DXの進め方を知りたい!手順やステップを分かりやすく解説
目次
DXの重要性は理解していても、進め方が分からないと途方に暮れてしまいまうでしょう。そこで今回は、どのようにDXを進めていけばよいうのか具体的に解説します。自社の状況に合わせて目的を設定し、その目的に向かってDXを進めていくことがポイントです。
なお、「DXとは何か?」について体系的にチェックしたい方は、以下の記事でxDX編集長が詳しく3万字で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
▶︎[編集長が3万字で解説]DXとは?注目の背景から行政/民間/生活者への影響、活用技術、推進のポイント、最新トレンドまでを体系的に解説
DXの進め方
どのようにDXを進めていけば分からない人もいるでしょう。まずは、「DXを実現していかなければマズい」という意識を持つことが大切です。
日本におけるDXへの意識の現状
経済産業省は、2018年9月に「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を発表して以降、DX推進ガイドラインやDX推進指標、2020年12月には「DXレポート2(中間取りまとめ)」を発表し、日本企業のDX推進に関する施策を展開してきました。
レポートの中の「デジタル変革の実現における課題」において、企業が感じている課題の内容と割合は、「技術的な制約(日本27%)」なのに対し、「デジタルに対するビジョンと戦略の不足(日本69%)」、「スタッフの準備不足(日本62%)」となっており、技術面よりも意識や人材面で課題を感じていることが分かります。
まずは人々の意識を変え、DXに対する戦略を立てたり、準備したりする必要があります。
DXの進め方
経営層から社員まで「DXを実現しよう」という意識が高まったら、次の段階では具体的にDXを進めていくことになります。
現状の課題を可視化する
「老朽化した既存システムの場所はどこなのか」「ブラックボックス化したIT機器はあるのか」「各部署のシステムは連携しているのか」などを把握すれば、自社が抱える現状の課題がおのずと可視化されます。
現状の課題を把握し、どのシステムや機器に刷新が必要か判断しましょう。検証の結果、もし刷新の必要がないようならそのまま使い続けるという選択肢もあります。
ゴールや目標を設定する
やみくもに「何となくDXが流行っているからDXを進めよう」というぼんやりとした理由で取り掛かってしまうと、失敗する可能性が高くなります。まずは、「我が社では、何のためにDXを進めるのか」「どんな課題を解決したいのか」などのゴールや目標を設定しましょう。
明確なゴールや目標が決まっていれば、万が一途中でどのように進めればいいか迷った際にも判断しやすくなります。
業務プロセスを見直す
DXを進めていくときには、必ず業務プロセスを見直ししましょう。業務プロセスの中にアナログ部分が残っていると、業務の効率化を妨げる要因となります。会社全体を最適化するには、業務プロセスの見直しが必須です。
手段やツールを選定する
自社の課題が見えてきたら、その課題を解決するための手段としてツールを選定しましょう。例えば、「業務効率化のためにRPAツールを導入する」「顧客とのチャットに自動応対してくれるAIを導入する」などです。
業務デジタル化を実行する
ITを積極的に取り入れている企業も多いですが、実際の現場では、まだまだアナログ業務に頼っているケースが少なくありません。企業のDXを推進するには、業務をできるだけデジタル化する必要があります。
評価と見直しを行う
自社で既に使われているシステムや機器などを今一度見直すことも大切です。「頻繁な更新が必要で手がかかるシステムがないか」「使っていない機器はないか」などIT資産の棚卸を行いましょう。その結果、現行システムに見直しが必要なら改善策を考えていかなくてはなりません。
スケールアップを行う
自社システムが老朽化しているなら、サーバーやパソコンなどのハードウェアを高性能なものに変えることもおすすめです。最新の機器に変え、処理性能をスケールアップさせましょう。ハードウェアをスケールアップすると、レガシーシステムをなくし保守コストや運用コストを下げることができます。
DXを進めるプロセスの具体例
ここからは、具体例を出しながら、どうやってDXを進めていけばいいかを解説します。
DXの進め方の具体例「インターネット販売事業を拡大したい」
「インターネット販売の拡大を見越してDXを進めたい」という仮定で、DXの進め方を見ていきましょう。
1.DXを進める目的を決定する
DXを進めるために最も重要なことは、「DXを何のために進めるのか」という目的を決定することです。
DXは、基本的に何らかの目的達成や課題解決のために推進するべき手段です。その目的を見失ってしまうと、DXすること自体が目的化してしまいます。まずは、本来の目的(ここでは「インターネット販売のため」ということ)に向かってDXをどう進めていけばいいか考えることから始めましょう。
2.上層部の同意を得る
DXによって達成したい「インターネット販売の拡大」という目的が、仮に会社全体に関わるものならDXも会社全体で取り組まなくてはなりません。社員同士の意識を一致させておくだけでなく、経営層の協力も得る必要があります。
どんなに社員が「これからはインターネット販売の時代だからDXを進めたい」と力説しても、経営層が「そんなの必要ない」と一蹴してしまえば、DXを推進できません。必ず上層部の理解を得ておきましょう。
3.戦略へ落とし込む
経営層の理解を得られた後は、できれば社員と経営層が一丸となってDX戦略を策定しましょう。経営層と戦略を共有することで、組織全体を動かしやすくなります。DX専門のチームを作るのも良いでしょう。
4.現状を把握する
DXを進める準備ができたら、現状を把握しましょう。例えば、老朽化しているシステムはいくつあるのか、それによって起こる問題は何かなど、今置かれている状況を理解していきます。現状が把握できたら、何をどう変革していくか考えましょう。
5.優先度を決める
次に、具体的な優先順位を決めていきます。いきなりシステムの根幹を大きく変えるような改革を行うと、社員からの反発にあう可能性があります。一般的には、影響の少ない細かい業務からデジタル化すると、社員の抵抗も少なくスムーズに進められると言われています。
例えば、会議のペーパーレス化やFAXの廃止、印鑑による承認を廃止といった内容です。
6.会社全体のワークフローがデジタル化できるどうか検討する
次に、会社全体のワークフローをデジタル化してみましょう。ただ、いきなり全体をデジタル化するのは難しいため、ある程度細かい業務のデジタル化が進んだあとがおすすめです。
例えば、書類の回覧は印刷物ではなくメールやWeb上で完結させる、不要な会議は減らして必要なときだけオンラインミーティングを行う、ビジネスチャット上でデータやファイルをやり取りする、などが挙げられます。
7.ビジネスモデルや事業などをデジタル化していく
ビジネスモデルや事業をデジタル化できれば、DXはほぼ実現されたと言っても良いでしょう。ここまでくれば、組織体制や収益スキームの変革にも着手できます。
8.PDCAを長期的に実行していく
少しずつ変革をしていくだけでなく、PDCAを回すことも大切です。
自社のDX状況を客観的に判断・評価していきましょう。
零細企業、中小企業のDXの進め方
零細企業や中小企業には大企業にはない悩みがあります。
零細企業、中小企業がゆえの課題とは
零細企業や中小企業では、予算が少ない、ITに長けた人材がいないといった課題があります。
自社の資本や借入だけでは限界がある場合は、国や自治体が用意している補助金を利用するのがおすすめです。また、ITに詳しい人材がいない場合は、外部の人材を利用するのも良いでしょう。
「大規模な改革はムリ!」だったらまずはコレから取り組もう
小規模な企業にとっていきなり大規模な改革をするのは難しいものです。「システムを全て刷新しよう」といった大げさなものより、業務環境のオンライン化や業務プロセスのデジタル化で作業効率をアップさせることから始めてみましょう。慣れてきたら、従業員の安全や健康管理のデジタル化、顧客接点のデジタル化などに取り組んでいくとうまくいきます。
自社に合ったやり方でDXを進めていこう
DXの進め方は企業の規模や状況によって変わります。まずは、経営層と社員が「DXを進めたい」と一丸になることから始めましょう。「何のためにDXを行うのか」という最終的な目標を定め、その目標に向かってDXを推進していきます。
「人材的にも金銭的にもDXは厳しい」という小規模な企業は、補助金を利用したり、できるところからデジタル化したりする方法がおすすめです。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images, pixabay