暗号資産からメタバースまで、Web3.0時代はとてつもなく面白い

暗号資産からメタバースまで、Web3.0時代はとてつもなく面白い

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さまざまな業界でデジタル化の波が押し寄せるなか、「あらゆるDXは金融から始まる」と言われている。ビジネス活動を行う上で避けては通れない決済手段、投資家からの視線が熱い仮装通貨など、デジタル社会の実現に向けてフィンテック領域のイノベーションが必須になってくるだろう。

こうしたなか、世界最大のフィンテックイベント「World FinTech Festival(WFF)2021」が2021年11月11日と12日の2日間に渡って開催された。海外のフィンテック事情や新しいムーブメント、クリプト分野のトレンドなどを中心に各界の有識者が集うイベントとなった。

その中でも今回は「クリプト投資家が 見通す未来と日本の可能性」と題したセッションの模様をお伝える。早期から暗号資産に着目してきた株式会社Thirdverse 代表の國光 宏尚氏をはじめ、この分野における豪華なメンバーが登壇し、クリプト業界の未来について語った。

・國光 宏尚(株式会社Thirdverse 代表取締役)
・渡辺 創太(Founder of Stake Technologies / Astar Network Japan Blockchain Association理事 / Trusted Web推進委員)
・北原 健(B Cryptos株式会社 ヴァイスプレジデント)
・上田 敬(株式会社日本経済新聞社 編集 総合解説センター 担当部長)

クリプト投資やブロックチェーン関連の事業を数多く手がける國光氏

まず、各登壇者が取り組んでいる活動について。國光氏は2007年にモバイルゲームの開発・運用を行う株式会社gumiを創業し、今年7月に同社を退任した後は、株式会社Thirdverseや株式会社フィナンシェの代表取締役CEOとして、フィンテックやブロックチェーンなどの領域で多岐にわたる取り組みを行なっている。

「現在主に3つのことを手がけています。1つ目はベンチャーキャピタル『Gumi Cryptos Capital』を通じて、ブロックチェーン技術を用いたサービスを提供する企業への投資です。金融、マーケットプレイス、ゲームを中心に、今まで約30社くらいの企業に投資を実施してきました。そのうちの半分がトークン、半分がエクイティとなっていて、有名どころの投資先ですと、世界最大のNFTマーケットプレイス「Opensea」や仮想通貨「1INCH」などが挙げられます」(國光氏)

2つ目は、一般社団法人ブロックチェーンコンテンツ協会の運営や、日本ブロックチェーン協会(JBA)の理事としての活動だ。イベントやカンファレンスの開催や意見交換の場としての分科会、ブロックチェーンに関する自主規制作りなど、業界団体に身を置いてブロックチェーン領域の啓蒙活動に励んでいるという。業界のご意見番として、SNS等で國光氏の発信を目にされた方も多いのではないだろうか。

そして最後3つ目は、国内向けにブロックチェーン技術を利用した、トークン発行型クラウドファンディング2.0『FiNANCiE』の運営である。

「今は特にスポーツに特化する形で、スポーツクラブチーム専用のクラブトークンを発行するなどして、新たなファンコミュニティの醸成ができるように努めています」(國光氏)

ブロックチェーン技術の発展で“Web3.0”の世界が到来する

次に、シンガポールを拠点とするStake Technologies Pte Ltd代表の渡辺氏は、日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network」や「Shiden Network」の開発をリードしている人物だ。また、日本ブロックチェーン協会(JBA)の理事を拝命し、海外プロジェクトの輸入や、日本のプロジェクトを海外へと普及させていくことに尽力しているという。

そんななか、渡辺氏が強く提唱している概念が「Web3.0」だという。

「今後インターネット上にブロックチェーンが実装されてくれば、“Web3.0”という世界が訪れます。その実現に向け、弊社ではブロックチェーン同士の相互運用性の問題に着手しています」(渡辺氏)

インターネット誕生以来、Webは時代の変遷に合わせて進化してきた。黎明期の『Web1.0』では情報を読むだけだったが、『Web2.0』へ突入すると情報の読み書きができるようになり、ユーザー同士でインタラクティブにやりとりする世界観が生まれた。

「しかし昨今、巨大プラットフォーマーによるデータの集権性の問題や中間業者(ミドルマン)による中抜きなど、ユーザーフェアではない企業中心のWebになっているのが大きな課題となっています。それに対し、ブロックチェーンという分散技術がバックボーンになって新しいWebの形ができれば、既存の読み書きに加えて検証可能(Trust Verifiable)な機能が追加される『Web3.0』へ移行するだろうと考えています」(渡辺氏)

また、具体的なWeb3.0でできることについて渡辺氏は「今までアプリとユーザーの間には企業が関与していましたが、将来的にはユーザーとアプリケーションが企業を介さないP2P(ピアツーピア)でユーザー同士が繋がったり、自分がどのコンテンツにアクセスしていて、どのくらい価値を受け取っているかがわかるようになります」と述べ、クリプトやブロックチェーンを毎日使う将来のライフスタイルを見据えた。

さらに、2017年から独立系クリプト投資ファンドのB Cryptos設立した北原氏は、先の國光氏が運営するファンドとの違いについて次のように説く。

「國光さんのファンドは主に未上場のトークンやエクイティ企業に投資していますが、B Cryptosでは一定程度の流通がなされている上場クリプトを主な投資対象としています。イールド運用(クリプトを活用した利回り収益)やアルファ運用(上場クリプトのロングショート)、それに一部の未上場クリプト投資を含めた3つの軸を中心に事業を運営しています」(北原氏)

DeFi、GamiFi、ETHのLayer2がグローバルトレンド

ここからは世界におけるクリプトのトレンドや今起きていることについて、各登壇者らが語り合った。まず國光氏からはここ最近のグローバルトレンドについて、「主に3つの領域が盛り上がっている」と紹介がなされた。

「金融系で言えば“DeFi(分散型金融)”などの分野や“NFT領域”、さらに派生して、最近出てきている「NFT×ゲーム」の“GamiFi(ゲーミファイ)”が海外では脚光を集めています。また、イーサリアムにおけるガス代(取引手数料)の高騰やトランザクション(取引)のスピードの問題などにフォーカスし、既存のイーサリアムをより進化させようとする『Layer2』がホットな話題になっています」(國光氏)

加えて、ブロックチェーンは第四世代に突入していると続ける。

「第一世代はブロックチェーンを基幹技術として発明されたビットコイン(BTC)が市場を席巻していました。次いで第二世代ではWeb3.0のような、新しいコンピュータープラットフォーム上での戦いのなか、イーサリアム(ETH)が圧勝したわけです。第三世代では、イーサリアム上で動くアプリケーションが話題となりました。2〜3年前にブームになった資金調達(ICO)や昨年あたりから注目されているDeFi、今まさに話題のNFT、次にくるGamiFiなどが挙げられます。そして、イーサリアム自体を進化させようと、次々とプロジェクトが立ち上がっている状況こそ、第四世代と言えるわけです」(國光氏)

また渡辺氏は、発展著しいクリプトのムーブメントが「途上国やZ世代、起業家など海外を中心に巻き起こっている」と話す。そんな同氏にとって、勝ち筋だと考えているのがプロトコルレイヤーのプロダクトや仕組みだという。

「ブロックチェーンやクリプトの領域では、“Fat Protocols(ファット・プロトコル)”という通説があります。インターネットの世界はHTTPなどのプロトコルレイヤーよりも、FacebookやAmazonといったアプリケーションレイヤーの方が富を享受している構図が成り立っている一方で、ブロックチェーンでは現段階でこの関係性が逆転しています。

処理性能を良くするためのプロダクト、異なるチェーンをつなぐプロトコルなどがお金を生み出していることから、我々も技術的にコアな部分に勝機を見出し、日々事業に取り組んでいる状況です。一般的なリテールの投資家からは理解しづらい分野だからこそ、そこにオポチュニティがあると考えています」(渡辺氏)

さらに北原氏は、組込型金融のトレンドを前提に、以下のようにコメントする。

「現在リテール投資家が注目するNFTやGamiFi以外にもっと深掘りをして考えると、あらゆるものが金融資産化していくような流れになってくるのではと予想しています。本質的にはここにポテンシャルを感じながら、事業を展開していこうと思っています」(北原氏)

トークンやNFTを発行することで、クリエイターエコノミーを醸成する

世界ではこうした流れが進むなか、日本ではどのような潮流が生まれているのだろうか。國光氏が手がけるFiNANCiEでは、スポーツクラブトークンを発行することで、地域経済の活性化やファンコミュニティ、トークンエコノミーの創出につなげているという。

「商品を出して、それをファンに買ってもらうことで資金を集めるのが従来のクラウドファンディングでした。対して、FiNANCiEが打ち出すクラウドファンディング2.0では、商品の代わりにトークンやNFTを発行しています。商品の場合では、応援したらその場で終わってしまいますが、トークンやNFTであれば、二次流通の市場で売買できるようになるので、将来的には価値が上がる可能性もある。

そのメリットをファンが享受できるのが、一般的なクラウドファンディングとの大きな違いです。応援したファンにメリットがあるような仕組みを作ることで、ファンとクリエイターとの関係が密接になり、クリエイターエコノミー醸成の加速化につながると考えています」(國光氏)

海外で盛り上がるクリプトのトレンドがあるなか、渡辺氏は「日本人として、いかにグローバルで勝てるか」という価値観のもと、事業展開していくと意気込む。

「我々が運営しているパブリックブロックチェーンはボーダレスかつグローバルなので、特に日本市場を意識しているわけではありません。他方で、Web2.0の世界では米国の巨大テクノロジー企業が席巻し、ほとんどの日本人は海外のサービスを使っている状況になっていて、日本の国際的なプレゼンスが低いことに危機感を抱いています。『日本人としていかにグローバルに勝ち、黒船のような形で日本市場へ持ち帰れるか』を意識しながら、事業成長させていければと考えています」(渡辺氏)

ブロックチェーンの進化に合わせたルールメイキングが重要

今までにない概念や新機軸を社会実装させていくために、日本の企業や政府はどういう取り組みをすべきなのだろうか。國光氏は「日本はブロックチェーンの進化が第一世代で止まってしまっている」とし、次のように話す。

「金融庁が『仮想通貨』から『暗号資産』」へ呼称を変えた当時は、通貨としての側面を持ち合わせていました。しかし、先に述べたようにブロックチェーンは確実に発展を遂げており、暗号資産ではない形になってきているので、進化に合わせてルールのアップデートが必要だと考えています。ただ一方で、規制のところはいい面と悪い面があると思っていて、というのも海外の多くのプロジェクトは、違法か合法かがわからない現状があるからです。極端な話、明日違法だとわかるリスクも秘めている。そういう意味では、日本のルールが明確化されていることで、ルールに沿って投資や事業を行いやすい側面があり、評価できる部分でしょう」(國光氏)

また北原氏は、「日本の起業家が一番やりやすい環境やルールが必要」とし、以下のように意見を述べた。

「タックスとリーガルが完全にフィットしていない印象を受けるので、ルールを作る側と事業をやる側との目線を合わせた環境づくりが大事なのではないかと思います」(北原氏)
さらに現在注目されているメタバースについて、國光氏は「最終的にメタバースは、インターネットの次世代になりうる」とし、最後に自身の見解を話してセッションを締めくくった。

「メタバースがなぜ重要視されているかというと、リアルとバーチャルの構図が逆転する世界が訪れるからです。今までのインターネットは、リアルな世界をより効率化し、便利にしていくために使うものでした。直近、多くの企業でDXが叫ばれているのも、この流れを汲んでいます。例を挙げると、ペイメントや送金を行う場合に既存の銀行ネットワークを使わなければならず、リアルとの連携をしなくてはなりませんでした。

それが、ビットコインの登場によって、今までのリアルとの連携がなく、ピュアでインターネットファーストな暗号資産が台頭したわけです。こうしたインターネットのアップデートが進み、さらにはメタバースとブロックチェーンが連携することで、『リアルからバーチャルファーストの世界が来る』と捉えています」(國光氏)

編集:長岡 武司
取材/文:古田島大介

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