DX推進に求められる人材とは?どんなスキルや知識が必要なのか解説
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変化が激しいビジネス環境に対応し、データとデジタル技術を向上させて競争の優位性を確立させることは、将来的に多くの企業に求められています。
世界中でビジネスモデルの変革は既に始まっていますが、日本は変革に対応しきれずに取り残されている企業が多くあります。その1つにDX人材の育成が軌道に乗っていないことが挙げられるでしょう。
優秀なDX人材が引く手あまたとなれば、自社で優秀な人材を育成する必要性がありますが、育成するポイントを間違えるとコストばかりがかかってしまう恐れがあります。
この記事では、自社内で優秀な人材を育成するために、DX人材に求められるスキルや育成ポイントについてご説明します。
なお、「DXとは何か?」について体系的にチェックしたい方は、以下の記事でxDX編集長が詳しく3万字で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
▶︎[編集長が3万字で解説]DXとは?注目の背景から行政/民間/生活者への影響、活用技術、推進のポイント、最新トレンドまでを体系的に解説
DX人材とは?
DX人材というのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するために必要なスキルを習得した人材のことです。
企業がDXを推進するには、そもそもDXとは何たるものなのかを理解した上で活動する必要があります。DXに関する理解がないと手探りで推進することとなり、将来的なビジョンも曖昧になってしまうでしょう。
そんな事態を防ぐためにも、必要なスキルを習得した人材を登用するのが、DXを推進する上で重要なポイントです。
DX人材が求められる背景
DX人材が求められる背景にあるのは、以下の要因が考えられます。
- 人材不足
- 認知度の向上
- コロナ禍の影響
- 官公庁でDX人材の公募が始まった
DX人材の不足に陥っている企業が多い状況にあり、必要性を感じていても、思うように人材を登用できない事態になっていることが考えられます。また、社内のDX化を進めるために具体的にどのようなスキルや資質を持つ人材が必要なのか、企業がはっきりと把握していない場合もあるでしょう。
自社での採用が難しい場合は、社内でDX人材を育てていくことが急務になります。特にコロナ禍の影響によってリモートワークに移行する企業が増加したことにより、業務の効率化や生産性の向上のためにDXの導入を検討している企業も少なくないでしょう。
また、デジタル社会の形成に関する施策を推進するためにデジタル庁が開設されたことにより、DX人材の公募が始まったことが記憶に新しいのではないでしょうか?実際に農林水産省では、農林水産分野で約900人の応募の中から2人のDX人材を採用しています。国を挙げてDXを推進している証拠だと言えるでしょう。
DX人材に必要なスキル
企業でDXを推進するためには、様々なスキルが求められます。必要なスキルを習得していれば多くの企業で活躍できる可能性があるので、積極的に習得を目指すことが大切です。次に、DX人材に求められるスキルについてご説明します。
IT分野の基礎知識
IT分野の基礎知識がなければ、DX人材として活躍することは非常に難しいでしょう。
様々なデジタル技術を駆使してビジネスモデルの変革を行う以上、IT分野に関する基礎知識がないとどのように変革を行うのか具体案を出すことができません。最低でもIT分野の基礎知識がなければ、DX人材として働くことは難しくなります。
ただ、この時点でDX人材を目指す人が少なくなる傾向にあるのが、大きな課題になるのではないでしょうか。
先進技術の知識
DXに限らず、全てのIT分野には先進技術の知識が必要です。
先進技術に関する情報は日々新しくなっています。AIやIoT、クラウドなど様々な先進技術に関する知識を取り入れ、DXを実現するためにそれらをどう役立てていくかを考える必要性があります。
特にDXはシステムや業務フローを終わらせたらそれで終わりというわけではなく、その後のサポートも継続して行う必要があります。エンジニアやデータサイエンティスト、UXデザイナーといった先進技術に秀でた職種であれば、スムーズにDX人材として活動していけるでしょう。
データサイエンス領域の知識
DXを推進するためにデータサイエンス領域の知識が必要になることもあるでしょう。
IT分野では単にプログラミングやネットワークのスキルさえあればいいというわけではなく、様々な市場のデータを分析する際にデータサイエンス領域の知識が必要になる場面があります。
データサイエンスの領域では、基礎数学や統計学などの専門的な知識を活用してデータ分析を行います。必要であれば、データサイエンティストを養成するビジネススクール等に通う必要もあるでしょう。
プロジェクトマネジメントスキル
DXを実現するため、企業内で抱えている課題を常に把握し、その課題をどのように解決していくのかを考える必要性があります。
プロジェクトを成功に導くためには、納期や予算、必要な人材の配置、外部とのコミュニケーション能力が必要です。また、途中で方向性の転換などを行った時に迅速に軌道修正していけるかどうも大切です。
DXを推進するには、現在の状況を迅速に把握し、適切な対応ができるスキルが求められるでしょう。
システムやサービス設計に関する知識
DX人材は、様々なシステムやサービスを設計するための知識が必要不可欠です。
企業内で新しいシステムを活用する場合でも、顧客に向けたサービスを設計して提供する場合でも、使いやすさや見やすさを考慮に入れる必要があります。そのためには、いかに見やすいデザインにするのか、ユーザーインターフェースを踏まえたサービスを設計するための知識が求められます。
DX人材を育成するときのポイント
企業でDXを推進する際に必要な人材を育成する選択肢もありますが、育成ポイントを知っておかないとコストばかりかかってしまいます。
それでは、DX人材を育成するときのポイントについてご説明します。
課題設定力が重要
企業が抱える課題を把握し、どのようにして解決するかを考えることは重要です。しかし、それが本質的に解決しなければならない課題なのかを、まずは再考する必要があります。
企業にとって最も重要な課題を把握せずに、その対応を後回しにしてしまうのは課題設定力が不十分と言えます。DXを推進するためには、明確なビジョンと現状を結びつける課題を設定できる能力が必要です。
主体性と好奇心を持てるように試行錯誤する
DXを推進する際に壁となるのは、度重なる試行錯誤です。
DXを実現する過程で幾度となく壁にぶつかることは大いに予想されます。その壁を乗り越えるためには、試行錯誤を重ねて自ら解決したいと思う主体性、そして企業が取り組む事業に対する好奇心が求められるでしょう。
DX人材を育てる専門の人材を確保する
DX人材を育てるためには、専門のDX人材を確保する必要性があります。
DXに関するノウハウがない状態で育成しようとしても上手くいかない可能性があるので、専門の人材を確保することで効率よく人材を育成することができます。
失敗しても咎めない体制
DX人材を育成するときは、どんな失敗をしても決して咎めない体制を整えることが大切です。
課題が思うように達成できないことや、当初想定していた通りの成果にならないこともあります。ここで失敗を咎めてしまうと、次は失敗できないと思い躍起になったり、ストレスが溜まりイライラしたりと、悪循環に陥ってしまいます。
失敗を咎めないようにすることで、ゆとりをもって成長できるようになるでしょう。
最初は小規模から取り組む
最初から大きなプロジェクトに挑戦しても失敗する可能性が高いため、最初は小規模の課題解決に取り組むようにすることが大切です。
DXにおける課題の解決は早急に達成するべき問題ではありますが、成果を急いでも成功するとは限りません。
まずは小さな課題の解決を積み重ねて自信をつけることが、優秀なDX人材の育成に繋がります。
DX人材の育成は将来的に必要不可欠な要素になる
DX推進は世界中で非常に速いスピードで進んでいます。将来的にもDX推進のさらなる活発化が予想される以上、DX後進国といわれる日本が他国の情勢に追いつくには、DX人材の育成が必須になると言えます。
しかし、多くの企業がDXの必要性に気づいていながら、優秀なDX人材の人手不足に悩まされている状況です。現在の日本企業にとって、深刻なDX人材不足は大きな課題になっており、DX人材を育成して優秀な人材を確保することが急務となっています。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images, pixabay, Photo AC