DXにはどんな課題がある?DXを推進させるために必要な課題について解説します
目次
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する目的は、デジタル技術を活用して新たな価値を生み出していくことです。
企業として将来的な業績アップを目指すのであれば、既存のビジネスに頼り切るのは得策ではないでしょう。しかし、DXを推進させることにあたって様々な企業は多くの課題を抱えることになります。
DXを推進させるためには、どんな課題があるのか、その課題を解決するためにはどうすればいいのか考える必要性があります。
そこで今回は、DXを推進させるためにはどんな課題があるのか、その課題を解決するにはどうすればいいのかご紹介します。
なお、「DXとは何か?」について体系的にチェックしたい方は、以下の記事でxDX編集長が詳しく3万字で解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
▶︎[編集長が3万字で解説]DXとは?注目の背景から行政/民間/生活者への影響、活用技術、推進のポイント、最新トレンドまでを体系的に解説
DXを推進する上での課題とは?
様々な企業でDXを推進させるためには、現状で求められている課題を把握する必要性があります。求められている課題は、主に以下の通りです。
- アメリカに比べて日本はIT投資が進んでいない
- ITシステムが老朽化している
- 技術的な負債が高騰している
- システム構築が一貫していない
- 具体的な経営戦略が固まっていない
- IT人材の人手不足
上記のような課題が求められている以上、企業の大きな変革が必要です。そこで、DXを推進させる際に求められている課題についてご説明します。
アメリカに比べて日本はIT投資が進んでいない
アメリカに比べ、日本のIT投資はあまり進んでいないのが現状です。アメリカと日本で大きく違うのは、日本は守りのIT投資なのに対し、アメリカは攻めのIT投資を行っていることでしょう。
アメリカはITによる製品及びサービスの開発やITによる顧客行動及び市場の分析強化、事業内容及び製品ラインの拡大、ITを活用したビジネスモデルの変革、新たな技術や製品及びサービスの利用と攻めのIT投資が加速度的に行われています。
他にも、売上増加や法規制に対応するためなど、将来的な課題の解決も見据えての投資が進められています。また、業務効率化やコスト削減、市場や顧客の変化への迅速な対応、定期的なシステム更新サイクル、未IT化業務プロセスのIT化も進められているなど、どんどんDXが推進されています。
一方で、日本では新たな技術や製品及びサービスの利用が積極的に行われているものの、他の部分で守りに入っていると言わざるを得ません。特に業務効率化やコスト削減の問題は非常に大きく、総じてIT化はそれほど進んでいないのが現状です。
ITシステムが老朽化している
日本のITシステムは、既存のITシステムの複雑化やブラックボックス化によって老朽化しています。DXを推進させるためには既存システムを大幅に変更する必要性がありますが、慣れないことをすることに対して及び腰になっているのか、既存システムが邪魔をしてなかなかDXが進められないのが現状です。
事業部門ごとにシステムが構築されているせいで企業全体でデータを活用できなかったり、既存システムの場当たり的なカスタマイズのせいで維持管理に多くのコストがかかったりするのも大きな問題です。
さらに、システムがブラックボックス化されていることで引継ぎもままならないなど、ITシステムの老朽化は将来的な経済損失を招く危険性をはらんでいます。
技術的な負債が高騰している
日本のITシステムは技術的な負債を抱えています。日本の企業の多くはITシステムに肉付けするような形で度重なるカスタマイズを行っているため、一見するとITシステムをクラウド化させているように見えるだけの状態です。
短期的なシステム開発を行っても、つぎはぎのようなカスタマイズでは、長期的な維持管理コストがかかりすぎてしまいます。
システム構築が一貫していない
DXを推進させるためには、企業全体のシステム構築を一新させて一貫させなければなりません。高い維持管理コスト、システムのブラックボックス化、ITシステムの老朽化など、様々な技術的負債を抱えている状態では、DXを推進させることはとてもできないでしょう。
具体的な経営戦略が固まっていない
DXを推進させる上で重要なのは、DXを推進させた先の具体的な経営戦略を固めることです。業務をDX化させること自体はできていても、それを上手く扱うことができなければ宝の持ち腐れです。
DX化しただけでは意味がないので、いかに企業のビジネス化を変革させていけるかが求められます。
IT人材の人手不足
IT人材の人手不足はかなり深刻化しています。技術や知識の習得難易度が高いのも要因ですが、有能な人材は他の優良企業に引き抜かれたり、優良企業へ就職したりすることも多く見られます。
たとえIT人材を登用することができたとしても、老朽化しているITシステムの維持管理に回す可能性が高いのが現状です。それでは貴重なIT人材を存分に活躍させることはできません。
DXの課題を解決するための推進方法とは?
日本のDXに求められている課題はすぐに解決できるようなものではありません。少なくとも企業全体が変革を遂げるようなことがなければ、DXの推進企業として先駆けるのは難しいでしょう。
現状の課題を解決するためには、以下の方法が挙げられます。
- 経営者によるDXに向けた企業の変革
- システムを一貫させる
- DX推進に欠かせないIT人材の確保と育成
以上の課題を解決することで、効率良くDXを推進させることができるでしょう。次に、DX推進の課題を解決する方法についてご説明します。
経営者によるDXに向けた企業の変革
企業がDXを推進させるためには、経営者による企業全体の変革が必要不可欠です。経営者が自らDX推進の指揮を執り、将来的なビジネスモデルの計画・構築、必要なIT人材の確保や予算、老朽化した既存のITシステムからの切り替えなどを行い、企業全体の意識を変えていかなければなりません。
もちろんDX推進はすぐに完了・成功するものではないので、時間をかけてでも意識を変えていくことが重要です。経営者が意識的に変わらなければ企業全体も変えられない可能性が高いため、精力的にDX推進に向けた活動を行いましょう。
部門の垣根を超えた大がかりな変革を進めてこそ、DXの推進ができます。
システムを一貫させる
既存のITシステムは、事業部門ごとにシステムを運用していることから企業全体でデータを活用することができず、ITシステムが老朽化・複雑化、ブラックボックス化しているのも大きな問題です。
システムが一貫していない状態ではDXを推進させることはできないので、企業全体でシームレスにデータの共有ができるシステムを開発する必要性があります。
システムを一貫させることによってデータ共有がスムーズにできるため、競合他社と張り合えるだけの競争力が身に付くことが期待されます。
DX推進に欠かせないIT人材の確保と育成
次に重要なのは、DX推進に欠かせないIT人材の確保と育成です。優秀なIT人材が確保できなければ業績アップも夢のまた夢になってしまうので、いかにして人材を確保できるかどうかが重要です。
研修を重ねた育成だけでなく、確保した人材をどこに配置するのかにもこだわりましょう。適切な場所にIT人材を配置しなければ、IT人材が持つスキルを最大限に発揮することが難しくなります。
特に以前と変わらない縦割り社会のようでは、企業の変革は到底進められないでしょう。
DXの課題を解決するためには、企業でDXを推進させる計画を立てましょう
各企業でDXを推進させるためには、企業全体が変革を遂げなければなりません。今現在の老朽化したITシステムでは維持管理コストがかかるばかりで、いつまで経ってもDXを推進させることはできません。
攻めの投資を行うアメリカに対して、日本の企業は守りの投資を行っているため、この体制を変えていかなければ世界に通用するIT国家になるのは難しいでしょう。一つ一つの企業が経営者の指揮の元、企業全体を変える計画を立てることが重要です。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images, photoAC, pixabay