DXに必要なテクノロジーと活用事例をご紹介
目次
DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入を進めて、時代の波に乗りたいと考えている企業は多いでしょう。DXの導入を進めるにあたって必要なものはたくさんありますが、その中で最も重要とされるのがテクノロジーです。では、DXに必要なテクノロジーとはどのようなものなのでしょうか。
この記事では、DXにテクノロジーが必要な理由と活用方法・活用事例について詳しく紹介します。DXのテクノロジーに興味がある人はぜひ参考にしてください。
なお、「DXとは何か?」について体系的にチェックしたい方は、以下の記事でxDX編集長が詳しく3万字で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
▶︎[編集長が3万字で解説]DXとは?注目の背景から行政/民間/生活者への影響、活用技術、推進のポイント、最新トレンドまでを体系的に解説
DXにはテクノロジーが必要
DXには、テクノロジーが必要です。とはいえ、テクノロジーと一口にいっても1種類ではありません。DXによって企業全体のビジネスモデルを変革するためには、いくつものテクノロジーを活用することが重要となります。効率よくDXを推進するには、自社が抱えている課題をしっかり見極め、課題を解決するための最適なテクノロジーを導入することが重要です。
テクノロジーとは
DXに必要なテクノロジーとはデジタル技術のことです。DX導入の際に求められるデジタル技術の一例を挙げてみましょう。
- AI
- IoT
- ビッグデータ
- RPA
- クラウドサービス
- 5G
- サイバーセキュリティ
上記のうち、AI・IoT・ビッグデータ・RPAについては次の章で詳しく解説します。
クラウドサービスは、インターネットにつながっている環境で利用できるデータベースやサーバー・ストレージなどの総称です。Amazonが提供しているAWSなどが有名でしょう。
5Gは第5世代移動通信システムの略です。従来の4Gよりもさらに速い速度で大容量のデータを通信できます。
サイバーセキュリティはデジタル化された情報を守るためになくてはならないテクノロジーです。外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐ役割を担っています。
DXに必要なテクノロジー
ここからは、DX実現に必要となる代表的なテクノロジーについて詳しく解説します。解説するテクノロジーは次の4つです。
- AI
- IoT
- ビッグデータ
- RPA
AIやIoTという名前は耳にしたことがある人も多いでしょう。テクノロジーの詳細だけでなく用途についてもご紹介するため、ぜひ参考にしてください。
AI
AIとは、人工知能のことです。若者の働き手が減少の一途をたどる中でAIが注目されているのは、人間の行動の一部をコンピュータによって再現できるためです。
AIの活用が増えている理由の1つに業務の効率化があります。単純作業をAIに任せることで、その分の人手を他の複雑な作業へ回すことが可能です。また、これまでの人間の知識や経験をAIに学習させておくことでさまざまなデータを基にした判断を下せるようになります。人間の代わりにAIが業務をこなせるようになれば、人員削減ができ、業務の効率化につながります。
AIが活用されている業界はたくさんありますが、ここでは医療の例をご紹介しましょう。現在はスマホの写真をもとにAIが考えられる疾患を診断するシステムが開発されています。AIによって病状がある程度予測できれば、検査や診療に費やすマンパワーを最小限に抑えることができるのです。人手不足に悩んでいる医療現場において、AIの活用は必須といえるでしょう。
AIの特徴は、知識を蓄積できること学習ができることです。人間では処理しきれない膨大な知識を取り込むことができるため、データの分析・予測によってマーケティングや市場調査などにも役立ちます。AIがさらに進化した機械学習やディープラーニングの開発・研究も進んでいます。AIの活用によって、DXの可能性は無限に広がるのです。
IoT
IoTとは、簡単にいうとモノをインターネット化するということです。スマートキーやスマートスピーカーなど、IoTを活用した家電は私たちの身の回りにも実はたくさんあります。
家電や機械などをインターネットに接続することで、情報の収集・分析が可能になります。手首などに装着する活動量計などのウェアラブル端末が良い例でしょう。心拍数や血圧などの細かなデータを計測し、スマホのアプリで分析することによって健康状態を簡単に把握できます。利用情報なども正確に記録されるため、顧客のニーズを読み取って商品開発に役立てることも可能です。
ビッグデータ
ビッグデータとは、複雑で膨大な量のデータのことです。DXを企業の経営戦略に役立てるためには、あらゆるデータを収集・分析する必要があります。自社のデータだけでなく、競合他社のデータが必要な場合もあるでしょう。
ビッグデータを人の手で分析するのは大変です。時代の変化に対応し、消費者のニーズに応えるためには、スピーディーかつ正確に分析できるテクノロジーの活用が欠かせません。ビッグデータを味方につけることはDX成功の近道といえます。
RPA
RPAとは、ロボティックプロセスオートメーションの略です。人間の業務を自動化してくれるツールのことを指します。RPAを導入することにより、入力→検索→データ収集→送信などの単純なルーティンワークを高速処理することが可能です。
機械が自動的に業務をこなしてくれるので、誤入力などのミスも少なくなります。単純作業を機械に任せられれば、人間はクリエイティブな作業に集中できるというメリットもあります。
DX導入に必要なデジタイゼーション・デジタライゼーション(業務のデジタル化)を進める上でも、RPAの活用は重要な意味を持っているのです。
テクノロジーの活用事例
DXに必要なテクノロジーは、活用しなくては意味がありません。しかし、活用方法や使い方がよく分からない人も多いでしょう。ここでは、テクノロジーをうまく活用し、DX推進を成功させた企業の事例をご紹介します。
活用事例① ドン・キホーテ
ドン・キホーテなどの小売・流通サービスを展開している「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)」は、RPAツールを活用して約170もの業務を自動化しています。
これによって、毎日発生していた数時間もの作業時間を短縮することができ、従業員に余裕が生まれました。また、事業戦略のレポートに必要な各店舗の売り上げを収集・分析した売り上げ関連データなども抽出することができるようになりました。その結果、業務の大幅な効率化を実現しています。
活用事例② ダイドードリンコ
飲料メーカー「ダイドードリンコ」は、自動販売機にNEC(日本電機)の顔認証決済サービスを導入しました。ユーザーがスマホやタブレットから顔写真やクレジットカードなどの決済情報を事前に登録しておくことにより、財布がなくても自動販売機で飲みものが買える仕組みです。
ダイドードリンコの事例は、既存のサービスにテクノロジーによる付加価値を加えることができた成功事例といえます。ユーザビリティ向上のためにもDXのテクノロジーは役立っているのです。
活用事例③ Uber
UberがIoTを使って実現させたのが、アプリによるタクシーの予約です。スマホやパソコンのGPS機能を使うことで、ユーザーの位置を把握できます。タクシー代の精算もアプリ内で完結するため、降車時の支払いの手間も省ける人気のサービスです。
IoTでユーザーとタクシーがつながることにより、乗客を探したり、タクシーを探したりする必要がなくなりました。人とモノをつなぐIoTは、今後私たちの生活にとってさらに必要なテクノロジーとなるでしょう。
活用事例④ メルカリのAI出品
メルカリでは、AIを活用してユーザーが商品を出品する時の手間を省いています。スマホで出品する品物の写真を撮影すると、商品名やブランド名を推測してくれるのです。これにより、ユーザーは商品の情報を細かく調べて記載するという手間がなくなりました。
大幅に出品時間を短縮できるようになったことで、メルカリはさらに使いやすくなりました。アメリカ向けのサービスでは配送料を計算しやすくするために商品サイズを計測する機能も搭載されています。
テクノロジーを活用してDXを成功させよう!
テクノロジーの活用は、DX成功への大きな第一歩といえます。ただし、やみくもにテクノロジーを導入したからといって成功するとは限りません。今回ご紹介した成功事例は、いずれも自社にふさわしいテクノロジーを導入した企業ばかりです。
まずは自社が抱えている課題を洗い出し、どのような解決策が適切なのか検証してみましょう。戦略をきちんと立てたうえでテクノロジーを導入し、DXを成功させてください。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images, pixabay