自然言語処理の仕組み|どんなことができるの?基本をわかりやすく解説

自然言語処理の仕組み|どんなことができるの?基本をわかりやすく解説

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キーワード検索から手軽に情報をゲットしたり、スマートスピーカーで家電を操作したり、生活が便利になったと感じることはありませんか?快適な生活を支えているのが、解析技術の「自然言語処理」です。

人間同士のコミュニケーションで使われる言葉にはさまざまな意味があり、解釈に迷うことも。文脈によって複数の解釈が生まれることは少なくありませんが、コンピューターは自然言語処理によって正しい解釈を選択しています。

自然言語処理とはどんな技術なのでしょうか?基本的な概要や活用されている分野をご紹介していきます。

自然言語処理の基本情報をおさらい

そもそも自然言語処理とはなにか、まずは基本的なことを確認していきましょう。

自然言語とプログラミング言語

「自然言語(NLP)」とは、「Natural Language Processing」の略称です。コニュニケーションを図るときに使う「話し言葉」、書類や論文などに使う「書き言葉」などを指します。

自然言語の特徴は、曖昧な言葉や複数の意味を持つ言葉が存在することです。日常会話でも、2通りの解釈があるとどちらの意味か尋ねるケースは少なくありません。

たとえば、「彼女は出かけていなかった」という文章で見ていきましょう。「彼女は(すでに)出かけていて、いなかった」と解釈すると、彼女の不在を意味します。しかし、「彼女は(まだ)出かけていなかった」と解釈すると、真逆の意味の表現となるのです。

自然言語と対比する言語が「プログラミング言語」です。コンピューターのプログラムを作成するための人工言語のことを指します。コンピューターを制御するプログラムを記述する言語のことです。

プログラミング言語には自然言語のような曖昧性がある言葉は存在しません。たとえば、「1+2+3」は「1に2を加算したものに3を加算する」といったように、1つの表現に対して1つの解釈をします。

プログラミング言語は常に同じように解釈されるため、同じようにコンピューターを制御することが可能です。

自然言語処理とはどういう意味?

自然言語処理とは、わたしたち人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターで処理して、内容を抽出すること。曖昧性のある自然言語がどんな意味を持っているのか、解析する処理技術を指します。

かな予測変換も自然言語処理のひとつです。話し言葉や書き言葉などの自然言語を解析処理していますが、スマホで入力したときに意図と違う変換が表示されることがありませんか?

たとえば、「きもちいいかぜです」という文章の場合、「気持ちいい風です」が正しい解釈です。しかし、コンピューターでは「気持ちいい風邪です」と誤った予測変換が表示されることも。

人間同士のやり取りであれば、「風邪が気持ちいい」という表現は不自然だとわかるので正しい解釈がスムーズです。コンピューターでは曖昧性のある自然言語を正確に解析処理するのは難しいものの、応用分野が広いため研究が進められています。

自然言語処理の仕組み

続いて、自然言語処理がどのように実行されているのか見ていきましょう。

機械可読目録(マーク)とコーパス

自然言語処理をおこなう前段階として、機械可読目録(マーク)とコーパスの構築が必要です。

「MARC(マーク)」とは「 MAchine-Readable Catalog」の略称です。書誌情報をコンピューターで扱うための規格で、日本語では「機械可読目録」と訳されます。図書館や資料館に収蔵している書誌情報を自然言語処理するために設計されたデータフォーマットのことです。

1965年にアメリカ議会図書館の先導により整備が開始され、1970年代にはアメリカ全体に普及。「MARC 21」は国際的な機械可読目録(マーク)となっています。日本でも、オンライン蔵書目録検索システムである「OPAC(オパック)」の導入が進み、ほとんどの大学や公共図書館で使用されています。

「コーパス」とは、言語を分析するための基礎資料のこと。文字化した話し言葉や、新聞や本などの書き言葉を大量に収集して、コンピューターで分析するためのデータベースです。

言語は段階的な構造を作っています。たとえば、「私は聞く」という4文字を分解してみましょう。「私」と「は」のまとまり、「聞」と「く」のまとまりが合わさった構造になっていることがわかります。

人間にとって書き文字の構造は無意識でおこなわれていますが、コンピューターには困難です。品詞や統語構造などのタグを付けたコーパスを構築すると自然言語処理の応用がしやすくなります。

自然言語処理の流れ

自然言語処理には以下の4つの工程があります。

1.形態素解析
文章を最小単位の単語に分割する工程です。意味を持つ最小要素(=形態素)に分け、品詞などの情報を振り分けます。文章の中で各形態素の意味をデータ抽出することが目的です。

「彼女は彼とおいしいディナーを食べた」という例文を形態素解析してみましょう。
「彼女(名詞)」「は(助詞)」「彼(名詞)」「と(助詞)」「おいしい(形容詞)」「ディナー(名詞)」「を(助詞)」「食べ(動詞)」「た(助動詞)」となります。

2.構文解析
形態素解析でバラバラにした単語を集めて、どんな構文になるか言葉の関係性を解析する工程です。

単語同士がどう関わるのかを構文的に解析する「依存構造解析(係り受け解析)」や、分の部分的な構造を解析する「句構造解析」という手法があります。

形態素解析の例文を構文解析してみましょう。
「彼女は、彼とおいしいディナーを食べた」は、彼とディナーの2つを食べた解釈です。
彼女と彼がディナーを食べた解釈では「彼女は彼と、おいしいディナーを食べた」となります。

3.意味解析
構文解析した文の意味を解析する工程です。例文のように複数の解釈が存在する場合、正しい解釈を選ぶために意味解析をおこないます。

コンピューターには意味という概念がありません。リストから文章中にある単語の意味を認識する「グラウンディング」や、単語の属性にタグ付けする「意味的アノテーション」などの方法で解析します。

4.文脈解析
文と文のつながりである文脈を解析する工程です。複数の文に形態素解析と意味解析をおこなって、文と文の関係性を解析します。

単語同士だけでなく、文章の背景を正しく解析しなければなりません。非常に複雑な工程のため実用化が困難とされています。

自然言語処理の活用方法

最後に、自然言語処理でできることやどんな活用例があるかご紹介します。

機械翻訳
「Google翻訳」や「Deep Learning」などの翻訳機能に活用されています。以前は不自然な文章が目立ちましたが、自然言語処理によってシンプルで短めな構文の翻訳精度が向上。正確な解釈となるように、主語や述語を省略しない、漢字を使うなど、解析しやすい構造の原文を入力するのがコツです。

音声対話システム
スマートスピーカーや自動応答システムなどにも自然言語処理が活用されています。検索やデータの照合によって音声データに変換する仕組みです。「Alexa」や「Amazon Echo」などがあります。

あいまい検索・類似文書検索
自然言語処理は、入力した文字列を解釈して、類似キーワードが含まれているページを検索する技術にも活用。あいまいな記憶のキーワードを入力した場合でも、イメージしていた検索結果が表示される確率が高くなります。

分類・スコアリング
マーケティングや企画でも自然言語処理が活用されています。アンケートやSNSのコメントなどのテキストデータから、製品の評価やマーケットニーズを抽出することが可能です。

かな漢字文字変換予測
自然言語処理によって、かなや漢字の予測変換精度が向上。長い文章でも文脈に適した解釈を解析して正しく変換されるようになりました。「Microsoft IME」や「Google日本語入力」に活用されています。

テキストマイニング
自由形式で記述したテキストデータの分析にも活用されています。SNSの投稿などのビッグデータを有効活用できる技術です。単語に分割して分析することで、有益な情報を抽出します。

自然言語処理は幅広く活用される技術

日常会話で使っている「話し言葉」や、書き物をするときに使う「書き言葉」といった自然言語は、複数の意味を持っていることが多くあります。

自然言語処理とは、コンピューターが正しい解釈をするための解析技術です。音声対話システムや機械翻訳など幅広い分野で活用されています。長文や複雑な文章の解釈は困難ですが、今後も研究が進み実用性が向上されることを期待しましょう。

文:xDX編集部 画像提供:Getty images

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