顔認証システムでセキュリティ強化!安全で利便性が高い生体認証の仕組み
目次
セキュリティ意識が高まり、他人を本人と認識しないために認証を求められるケースが多くなりました。本人認証の方法はおもに3種類あります。
1つめは鍵やカードを使った「所有物認証」、2つめがIDやパスワードを使った「知識認証」、3つめは身体の一部分を利用した「生体認証」です。生体認証にもさまざまな認証方法があり、指紋や虹彩、声紋などから本人であることが確認できます。
今回は生体認証の1種である「顔認証システム」にスポットを当ててみましょう。
顔認証システムとはどんな仕組みなのか、メリットやデメリットについてもご紹介します。
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顔認証とはどんなシステム?
顔認証とはどんなシステムなのか、生体認証の概要とともにチェックしていきましょう。
顔認証は生体認証の1つ
コンサート会場や劇場、銀行、ビルの入退室などで本人確認をおこなう際には、身体の一部分を利用する生体認証が活用されています。
生体認証は、人間が持っている身体的特徴をもとにして、本人を特定できる認証システムです。なりすまし防止に効果的で、セキュリティ強化に役立ちます。
「顔認証」は生体認証の1種で、人の顔を鍵として認証をおこなうシステムです。目や鼻、口など顔の特徴から個人を見分けます。マスクやサングラスを装着していたり、横を向いたりしても認証が可能です。
顔認証はなりすましが難しいため、利用者の心理的な負担が少ない生体認証システムといえるでしょう。スマホのロック解除にも導入されており、使いやすくセキュリティレベルが高いシステムとして身近になりつつあります。
顔認証以外の生体認証システム
顔認証は人の顔を鍵として認証をおこなうシステムですが、ほかにもさまざまな生体認証システムがあります。代表的な認証方法を見ていきましょう。
静脈認証
静脈の形状から認証するシステム。静脈認証のなかでも、優れた精度を持つのが「指静脈認証」です。静脈パターンの画像と、登録しておいた静脈の構造パターンのマッチングによって、個人の認識をおこないます。静脈認証は認証精度が高いため偽造が困難です。非接触による認証が可能で衛生的なこともメリットといえます。
指紋・掌紋認証
生体認証システムのなかでも古くから利用されてきた認証方法です。出入国管理や国民IDなど、官公庁の用途でも採用されています。犯罪捜査にも活用されており、世界でも広く導入されているシステムです。超小型タイプもあり手軽に使えるのがメリット。低コストタイプもあります。
虹彩(こうさい)認証
虹彩とは、黒目と呼ばれる瞳孔の周辺にある眼球に色がついている部分のこと。虹彩にはパターンがあるため個人を識別できます。目だけで認証ができて精度も高いのがメリットです。赤外線カメラによって暗いところでも認証をおこなえます。
音声認証
人の声にも特徴があり、個人の識別が可能です。音声認証システムは、テレフォンバンキングやコールセンターなど幅広い用途に利用されています。言語や発話の内容に依存しないで認証できることがメリット。電話口からの音声でも認証が可能です。
顔認証システムの仕組み
顔認証システムはどのようにおこなわれるのでしょうか?ここからは具体的な仕組みをご紹介します。
顔認証端末(デバイス)型とクラウドサービス型
顔認証を含めた生体認証システムには、次の2種類があります。
顔認証端末(デバイス)型
専用のカメラや機材などのデバイスを据え置いて認証をおこなうタイプです。ユーザーのニーズに適した性能のデバイスを導入できます。
スピーディな認証が可能で、低コストなのがメリット。認証精度を高めるためには機器の更新が必要です。
クラウドサービス型
インターネット上の仮装スペースであるクラウドに用意した専用システムで環境認証をおこなうタイプです。スマホやカメラなどの活用が可能で、運用管理の必要がありません。
導入コストを抑えられて、OSや認証システムを最新の状態に更新できるのもメリットです。ただし、認証スピードが遅く、インターネットが使えないと認証システムは稼働できません。
ビジュアルベース(2D認証)と、IRベース(3D認証)
顔認証の方式には次の2種類があります。
ビジュアルベース(2D認証)
画像に写っている顔から目や鼻、口の位置を認識して、データベースの人物情報と照合する方式です。対応可能な端末が多く、一般的なIPカメラで導入できるのがメリット。平面的に認証と識別が可能な技術で、専用センサーなどは必要ありません。
メイクや髪型の変化で精度が下がる可能性があるほか、太陽や照明による光量が精度に影響することがあります。
IRベース(3D認証)
2D認証のビジュアルベースに赤外線センサーをプラスした方式です。顔の凹凸などを立体的なデータにして認識できる機能が加わることで、認証精度が高まります。
メイクや髪型の影響を受けず、暗い環境でも精度をキープできるのがメリット。赤外線センサーを使用することで、太陽や照明による光量にも影響されずに顔認証システムが動作します。赤外線認証に対応できる専用カメラが必要です。
顔認証システムの活用方法
顔認証システムはさまざまな場面で活用されており、日常生活でも役立っています。
スマホのロック解除
身近で顔認証システムを利用される場面の代表例です。顔認証システムが搭載されているスマホのカメラで顔を認識すると、ロックが解除できます。電子マネーの支払いに顔認証機能が活用されることも。スマホを第三者に操作されて情報を盗まれるリスク対策にも適しています。
コンサートなどの入場チェック
コンサート会場や劇場などにも顔認証システムが導入されています。近年はコンサートなどのチケットが不当に高額転売される問題が多発。顔認証システムによって本人確認を実施し、購入者本人以外が入場できないようにすることが可能です。
空港内の通行
日本をはじめ、世界各国では空港内に顔認証システムを導入しています。セキュリティ保安検査場や搭乗口を通行するときの本人確認がスムーズです。国際線では入出国ゲートや税関の電子申告ゲートでの本人確認に活用されています。
オフィスの入退室管理
オフィスや工場などは入退室の管理が重要です。以前は社員証などのICカード認証をおこなうのが一般的でしたが、セキュリティレベルを高めるために顔認証を導入するケースが増えています。利便性が高く、非接触で入退室が可能です。
受付の無人化
ホテルやスポーツジムでも顔認証システムが利用されています。来客が重なる時間帯は受付が混み合って待ち時間が発生しがちです。顔認証システムを活用すれば、登録済みの画像と瞬時に照合を実施。短時間で受付ができます。
顔認証システムのメリットとデメリット
最後に、顔認証システムを導入するメリットとデメリットをご紹介します。
顔認証システムのメリット
顔認証システムは、セキュリティレベルが高くて使いやすいのが大きなメリットです。多くの人が集まる場所でも複数の顔を一度に認識できるため、幅広いシーンで活用できます。
コストが抑えられるのもメリットのひとつ。指紋認証や虹彩認証のような専用の読み取り装置は不要で、カメラとソフトウェアだけで認証が可能です。また、暗証番号を忘れたりICカードを紛失したりする心配がありません。
身体の一部である顔を利用するので、認証媒体が紛失するリスクがないのもメリットです。非接触の認証システムで衛生面に配慮されているほか、なりすましが困難なため不正を抑制できます。
顔認証システムのデメリット
顔認証システムには画像を使用するため、画像データのサイズに対応できる性能を持った認証機器が求められます。また、顔認証システムによって精度にバラつきがあり、マスクを着用していると認識できないことも。
注意しなければならないのが、顔写真や本人認証によって得た個人情報です。顔認証システムの本人認証以外を目的としたデータの流用は法的に罰せられるため、データの扱いに配慮する必要があります。
非接触タイプの顔認証システムに注目!
人間の顔を使って本人確認をおこなう顔認証システムは、セキュリティレベルが高い対策として注目されています。世界各国の空港に導入されているほか、オフィスなどの入退室管理にも活用されているシステムです。
デバイスやクラウドサービスを使った仕組みで、2Dと3Dの認証方式があります。目や鼻、口の特徴から個人を見分けることが可能。非接触の生体認証システムで、マスクをしていても本人確認ができることから市場拡大が予想されています。