラウドの市場は世界的に見ても成長しており、2024年までには全体で5兆円を超えると言われています。今後も成長していくと考えられている市場です。
ハイブリッドクラウドには、さまざまなクラウドの組み合わせがありますが、代表格として、プライベートクラウドとパブリッククラウドの組み合わせがあります。次に、それぞれのクラウドについてご紹介します。
プライベートクラウドとは
プライベートクラウドとは、自社で運用できるクラウド環境のことを指します。自社の状況に合わせて自由にカスタマイズできるので、トラブルが発生したときに対応しやすいこと、パブリッククラウドと比較してセキリィティが高いなどの特徴があります。
プライベートクラウドを構築する場合、オンプレスミス型とホスティング型と大きく2つのクラウド形態に分類することが可能です。
・オンプレスミス型のクラウド構築
オンプレスミス型のクラウド構築とは、自社のシステムで構築や運用をすることです。運用コストはかかりますが、その分セキリュティが高くなるクラウド構築です。
・ホスティング型のクラウド構築
ホスティング型のクラウド構築とは、ホスティング業者が提供しているクラウド環境を利用することです。ホスティング型は運用コストが抑えられますが、セキリュティ面はオンプレスミス型に劣ります。
プライベートクラウドは、カスタマイズや構築方法によっては運用までに手間が掛かる一方で、運用コストを抑えられるメリットがあります。
パブリッククラウドとは
パブリッククラウドとは、提供されている既存のクラウド環境を、インターネットを通して利用することを指します。利用までの手間が掛からず、コストを安く抑えられるのがメリットです。
一方で、提供されているクラウドを利用するため、提供企業の規約に左右されることや、セキリュティ面がプライベートクラウドなどと比較すると劣るなどのデメリットがあります。
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い
マルチクラウドとは、複数の事業者が提供しているクラウドサービスを組み合わせ、各メリットを活かしていくクラウド形態です。複数のクラウドを併用でき、各クラウドを個別で利用可能です。ただし、複数のクラウドを組み合わせるため、最終的にコストが上がる場合があります。
各メリットを活かしてクラウドを構築していくのはマルチクラウドもハイブリッドクラウドも同じですが、複数の異なる事業者を併用する場合、一般的にはマルチクラウドとよばれるクラウド形態になります。
企業内のパブリッククラウドとプライベートクラウドを利用する場合は、ハイブリッドクラウドと呼ばれることが多いです。ハイブリッドクラウドは、マルチクラウドと違いシステムを統合するのが特徴です。統合するというのは、2つのクラウドのメリットを組み合わせて使うことを指します。
一方で、マルチクラウドはシステムを統合するのではなく併用する点が、ハイブリッドクラウドとの大きな違いです。併用するというのは、2つのクラウドを組み合わせず、別の状態のまま双方をそれぞれに使うということです。
ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを利用する場合は、それぞれのメリットやデメリットを踏まえた上で利用しましょう。
ハイブリッドクラウドは利用するべき?メリットを解説!
ここではハイブリッドクラウドが持つ3つのメリットについて解説します。
それぞれのメリットが取り入れ可能
ハイブリッドクラウドはそれぞれのクラウドのメリットを取り入れることができます。
プライベートクラウドとパブリッククラウドの組み合わせで考えるならば、プライベートクラウドはセキリュティが高い、運用に合わせてカスタマイズできる点、パブリッククラウドは運用コストを軽減できる点などのメリットを組み合わせることができます。
また、互いのクラウドのデメリットを緩和できるのもメリットです。最終的には、自社の状況に合わせたメリットのあるクラウドを選んでいく必要があります。
さまざまなケースに対応可能
ハイブリッドクラウドは、状況に合わせて運用できます。例えば、アクセスが多い繁忙期はアクセスに耐えられるだけのスペック強化など、柔軟に対応可能です。柔軟に対応することで無駄なコストが抑えられるので、経費削減につながります。
セキリュティが高く、コストを抑えられる
ハイブリッドクラウドを利用すれば、セキリュティが高く、コストを抑えられるという組み合わせが実現します。
プライベートクラウドであればセキュリティは高いもののコストが掛かるというデメリットがあります。一方で、パブリッククラウドであればコストは抑えられるが、セキュリティ面が不安などのデメリットがあります。
ハイブリットクラウドであれば、セキリュティが高く、コストが抑えられるというクラウドが実現可能です。
ハイブリッドクラウドを利用する際の注意点
ここでは、ハイブリッドクラウドを利用する際の注意点をご紹介します。
双方のクラウドを理解する
双方のクラウドのメリットを生かせるハイブリッドクラウドですが、利用する際の注意点もあります。双方のクラウドを理解していないと組み合わせた際に複雑になっているので扱いづらくなる点です。
ハイブリッドクラウドを利用する際は、双方のクラウドを理解した状態で利用したほうがトラブルが少なくて済みます。
コスト計算が複雑になる
2つ以上のクラウドを組み合わせるため、1つのクラウドを使うときよりもコスト計算が複雑になります。
2つ以上のクラウドを組み合わせるので、管理項目が増えるためです。
そのため、管理項目に注意しながらコスト計算を行うようにしてください。コスト計算を誤ると、ハイブリッドクラウドを利用しているのに、結果的にコストが高くなってしまう可能性があります。
ハイブリッドクラウドを構築して、効率的なクラウド活用を
ハイブリッドクラウドは、それぞれのクラウドのメリットを活かせるクラウド形態です。
プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせればセキリュティが高く、コストを抑えられるという双方のメリットを活かしたハイブリッドクラウドが実現します。
ハイブリッドクラウドは統合しているクラウドなので、システムやコスト計算が複雑になる一方、運用コストを抑えられるなど多くのメリットがあります。この機会にハイブリッドクラウドの導入も検討し、自社に合わせた最適なクラウド環境を構築しましょう。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images, pixabay, パブリックドメインQ