SaaSとは?4つの導入メリットと身近な活用例
目次
誰もがインターネットをするようになり、たくさんのIT用語をさまざまな機会に見聞きするようになりました。たとえばECサイトの構築において特によく見かけるのが、「SaaS」や「PaaS」、「IaaS」といった用語です。
その3つの用語の中で、ここでは「SaaS」について紹介していきます。SaaSとはどのような意味があり、導入することによるメリットは何があるでしょうか?活用例も紹介しますので、参考にしてください。
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SaaSとはサービスとしてのソフトウェア
SaaSは英語表記の「Software as a Service」のイニシャルをとった言い方です。直訳は「サービスとしてのソフトウェア」、呼び方は「サース」です。「サーズ」と呼ぶこともありましたが他のものと混乱するからということで、最近ではサースと呼ぶことが増えています。クラウドサービスの一種で、提供されるソフトウェアそのものを指します。
今までのやり方であれば、なにかのソフトを使おうとするとまずは自分のパソコンにインストールさせる必要がありました。しかし、SaaSは提供している事業者のサーバーに利用者がアクセスして利用する形です。そのためインターネットにつながってさえいればどこからでも利用可能であり、非常に便利です。
SaaSはASPとはどう違う?
SaaSと似ている用語に「ASP」があります。
・ASP・・・Application Service Providerの略語。インターネット上でアプリケーションソフトを利用するサービス、サービスの提供者の意味
ASPはアフィリエイトなどをする方には馴染み深い用語ですが、意味はSaaSとほとんど違いません。ただし、元々ASPはインターネット経由でアプリケーションソフトを提供する事業者を指していました。SaaSはソフトそのものを指しています。よって厳密には違いがありましたが、現在は事業者が提供するソフトを指してASPと呼ぶようになってきているため、SaaSとほぼ同義と考えてよいでしょう。
SaaSの特徴3つ
では、SaaSの特徴以下の3つを簡単に説明していきます。
・ネットにアクセスすれば利用できる
・オンラインストレージで保存できる
・複数人による管理や編集ができる
特徴1、ネットにアクセスすれば利用できる
SaaSはインターネットに接続できる環境にさえあれば、どのデバイスからでも利用可能です。
たとえば普段は家でしている仕事を、外出時に他のパソコンを使って作業するときにも活用できます。利用場所やデバイスを選ばなくてよいというメリットは、利便性という意味で非常に高いものです。
特徴2、オンラインストレージで保存できる
SaaSにはストレージ機能とドキュメント編集機能が備わっています。そのため、オンラインストレージでデータの保存が可能。つまりインターネット上にデータを保存できるということなので、自分のコンピューターのストレージ容量を気にする必要がありません。
特徴3、複数人による管理や編集ができる
SaaSに備わっている機能を使えば、複数の人で同一のデーター共有が可能になったり、誰かひとりがしたデータの編集をすぐに他のユーザーのデータに反映させることが可能になったりします。グループワークをするうえではスムーズさが重要なので、作業のやり取りでストレスなく作業ができるでしょう。
SaaS導入のメリットやデメリットとは?
SaaSを導入することによるメリットやデメリットはなにがあるでしょうか?
ここでは以下4つのメリットと3つのデメリットを順番に説明していきます。
メリット
・手軽
・コスト削減
・デバイスにストレージ不要
・ソフトウェアの管理不要
デメリット
・カスタマイズの自由度が低い
・導入目的をはっきりさせる必要
・セキュリティのコントロール不可
メリット①手軽
SaaSを導入することは、非常に手軽です。今までのようにパッケージ型ソフトウェアを購入してインストールする必要はなく、ユーザーIDとパスワードがあればどこからでもサービスにログインできます。
自社で構築しようとすると、サーバーの選定から構築、ソフトの設計から運用テストまで膨大な資金と時間がかかります。しかしSaaSは申し込みを済ませれば利用開始が可能。思い立ったらいつでもすぐにサービスを利用できるという手軽さがあり、多くの企業や個人にとって利用しやすくなっています。
メリット②コスト削減
多くの場合、自社でシステムを構築することに比べ、SaaSを導入した方が大幅にコストの削減ができます。たとえば設備投資費用や、サーバーの維持管理の費用、設備設置場所の使用料などがその対象です。専門知識を持った人材の確保とその費用も削減可能。多くのSaaSでは使用した分の料金のみを支払えばよいので、無駄な料金がかかりません。
サービスによっては月額課金型もありますが、いずれにせよスケールダウンやスケールアップが簡単にできます。
メリット③デバイスにストレージ不要
利用するデバイスのストレージを使わないため、小さなデバイスでも利用可能です。
インストール不要で利用できるため、デバイスの動作にも影響が少なく安定します。
デバイス側のストレージを使うものであれば、処理動作はやはり遅くなりがち。
スムーズに物事が進まないのは仕事でなくてもストレスの原因ですので、スムーズな動作でデバイスを利用できることは嬉しいメリットです。
メリット④ソフトウェアの管理不要
SaaSではすべてソフトウェアを提供しているサーバー側が管理業務を担当してくれます。
そのため、最新バージョンへのアップデートやセキュリティ対策などを自社で行う必要がなく、管理の手間や人材確保で悩まずに済みます。コストが削減できるだけでなく、人材の管理もなくなるため非常に便利です。
デメリット①カスタマイズの自由度が低い
SaaSの残念な点の1つは、自社で開発したシステムやパッケージのソフトウェアと比べてカスタマイズの自由度が低いところです。
多数のユーザーが共通の機能を使うため、機能を大幅に変更することはできません。
カスタマイズの自由がないと自分たちがサービスに合わせる必要が出てくるため、使いづらさにつながります。
デメリット②導入目的をはっきりさせる必要がある
SaaSは導入のハードルが低く手軽であるというメリットがありましたが、使いたいSaaSに自社がのぞむ機能があるかどうかを最初に確認する必要があります。いざ導入しても使いたい機能がなければ、狙った効果はでないうえに業務効率も上がりません。たとえば同じ「顧客管理」ができるSaaSであっても、製品によっては機能や使い勝手は違います。自分たちの導入目的をはっきりさせてから製品を選びましょう。
そして対応ブラウザについても自社と合っているかの確認をしておくことが大切。
スムーズに使える製品かどうか、念には念をいれての確認が必要です。
デメリット③セキュリティのコントロール不可
SaaSはインターネットに接続していればどこからでも利用できますが、それはセキュリティ面のリスクでもあります。IDとパスワードがあれば誰でもアクセス可能なため、乗っ取りにあう可能性も否定できません。そこで自社で対策を強化したくても、セキュリティ面は基本的に業者任せとなるため、自分たちでコントロールはできません。
SaaSを使っている身近なサービスとは?
では、実際にSaaSを使っているサービスをいくつか紹介しましょう。
一般的にはあまりなじみがないSaaSという言葉ですが、例を知ればきっとイメージがわきやすくなります。
1、Gmail
大手IT会社Googleのフリーメールサービス、Gmail。これもSaaSが使われています。
Gmailは2009年から本格的に運用が開始され、世界で最も使われているフリーメールサービスに成長しました。
2、Twitter
メッセージアプリとして数々の著名人もよく利用しているTwitterもSaaSの活用例です。
半角280文字(日本語は全角なので140文字)で自分が感じたことや他のユーザーへのメッセージとして使えます。
3、Microsoft Office 365
オフィスソフトもSaaSが利用されています。
Microsoft Office 365はサブスクリプション製品で、ワードやエクセルなどのオフィスデスクトップアプリが含まれています。
SaaSとは便利で身近なサービス!
SaaSは現代ではさまざまなサービスに使われており、知らない間に利用しているという方も多いでしょう。
IT用語は英語表記で略語になっていることが多く理解が難しいケースもありますが、用語を知っておけばサービスの違いも明確になり、欲しいものを的確に選び取れるようになるはずです。
文:xDX編集部 画像提供:Getty images