ペルソナ設定をきちんと行ってマーケティングを正しく進めよう!
目次
マーケティングを行う上では、明確な「ペルソナ設定」が重要です。今回は、「ペルソナとは一体何なのか?」「どうやってペルソナ設定を行えばいいのか?」などについて、詳しく解説します。ぜひご参考にしていただき、適切なペルソナ設定力を身に付けましょう。
なお、「DXとは何か?」について体系的にチェックしたい方は、以下の記事でxDX編集長が詳しく3万字で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
▶︎[編集長が3万字で解説]DXとは?注目の背景から行政/民間/生活者への影響、活用技術、推進のポイント、最新トレンドまでを体系的に解説
ペルソナとは一体何?
ペルソナとは、日本語に直訳すると「仮面」という意味です。ペルソナは元々、古典劇で使われていた仮面のことを指していましたが、心理学者のカール・ユングが「人間の外的側面」という意味で用いはじめました。そのためマーケティングでも、1個人の価値感や状態を表すための言葉として使われています。
尚、英語の「パーソナル」の語源はラテン語の「ペルソナ」だとされていて、同様の意味を持ちます。このように、解釈するとペルソナという言葉が非常に分かりやすいのではないでしょうか?
ペルソナとターゲットは違うの?
ペルソナと似たマーケティング用語に「ターゲット」があります。この2つはどのように違うのでしょうか?30代の女性を例にすると、ターゲットとペルソナの違いは以下のとおりです。
・ターゲット
30代の女性全般の消費者グループ
・ペルソナ
31歳から35歳までの女性で、結婚していて子供がいる。アウトドアでキャンプなどを行う趣味があり、〇〇県に住んでいる人
ターゲットとペルソナは似た意味の言葉ですが、いい表す繊細さが全く異なります。ターゲットとは、「ざっくりとした消費者層のこと」を指し、ペルソナとはその中でも「ピンポイントで具体的な人間」を指します。マーケティングではどちらの言葉も利用しますが、より消費者の心に深く印象を残せるのは、ペルソナ設定をきちんとした商品だと言ってよいでしょう。
逆に言うと、ペルソナ設定がきちんとされていない商品は、消費者の心に響きにくく、現代社会ではヒット商品につながりにくくなっています。そのため、より具体的なペルソナ設定を行うことが大切です。
ペルソナはどんな時に設定されるの?
ペルソナ設定が行われるのは、新しく商品やサービスを開発したときや、商品やサービスをリニューアルするときです。ペルソナ設定をきちんと行って、商品開発を行ったり営業活動を行ったりすると、狭く深く消費者に商品を販売できるので、実際の購入に結びつきやすくなります。ペルソナ設定の事例は以下のとおりです。
・35歳
・関西在住の独身女性
・スポーツが趣味
・ダイエットにも興味がある
このように具体的なターゲット設定ができれば、「30代にすすめたいスキンケアのための日焼け止めクリーム」「運動しながら痩せるためのダイエット食品」などを開発することができます。
関西在住と絞り込むことで、関西の人の味覚に合う味付けで販売可能です。また、35歳の独身女性と設定すれば、「仕事の合間に手軽に摂取できる商品があれば便利なのでは?」など使用時のイメージまで沸かせることができます。
高度経済成長期のように、世の中にモノが足りていない状態であれば、「必要とされるモノ」さえ作っておけば、飛ぶように売れていました。しかし、現代の日本のように、経済が成熟化し世の中がモノで溢れかえっている状態だとしっかりとしたペルソナ設定を行わなければ、消費者の心を動かすことができないのです。
ペルソナを設定することで、「消費者はどうやって考えてこの商品を手に取るだろうか?」「35歳の女性はどんな傾向だろうか?」という点まで想像力を働かせられるようになるため、製品開発力も上がっていきます。
ペルソナを設定する方法とは?
では、実際にペルソナを設定するにはどんな方法があるのでしょうか?簡単な手順をご紹介し、具体的に解説します。
1.ペルソナ設定をする人の情報収集を行う
まず初めに行わなければいけないのは、「ペルソナ設定する人の情報収集」です。どんな人が、どんな悩みを抱えているのか、さまざまな方法で情報収集します。例を挙げると次のとおりです。
・街頭インタビューやアンケート結果を見る
・営業マンからの聞き取り調査
・社内で保有しているデータの活用
・政府やシンクタンクが公表している公データの活用
・SNSを利用して、ユーザーのダイレクトな不満を聞き取る
このような方法を利用しながら、実際に世の中の人はどんなことに不満を持っているのか?をまずは調査します。なるべく多くの人の不満を解消できる製品開発ができれば、多くの商品やサービスを販売することにつながります。
2.情報を整理し、抜粋する
次に集めた情報を精査していきましょう。情報の中には使える情報と使えない情報があります。使える情報だけに絞り込んでいく作業は非常に重要です。
3.ペルソナの完成
最後に、集まった情報を基に製品やサービス開発のためのペルソナを明確に絞り込みます。「どこに住んでいる」「何歳」「男性か?女性か?」「既婚か?独身か?」などをきちんと決めるとペルソナ設定が完了します。
ペルソナを設定する時の注意点とは?
ペルソナを設定する際には、いくつか気を付けておいたほうがよいこともあります。ここでいくつかご紹介するので、ペルソナ設定をする際の参考にして下さい。
企業が理想とするユーザー像にしない
1つ目は「企業が理想とするユーザー像にしないこと」です。情報収集を行っていくにつれ、自社が今までターゲットとしていたユーザー像と多少かけ離れたペルソナになるかもしれません。今まで自社で理想としていたユーザーと異なる層なので、初めは戸惑うかもしれませんが、あくまでも情報のデータに沿ったユーザー設定をしましょう。
先入観で判断しない
2つ目は「先入観で判断しない」ということです。「○○歳の男性は、絶対に○○を探している!」というような、偏った思い込みでペルソナ設定を行うと、マーケティングはうまくいきません。あくまでも、集めてきた情報を客観的に精査し、最終的な決断に落とし込んでいくのが正しい方法です。「今までが○○だったから」というような過去の経験をもとにした、先入観のある判断もおすすめしません。
ペルソナは定期的に見直す
3つ目は「ペルソナを定期的に見直すこと」です。商品やサービスの開発時点では「35歳独身、女性、東京在住」のペルソナだったのに、実際に商品を開発・販売したら、設定したペルソナ以外の層に人気を呼んだなどの理由で、ペルソナ設定を見直すというのはよくあることです。
実際に商品をリリースしたタイミングだけでなく、数年に1度程度は販売結果を検証し、ペルソナ設定を見直す努力を行いましょう。ペルソナ設定を見直しながら、新しい消費者のニーズに応えられる営業活動を行えるようになるかもしれません。また、イメージしていたユーザーの価値感と、実際の価値感にズレがある場合、逆に新しい商品開発のヒントになる可能性があります。
ペルソナ設定を正しく行うとマーケティングが成功しやすい!
今回はマーケティングでとても大切な「ペルソナ」について解説しました。現代社会のマーケティングにおいては、ペルソナ設定をすることが非常に重要です。
40年から50年前のように、ざっくりとしたターゲット設定だけでは、なかなか消費者の心を動かせなくなっています。より具体的なペルソナ設定ができるかどうかで、商品やサービスの売れ行きは大きく異なるでしょう。今回の内容を参考にして、早速ペルソナ設定を見直していってください。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images, photoAC, PAKUTASO