AWS IoTとは?特徴や実際の活用例を紹介!
目次
世界中でインターネットを使う人の数が爆発的に増え、今や私たちの生活になくてはならないものとなっています。日本の企業や政府機関でもどんどんクラウドサービスを導入していますが、その中でかなりのシェアを誇るサービスが「AWS」。
AWSは有名で目にする機会は多いですが、名前は聞いたことがあっても具体的にはどのようなサービスなのか答えられないという方も多いでしょう。
ここではAWS IoTについて、その内容や特徴、具体的な使用例などを紹介していきます。
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AWS IoTとは?
AWSは「Amazon Web Service」の略語。そしてIotは「Internet of Things」の略語です。
Iotはつまり、インターネットにつながっていなかったモノがネットワークを通じて他のいろいろなものと情報交換をし、データを蓄積・分析して質の高いサービスを提供するというもの。
そこで使われるクラウドがAWS、つまり、アマゾンが提供しているクラウドサービスということです。
AWS IoTを簡単に言うと、Iotの制御や管理をするためのサービス。AWS経由でIotデバイスと接続し、安全に連携させることができます。これによる大きなメリットは以下の2つです。
・企業はコストを大幅に削減可能
・セキュリティ面が強固になる
システムを構築するためには巨額の資金が必要なうえ、大きくかさばるサーバーを設置する場所やシステム管理の手間が必要です。もちろん人材の確保も必須のため、非常にコストがかかってしまうでしょう。しかしAWS IoTを導入すれば、必要なサービスを必要な分だけ利用でき、管理の手間やサーバーの置き場所が不要です。また、アマゾンが作った高水準のセキュリティ技術(暗号化やアクセスコントロールなど)を利用できるため、安全面も高くなります。
クラウドサービスを提供している他の企業は、たとえば「Microsoft」や「Google」などの有名企業。しかしクラウドといえばAWSと言われるほど、アマゾンが提供するウェブサービスは世界で多くのシェアを誇っています。
AWSが作られた背景
アマゾンといえばECサイトで有名な企業ですが、その特性上アマゾンには日々膨大な利用者からのアクセスがあります。
利用者とのスムーズなやり取りを支えるためには、強固なインフラが必須。そこでアマゾンではその課題を解決するため、自社でクラウドサービスを開発しました。年々サーバーやストレージなどを増やし強くしていきましたが、やがてノウハウをサービスとして提供しようということになったのです。それが、AWSの始まりでした。
AWS IoTの特徴は?具体的にできること3つ
では、AWS IoTでは一体何ができるのか、その特徴を見ていきましょう。以下3つが大きな特徴です。
・接続しているIoTデバイスからデータを収集できる
・IoTサービスの品質改善が簡単になる
・IoTデバイス同士を結び付けられる
接続しているIoTデバイスからデータを収集できる
接続しているIotの各デバイスから収集したデータを、AWSに保存できます。こうして集められ保存されたデータは加工処理してデーターベース化にでき、それをもとにして分析可能になります。自社サービスを展開するうえで問題がある箇所がはっきりと明確になるため、改善しやすくなるのです。
さらにIoTデバイスから送られてくるデータを見れば、それぞれのデバイスの異常が早めにわかります。つまり故障する前に処置が可能となり、さまざまなコストを削減できます。
IoTサービスの品質改善が簡単になる
AWS IoTを導入することで、各IoTデバイスを遠隔操作することができるようになります。現場にいて実際にデバイスを触る必要はなく、遠くにいながらにして古いプログラムのアップデートなどが可能です。その場合心配なのはセキュリティ面ですが、AWS IoTでは暗号化された通信で安全に遠隔操作ができます。
遠隔操作によるデバイスのアップデートなどが可能になりますので、IoTサービスの品質改善が従来よりも簡単かつ迅速に対応可能です。
IoTデバイス同士を結び付けられる
IoTデバイスにはさまざまなものがありますが、AWSを介して複数のIoTデバイスの連携が可能になります。たとえば車にモジュールを載せていれば、自分が今走行している周囲の交通状況を自動車の中にあるセンサーが取得。それはAWSへ送られて処理され、最適な交通ルートをはじき出して運転者が使うカーナビへ送信します。するとトラブルに巻き込まれる可能性が少なくなり、快適に運転できます。
このように本来は連携していない複数のIoTを簡単に連携させ、より便利に使えるようになるのです。
AWS IoTの具体的な使用例を2つ紹介
では、実際にどのようにAWS IoTが活用されているか、具体的に紹介していきましょう。
世界ではいくつもの有名な活用例がありますが、ここでは日本での活用例と外国での活用例を1つずつ説明します。
・回転寿司店で活用
・損害保険会社で活用
回転寿司店で活用
日本国内で現在AWS IoTを上手に活用しているのは、回転寿司の「スシロー」。
まだAWSがさほど普及していないときから導入しており、収益向上につなげています。
スシローは高品質の寿司を安く提供するという目的のため、商品原価率が50%と高めでした。利益を出すためには業務を効率化し、コスト削減をめざさなくてはなりません。とはいえ、自分たちで業務効率化のシステムを作り出すことは難しく、人材確保も大変でした。その結果AWS IoTを取り入れたのです。
具体的には、寿司が乗っているお皿の下にセンサーがあり、それによってどのネタが手に取られているかを分析。リアルタイムで売れる寿司ネタがわかるので、食材の廃棄率が導入前に比べて3分の1まで減少しました。以前は店長の経験や勘で需要を予測して食材の発注を行っていましたが、AWS IoTを使うことでより正確に需要予測ができています。
来店したときに客の性別や人数などが入力されると、過去の似たような来店客のデータと照らし合わせ、どんなネタをそのレーンに流せばいいかをはじき出します。小さな子どもがいる家族連れか、20代男性のグループかでは食べる内容や量は違って当然です。今このレーンに流すべきはどのような寿司ネタで、どの程度の量を必要とするかが厨房でわかるため、人員配置などにも活用されています。
また、コロナ禍の現在はスシローアプリのテイクアウト機能にもAWS IoTが利用され、大幅な業務効率化に成功しています。
損害保険会社で活用
車の保険などを扱う損害保険会社では、AWS IoTを導入して保険料を顧客ごとに変化させ、損失減少や顧客サービスにつとめています。
日本でも保険料金は段階によって違います。たとえばゴールド免許であれば10%安くするとか、契約中の無事故を5年連続で達成すれば割引を行うといったことです。そこにAWS IoTを導入すれば、さらに条件を細かくできます。
まず、車にセンサーを設置します。運転者がどのようなスピードで走行しているか、角の曲がり方やブレーキの踏み方はどうかといったさまざまなデータがAWSに送られ、どのくらい安全運転をする運転者であるかを判断します。安全運転をする人は当然事故にあう可能性は低いですし、乱暴な運転をする人は事故にあう確率だけでなく車の故障などの可能性も上がります。そこデータをもとにして、安全運転をする人には保険料を安くする、そうでない人には保険料は今まで通りで契約を行うなどの対応をしているのです。
危険運転を減らすこともできるうえ、良質なドライバーには保険料を安くするといったサービスが提供できます。
AWS IoTの活用で安全に多くの無駄を省ける
身近にあるアイテムがインターネット化してさまざまなデータを集積し、クラウドサービスを使うことでお互いに連携できるようになりました。人気のサービス名はAWS IoT。企業がAWS IoTを導入すれば、大幅なコスト削減や迅速な品質管理などが実現し、その結果、消費者へのサービスが向上します。AWS IoTは、現在どんどん広がっています。一般企業だけでなく政府機関でも活用されていますので、ますます私たちの生活へ大きな影響を与えていくでしょう。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images