DX推進で情報にアンテナを張ることが大切な理由は?情報収集のポイントもご紹介
目次
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進める際に気をつけるべきポイントはたくさんあります。その中の1つが情報にアンテナを張ることです。IT技術がどんどん進化していく現代社会において、さまざまな情報を収集・活用することは非常に重要です。
この記事では、DXの基礎知識やDX推進で情報にアンテナを張ることが大切な理由・情報収集のポイントについて解説しています。DX推進を成功させたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。
なお、「DXとは何か?」について体系的にチェックしたい方は、以下の記事でxDX編集長が詳しく3万字で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
▶︎[編集長が3万字で解説]DXとは?注目の背景から行政/民間/生活者への影響、活用技術、推進のポイント、最新トレンドまでを体系的に解説
DXの概要
DX(デジタルトランスフォーメーション)と聞くと、最新のデジタル技術を導入するだけでいいと思っている人もいるのではないでしょうか。
DXは、単純にデジタル技術を取り入れることだけを指しているのではありません。デジタル技術によって組織体制やビジネスモデルを変革し、企業の市場での競争力を高めていくことが最終目標となります。
DXについての理解を深めるために、DXの定義やIT化との違いについて詳しく解説していきます。
DXの定義
DXには、大きく分けて次の3つの定義があります。
- 広義
- 狭義
- 経済産業省レポート
広義のDXとは、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授によって提唱されたものです。デジタル技術が発展することにより、人々の生活がより豊かになるという概念を指します。
狭義のDXは、ビジネスにおいてよく使われている意味合いになります。デジタル技術によって組織体制やビジネスモデルを変革することです。
経済産業省のレポートにあるDXは、狭義のDXよりもう少し目的が限定されます。レガシーシステム(過去のシステム)からの脱却や経営陣の意識改革などがメインです。
企業で推進するべきDXは基本的に狭義のDXになります。では、IT化とはどう違うのでしょうか。
IT化との違い
IT化とは、業務を効率良く進めるためにデジタル技術を特定の業務に取り入れることを指すのが一般的です。営業担当者が直接訪問する代わりにメールやチャットなどに切り替えるといった例を考えるとわかりやすいでしょう。
DXは業務の効率化だけでなく、ビジネスモデルそのものを変革することです。つまり、IT化はDXを推進するための方法の1つに含まれます。
新しい技術を取り入れるだけではDXを推進したことになりません。デジタル化によって製品やサービスをより良いものにすることこそ、DXにおいて非常に大切なのです。
DXを推進する目的
DXを推進する目的は主に3つあります。
- 自社の競争力を高める
- 労働環境の改善
- 「2025年の崖」に備える
それぞれ1つずつ見ていきましょう。
自社の競争力を高める
1つ目の目的は、自社の競争力を高めることです。市場競争に打ち勝って経営を存続させるためには、自社の競争力を高める必要があります。
IT化・グローバル化が進んでいる現代社会においては、市場環境もどんどん変化しています。市場環境が変化しているということは、顧客のニーズが変化しているということです。
顧客のニーズに対応するためには、これまでの価値観や概念に縛られていてはいけません。DXを推進し、時代にあわせた体制を整えていくことが大切なのです。
労働環境の改善
2つ目の目的は、労働環境の改善です。デジタル技術を取り入れることで、多くの業務を効率良く進めることができます。特に、ビッグデータと呼ばれる膨大な量のデータ処理などはAIやICTの活用が適しているでしょう。社員が顧客対応や戦略立案などのクリエイティブな業務に集中できるので社内の生産性もアップします。
また、DXによって社内のデータ共有がスムーズになるため、遠隔地からのリモートワークも可能になります。さまざまな働き方が提案できれば労働環境はさらに改善され、社員も働きやすくなるでしょう。
「2025年の崖」に備える
3つ目の目的は、「2025年の崖」に備えることです。2025年の崖とは、既存システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化が原因となって生じるとされる2025年以降の経済損失のことです。1年あたり最大12兆円の損失が発生すると予想されています。
既存システムを使い続けることで、サポートが終了してしまう・セキュリティ対策が脆弱になるなどのデメリットが大きくなります。最新の技術を取り入れるDXはリスクマネジメントにもつながるのです。企業の将来のために、DXを推進することは必須といえるでしょう。
DX推進のためには、さまざまな情報にアンテナを張ることが大切です。なぜアンテナを張ることが必要なのか、次の章で解説していきましょう。
DX推進で情報にアンテナを張ることが大切な理由
DXを推進するためには情報にアンテナを張ることが大切です。IT技術は常に進化を続けています。一方、DXで成果が出るまでには3~5年と長い時間がかかることがほとんどです。導入当初の情報だけを頼りにDXを推進するのは無理があるでしょう。時代の変化に対応するためには、情報を常にアップデートすることが必要となります。
また、デジタル技術の情報だけでなく、市場環境や顧客のニーズなど、あらゆる方向にアンテナを張ることも重要です。さまざまなジャンルの情報を集めることで、自社のビジネスモデル全体を最適化することができるでしょう。
では、DXに関する情報を集める際にはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。DXの情報を収集するポイントについて、次の章でご紹介します。
DXの情報を収集するポイント
DXの情報を収集する際に押さえておくべきポイントは4つあります。
- DXに必要な情報とは
- 情報の集め方
- さまざまな方向にアンテナを張る
- 集めた情報を社内で共有する
それぞれ詳しく解説していきます。
DXで必要な情報とは
DXで必要な情報には次のようなものがあります。
- DXで解決するべき課題
- 自社に適したシステムやデジタル技術
- 自社のIT資産
- 競合他社の経営戦略
- 市場環境
- 顧客のニーズ
- 流行・トレンド
上記のとおり、DXで必要な情報はたくさんありますが、最初にはっきりさせておくべきことはDXで解決するべき課題です。自社だけに当てはまるのか、地域や業界全体で解決すべきことなのかによって必要とされる情報は変わってきます。情報を収集する前に、DXでどのような課題を解決したいのかを決めておきましょう。
情報の集め方
DXの情報は、Web上で集めることが中心となるでしょう。近年は独自のオウンドメディアを運営する企業も多くなってきました。競合他社や同じ業界に属する企業が行っているDXの事例を参考にするのも良いでしょう。
顧客のニーズを探るためにはサジェストキーワードの活用が手軽で便利です。サジェストキーワードとは、検索エンジンの検索ボックスに特定の単語を入力したときに表示されるキーワードです。頻繁に検索されているキーワードが表示されている可能性が高いので、ユーザーのニーズを知る手がかりとなります。
さらに深く知りたい場合は、アンケート調査などを行うといいでしょう。Web上でのアンケートであればコストもそれほどかかりません。ペルソナ設定をしてニーズを深く掘り下げたい場合はインタビューや座談会がおすすめです。
さまざまな方向にアンテナを張ることが重要
情報を収集する際は、さまざまな方向にアンテナを張ることが重要です。なぜなら、自社や業界と関係ない情報から新たなビジネスチャンスが生まれることもあるからです。実際、異なるジャンルや業界のビジネスに挑戦して成功している企業は少なくありません。日本から海外へと拠点を移して業績を伸ばしている企業もあります。
サジェストキーワードを調べるときは、他のキーワードと組み合わせて検索する、キーワードツールを活用するなどして工夫しましょう。自社や業界の固定観念に縛られず、まったく違う業界・ジャンルや世界に目を向けてみることも大事です。
集めた情報は社内で共有して活用する
集めた情報は、社内で共有し活用してこそ意味があります。もし情報共有のシステムが整っていないのであれば、まずそこを整備することから始めましょう。
DX推進チームだけでなく、経営陣や社内全体と情報を共有することでDXをスムーズに進めることができます。
常に情報にアンテナを張ってDXを成功させよう
DXを成功させるためのポイントはいくつかありますが、その1つがあらゆるジャンルから情報収集を行うことです。IT技術が発達した現在、インターネットでたくさんの情報が入手できるようになりました。サジェストキーワードなどを活用して、自社や業界の固定観念にとらわれずにさまざまな情報を集めてみましょう。常に情報のアンテナを張ることがDX成功の近道です。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images, photoAC