DXの成功事例を紹介!DXの手順や導入する際の注意点も詳しく解説
目次
インターネットが普及し、デジタル化が進む社会の変化に対応するためにDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業が増えています。新しい技術を積極的に取り入れるDXは、現代のトレンドともいえるでしょう。
しかし、すべての企業がDXの導入に成功しているわけではありません。経営陣をはじめとする社内の理解が得られず、レガシーシステム(古いITシステム)からの脱却に悩む企業も多いのです。
この記事では、DXの成功事例や手順、DXを導入する際の注意点について解説します。DX推進に興味がある人はぜひ参考にしてください。
なお、「DXとは何か?」について体系的にチェックしたい方は、以下の記事でxDX編集長が詳しく3万字で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
▶︎[編集長が3万字で解説]DXとは?注目の背景から行政/民間/生活者への影響、活用技術、推進のポイント、最新トレンドまでを体系的に解説
DXの成功事例
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、IoTやAI・クラウドサービスなどのIT技術を活用してビジネスモデルや組織体制を変革していくという概念です。2004年にスウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏によって提唱されました。
DX推進といってもその方法は企業によってさまざまです。自社のDXをどのように進めればいいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。まずは、DXに成功している企業の事例を見ていきましょう。
株式会社メルカリ
株式会社メルカリは、フリマアプリを開発したことで一気にユーザー数を伸ばしました。PCからの利用が想定されていたネットオークションサービスがスマホから利用可能になったことで、ユーザーの利便性が劇的に向上したのです。
また、オークション形式ではなくフリーマーケット形式を採用し、出品者が自由に価格を設定できるようにしたことも画期的な試みでした。購入者と出品者との価格交渉を可能にしたことでお互いに利用しやすくなったのです。
現在のサービス内容はAI出品機能や写真検索機能、宛名を書かずに発送できる「らくらくメルカリ便」など多岐にわたります。ユーザビリティを大切にしたDX推進が功を奏した成功事例といえるでしょう。
アスクル株式会社
オフィス用品の通信販売を行っているアスクル株式会社は、いち早くDXを推進した企業としても知られています。個人向けのECサイト「LOHACO」の運営には、AIが解析したビッグデータを活用しています。カスタマーサポートの人員削減を図るためにチャットボットを導入していることも大きな特徴です。
最近では、コロナ禍で不足したマスクなどの衛生用品を医療従事者に優先で供給するシステムや置き配のシステム構築も行っています。物流センターにAIロボットを導入するなど現在も積極的にDXに取り組んでいる企業のひとつです。
日本航空株式会社
日本航空株式会社(JAL)は、オープンイノベーションの一環として2018年に「JAL Innovation Lab」を開設しました。社外の知識や技術を活かして既存システムからの脱却に成功しています。
また、自社のパイロット育成プログラムを活用したドローン操縦者育成などの新規事業も手掛けています。空飛ぶクルマやチェックインパネルの非接触対応なども評価すべき取り組みといえるでしょう。
DX導入はどのような手順で行う?
さまざまな企業がDXを推進し、自社のレガシーシステムの刷新に成功しています。では、DXは実際どのような方法で行えばいいのでしょうか。ここからは、DXを進める手順について解説していきます。DXの大まかな流れは次のとおりです。
- 計画
- 体制構築
- 自社分析
- KGI・KPI設定
- ツールや技術の選定
- PDCAサイクルを回す
それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。
計画
最初に、DXの計画を立てます。業界の流れを踏まえて経営戦略やビジョンを考えましょう。DX推進によって、自社をどう変革したいのか明確にしておくことが大切です。
体制構築
計画が決まったら、DXに取り組むための体制を構築しましょう。DX専門の部署を立ち上げるのが望ましいです。DXに精通した人材の確保も必須といえます。後からご紹介する、PDCAサイクルをスムーズに回すマインドセットもこの段階で確立しておきましょう。
自社分析
ここでいう自社分析とは、IT資産の分析のことです。自社のシステムを把握し、残すシステムと廃棄するシステムを選別します。ツールや技術の選定にも関わってきますので、自社のシステムが抱えている課題を洗い出しておきましょう。
KGI・KPI設定
DX推進で達成すべきKGI(最終目標)とKPI(中間的な目標)の設定は、効果測定の際に非常に重要となります。なぜなら、目標を設定していないと施策が成功したのか、改善すべき点がどこなのかを把握することができないからです。自社の実績をもとに、適切なKGI・KPIを設定しましょう。
ツールや技術の選定
設定したKGI・KPIを達成するためのツールや技術の選定を行います。高性能なツールを導入したからといって必ずしもDXが成功するとは限りません。DXに関わる社員が使いこなせるものを選ぶことが大切です。自社の既存システムとの相性もチェックしておきましょう。
PDCAサイクルを回す
DXでいちばん大切なプロセスがPDCAサイクルを回すことです。DXの部署だけで進めるのではなく、営業部門や販売部門とも連携するようにしましょう。
状況に応じてツールの入れ替えや人員の補充が必要となる場合もあります。社内でデータを共有して柔軟に対応することがPDCAサイクルをスピーディーに回すコツです。
DXを導入する際の注意点
手順どおりにDXを進めても必ず成功するとは限りません。DXを成功させるには他にも気をつけるべきポイントがあるのです。DXを導入する際の注意点は3つあります。
- 人材の育成が必要
- 経営陣の理解が大切
- 中長期的な成功を目指す
それぞれ詳しく解説していきます。
人材の育成が必要
1つ目の注意点は、人材の育成が必要ということです。システムエンジニアのようにIT業界に詳しい人材が必要であることはいうまでもありません。エンジニアの他に、IT資産や人的リソースを適材適所に振り分けることができるマネジメントスキルを持った人材も大切です。
DX推進には専門知識と高いスキルを持った人材が必要不可欠となります。自社で人材を育成することが難しければ専門業者に外注することも視野に入れるといいでしょう。
経営陣の理解が大切
2つ目の注意点は、経営陣の理解が大切だということです。DXはDX専門の部署だけでなく、社内全体で取り組むプロジェクトになります。経営陣の同意を得られなければ既存システムからの脱却を図ることは難しいでしょう。
DXを成功させるためには、経営戦略やビジョン作成の段階から経営陣と情報を共有することがポイントです。経営陣にDXの重要性を認識してもらうことで、DXに対する社内全体の理解も得やすくなります。
中長期的な成功を目指す
3つ目の注意点は、中長期的な成功を目指すということです。DXは試行錯誤を繰り返し、目の前の課題を1つずつ解決しながら推し進めるものです。成果が得られるようになるまでには時間がかかります。
特に、レガシーシステムを刷新する場合、いきなり全てのシステムを入れ替えようとすると社内の反発を招いてしまいます。まずは収益性が高い営業部門の業務からDXを導入しましょう。DXに取り組む範囲を徐々に広げていくことで、新しいシステムへとスムーズに移行することができます。
DXを導入して中長期的な成功を目指そう
DXは、企業が成長を続けるために社内全体で取り組むべき重要な施策といえます。まず経営戦略とビジョンを考えて、経営陣の理解を得るところから始めましょう。試行錯誤を繰り返してDXで成果が得られるまでには時間がかかります。中長期的な成功を目指して取り組みましょう。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images, pixabay